概説 |
吐き気やじん麻疹などに用いる漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 茵ちん五苓散(インチンゴレイサン)という方剤です。吐き気や嘔吐、じん麻疹、むくみ、などの症状を改善します。肝臓病や黄疸をともなうときにも適します。体力が中くらいの人で、口が渇き、尿量が少なく、水分が停滞しているときに向きます。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。茵ちん五苓散の構成生薬は下記の6種類です。黄疸の聖薬とされる“茵ちん蒿”のほか、余分な水分を取り除く生薬がいろいろと配合されています。
- 茵ちん蒿(インチンコウ)
- 沢瀉(タクシャ)
- 猪苓(チョレイ)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 桂皮(ケイヒ)
|
特徴 |
- 漢時代の「金匱要略」という古典書で紹介されている処方です。水分を除去する五苓散(ゴレイサン)という処方に、茵ちん蒿が加えてあります。方剤名の由来もそこにあります。
- 適応証(体質)は、中間証〜やや虚証(体力中くらい)、熱証(炎症)、湿証(水分停滞)となります。
|
注意 |

- 【診察で】

- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、茵ちん五苓散をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
|
効能 |
のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症。
|
用法 |
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(以上ツムラ、その他の製品は省略)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
|
副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、食欲がなくなるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。
- 胃の不快感、食欲不振、軽い吐き気
- 発疹、発赤、かゆみ
|