概説 |
黄疸や肝臓病に用いる漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 茵ちん蒿湯(インチンコウトウ)という方剤です。肝臓や胆のうの病気にともなう黄疸によいほか、じん麻疹や口内炎にも適応します。比較的体力があり、便秘がちの人に向きます。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。茵ちん蒿湯の構成生薬は下記の3種類です。黄疸の要薬とされる“茵ちん蒿”と“山梔子”、それと下剤の“大黄”です。便通をよくすることは、肝性脳症を防ぐことにもつながります。
- 茵ちん蒿(インチンコウ)
- 山梔子(サンシシ)
- 大黄(ダイオウ)
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特徴 |
- 茵ちん蒿湯は、漢方医学において古くから黄疸の治療に使われてきました。漢時代の「傷寒論」および「金匱要略」という古典書で紹介されている処方です。
- 適応証(体質)は、実〜中間証(比較的体力充実)、熱証(炎症)となります。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中の人は医師に申し出てください。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- どちらかというと体力の充実している「実証」向けの方剤です。したがって、体の弱っている人や胃腸の弱い「虚証」の人、冷えの強い人、また、下痢をしている人には向きません。
- 注意が必要なケース..虚証(虚弱)、寒証(冷え)、下痢ないし軟便傾向の人など。
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、茵ちん蒿湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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効能 |

- 【ツムラ】

- 尿量減少、やゝ便秘がちで比較的体力のあるものの次の諸症。

- 【クラシエ・他】

- 口渇があり、尿量少なく、便秘するものの次の諸症。

- 【コタロー】

- 咽喉がかわき、胸苦しく、便秘するもの、あるいは肝臓部に圧痛があって黄疸を発するもの。
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用法 |
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(以上ツムラ、その他の製品は省略)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、胃の不快感、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢などおこします。腹痛や下痢がひどいときは、早めに受診してください。
そのほか、新たな肝障害や腸間膜静脈硬化症が報告されているようです。万一のことですが、ひどい倦怠感、強い吐き気、皮膚や白目が黄色くなる、腹痛や下痢または便秘が続く といった症状に注意し、そのような場合は医師に報告してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 腸間膜静脈硬化症..長期服用時に腹痛・下痢・便秘・腹部膨満などが繰り返しあらわれる、便潜血陽性。
 【その他】
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