概説 |
スギ花粉症を治すお薬です。アレルゲン免疫療法(減感作療法)として用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- スギ花粉症は、スギ花粉をアレルゲンとして発症するアレルギー疾患の総称です。スギ花粉飛散シーズンに花粉と接触することにより、くしゃみ、鼻汁、鼻づまり、目のかゆみ、涙目といったI 型アレルギー症状があらわれます。
このお薬の成分はスギ花粉エキスです。舌下錠として、舌の下に入れて服用します。これを毎日続けていると、体が慣れてきて、アレルギー症状が出なくなってくるのです。アレルゲン免疫療法または減感作療法と呼ばれる治療法です。

- 【臨床試験】

- スギ花粉症に対する有効性と安全性をプラセボ(にせ薬)と比較する試験が行われています。5歳以上65歳未満のスギ花粉症の患者さんが参加し、255人はこの薬を、別の257人はプラセボを使用しアレルゲン免疫療法として実施します。もちろん、実薬かプラセボか患者さんにも医師にも伝えません(プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験)。
効果判定のための主要評価項目は、症状ピーク期2週間(3/15〜3/31)の鼻症状と薬物使用状況を点数化した総合鼻症状薬物スコアとします。くしゃみ(0〜4点)、鼻汁(0〜4点)、鼻閉(0〜4点)、抗アレルギー薬などの緊急使用(0〜6点)について自己採点し合算したものです。点数が低ければ軽症、高いほど重症です(0〜18点)。
その結果、この薬を使用した人達の総合鼻症状薬物スコアは平均4.7点、プラセボの人達は7.0点でした。この薬のほうが明らかに低く、アレルギー症状の軽減が確かめられたわけです。安全性についても大きな問題はなく、心配される強いアレルギー反応によるショックやアナフィラキシーも見られませんでした。
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特徴 |
- スギ花粉症の治療に用いる舌下アレルゲン免疫療法薬(減感作療法薬)です。アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因物質‘アレルゲン’を服用し、徐々に体を慣らしていく治療法です。複数年続けることにより、完治または長期寛解が期待できます。
- 舌下錠なので自宅で服用可能です。旧来の皮下注射のように頻回に通院しなくて済みます。ショックやアナフィラキシーの危険性も注射に比べれば低いです。ただし、注意が必要なことに変わりありません。免疫療法に精通する医師により慎重に処方されます。
- 凍結乾燥製剤として開発された舌下錠です。従来品の舌下液2000単位(JAU)に対し、5000単位とより高力価です。有効性も高く、舌下液を上回る効果が示されています。
- 適用年齢が広がり、12歳未満の子供にも使用可能です。また、利便性も向上しました。服用しやすく、増量は一段階、服用量も一律で服薬管理が楽です。室温保存で大丈夫です。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。また、使用中の薬を医師に教えてください。
- 服用方法や注意事項、副作用について十分説明を受けてください。ご家族をふくめ、アナフィラキシーのおそれがあること、その際の対処法を理解しておくことが大事です。
- 「患者携帯カード」が交付されます。万一のアナフィラキシーに備え、いつも携帯しましょう。診察や調剤を受けるときも必ず持参してください。

- 【注意する人】

- 気管支喘息のある人は使用できないことがあります。発作時や症状が悪化しているときは、服用の可否を医師に確認してください。自己免疫疾患など免疫系に病気のある人、がんのある人も慎重に用いる必要があります。また、インフルエンザやかぜなど急性感染症にかかっているときや体調が悪いときも医師と相談してからにしてください。
- 適さないケース..重症の喘息。
- 注意が必要なケース..喘息、自己免疫疾患(膠原病)、免疫不全症、がんのある人、急性感染症にかかっているとき、抜歯後、口内炎ができている場合など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 相互作用を起こす飲み合わせはありませんが、治療に影響する薬がいくつかあります。たとえば、ステロイド薬(プレドニゾロンなど)を大量に飲んでいると、この薬の効果が十分出ない可能性があります。また、非選択的β遮断薬(インデラル等)は、この薬のアレルギー反応による副作用を強めるかもしれません。
- アナフィラキシーの処置のためにアドレナリン(エピペン)を注射したとき、アドレナリンの作用や副作用に影響する薬があります。非選択的β遮断薬(インデラル等)や抗うつ薬など要注意です。
 【使用にあたり】
- スギ花粉飛散時期を避けて治療を開始します。初めの1週間は低単位の舌下錠2000単位(JAU)を使います。2週目以降は舌下錠5000単位に増量し維持量とします。
- 1日1回、1錠を舌下服用します。初回は医師のもとで使用し、30分ほど安静にする必要があります。万一のショックやアナフィラキシーに備えるためです。2回目以降は自宅で使用できます。
- 時間は特に規定されませんが、副作用対応などを考慮し、できるだけ家族のいる場所や日中の服用が望ましいです。生活環境などを踏まえ、医師とよく相談してみましょう。仕事などで外出が多ければ、朝食前が良いかもしれません。いずれの場合も、前後2時間くらいは、激しい運動、飲酒、入浴などは避けてください。
- 吸湿性のある錠剤です。使用直前に乾いた指でブリスターから取り出してください。その際、裏のシートを剥がした後、爪を立てずに指の腹で押し出します。欠けたり割れても全量を服用してください。詳しい使い方は説明書にあります。よく読んでおきましょう。
- 舌の下に錠剤を1分間保持した後、飲み込んでください。錠剤はすぐ溶けてなくなりますが、溶けた唾液はすぐ飲み込まず、1分間舌下 に保持する必要があります。飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食をしないでください。
- 1分間保持せず飲み込 んでしまった場合、その日は再使用しないでください。翌日、改めて前の日の量を服用しましょう。
- 飲み忘れた場合、気づいた時に服用してください。ただし、翌日に気づいた場合は 、前日の量を1回分だけ服用 してください。1日1回までとし、2回分を一度に使用してはいけません。
- 体調が悪いときは、服用の可否を医師と相談してください。たとえば、かぜやインフルエンザなど急性感染症にかかっているとき、喘息悪化や喘息発作時、口内炎あるいは抜歯などで口の中に傷や炎症があるときなどです。
- 自分だけの判断で止めてはいけません。治療期間は医師が決めます。長期寛解には年単位(3〜5年)の服用が必要とされます。決められた期間、根気よく続けてください。もし、1年以上続けても 少しも効果を感じないなら、医師とよく相談してみましょう。

- 【検査】

- 治療に先立ち、皮膚反応テストまたは特異的IgE抗体検査をおこない、スギ花粉症に間違いないことを確定診断します。

- 【食生活】

- 服用前と服用後2時間くらいは、激しい運動、飲酒、入浴などは避けてください。それらの行為で血行が良くなると、この薬の吸収が促進され、副作用が出やすくなるためです。服用後2時間以降に行う場合もアナフィラキシーなど副作用の発現に注意しましょう。
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効能 |
スギ花粉症(減感作療法) |
用法 |
通常、服用開始後1週間は、シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAUを1日1回1錠、服用2週目以降は、シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAUを1日1回1錠、舌下にて1分間保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食を控える。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは口や喉の症状です。口内の腫れやむくみ、かゆみ、喉の刺激感や不快感などです。とくに開始初期に多くみられます。重症化することはまずありませんが、症状が強くなったり広がる場合は、いったん使用をやめ、医師と相談してください。アナフィラキシーの前兆かもしれませんから。
注射に比べショックやアナフィラキシーは起こしにくいと考えられますが、決して油断できません。とくに、開始初期1カ月、服用後30分間、スギ花粉飛散時期など要注意。初期症状として、顔や喉の腫れ、全身発赤、じんま疹、顔面蒼白、呼吸困難、吐き気、動悸などいつもと違う症状が急激にあらわれます。そのような場合は、ただちに使用をやめ、医師に連絡してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
 【その他】
- 口内の腫れ、むくみ、不快感やかゆみ。
- 喉の刺激感、不快感、かゆみや痛み。
- 耳のかゆみ。
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