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成分(一般名) エベロリムス
製品例 アフィニトール錠2.5mg~5mg、分散錠2mg~3mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 その他の腫瘍用薬/他の抗悪性腫瘍剤/抗悪性腫瘍剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 がんを抑えるお薬です。腎細胞がんや乳がんの治療に用います。
作用

【働き-1】

腎細胞がんに代表される腎臓のがんは、一般的な抗がん薬による化学療法が効きにくいため、手術による切除が第一の選択となります。さらに手術後、インターフェロンやインターロイキンなどサイトカイン製剤による免疫療法も広くおこなわれています。また、最近はキナーゼ阻害薬による治療も標準的におこなわれるようになりました。

このお薬は新しい作用機序をもつ抗がん薬です。がん細胞の増殖を抑制する作用と、がん組織の血管新生を阻害する2つの作用を持っています。腎臓のがんに対しても一定の効果が期待できることから、キナーゼ阻害薬の効果が十分に得られない場合などに用います。効き方には個人差がありますが、より長生きできる可能性があります。

【働き-2】

乳がんでは根治のための手術を第一としますが、薬の効き目がよいので薬物療法も大事です。薬物療法は大きく2つに分かれます。ホルモン関連薬によるホルモン療法(内分泌療法)と、一般的な抗がん薬による化学療法の2つです。基本的な使い分けは、女性ホルモン受容体(HR)が陽性ならばホルモン療法を、そうでなければ化学療法をおこないます。実際には約7割は前者に属し、ホルモン療法が適用されるケースが多いです。

このお薬は、ホルモン療法を助ける新しいタイプの抗がん薬です。アロマターゼ阻害薬などによるホルモン療法が効果不十分となり、病勢の進行が心配されるときに処方します。ホルモン療法薬と併用することで治療効果が維持され、次のステップの化学療法への移行を遅らせることができるのです。実際の臨床試験でも、アロマターゼ阻害薬のエキセメスタン(アロマシン)との併用療法により、ある程度の生存期間の延長が示されています。

【働き-3】

神経内分泌腫瘍と結節性硬化症にも適応します。前者はホルモンを生成・分泌する神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称で、発生部位で多いのは、消化管、肺、膵臓などです。発生頻度は低いものの、抗がん薬が効きにくいうえ、診断が遅れると切除手術もできなくなります。

一方、結節性硬化症は遺伝子変異による遺伝性の病気です。さまざまな臓器に過誤腫である良性の腫瘍が形成されます。なかでも多いのは腎臓に発現する腎血管筋脂肪腫、脳神経に現われる上衣下巨細胞性星細胞腫です。どちらも良性なのですが、進行すると腎不全やけいれん発作を起こすなど日常生活に支障がでてきます。

このお薬は、そのような神経内分泌腫瘍や結節性硬化症に有効です。膵神経内分泌腫瘍においては、症状が安定している無増悪生存期間が約6ヶ月延長し、進行リスクが65%低減することが示されています。また、結節性硬化症に対する奏効率(一定の効果が得られる割合)は、腎血管筋脂肪腫で42%、上衣下巨細胞性星細胞腫で35%と報告されています。

【薬理】

mTORタンパク(Mammalian Target of Rapamycin:哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)は、がん細胞の増殖や血管新生にかかわっている調節因子です。また、乳がんのホルモン療法に対する抵抗性にも関連すると考えられています。この薬は、そのようなmTORタンパクを選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖と血管新生を抑制することにより 抗腫瘍効果を発揮します。このような作用機序からmTOR阻害薬と呼ばれています。

【臨床試験-1】

この薬の腎細胞がんに対する効果をプラセボ(にせ薬)と比較する国際共同臨床試験がおこなわれています。参加したのはキナーゼ阻害薬のスニチニブ(スーテント)またはソラフェニブ(ネクサバール)による前治療歴のある転移性の腎細胞がんの患者さん410人、うち日本人24人です。くじ引きで2:1の割合で分かれ、272人はこの薬を、別の138人はプラセボ(にせ薬)を服用します。有効性を評価する第一の判断材料は、がんが大きくならず病状が安定している期間「無増悪生存期間」です。また、副次的に亡くなるまでの「全生存期間」についても調べます。

その結果、この薬を飲んでいた人達の無増悪生存期間の中央値は4.0カ月でした。一方、プラセボでは1.9カ月にとどまりました。この薬を飲んでいた人達のほうが無増悪生存期間が2カ月ほど延長し、プラセボを上回る有効性が確認できたわけです。一方、全生存期間については、プラセボとの比較が困難で、明確な結果は得られませんでしたが、ある程度の延命効果が推測されています。

【臨床試験-2】

乳がんの臨床試験もおこなわれています。参加したのは、HR陽性かつHER2陰性で、アロマターゼ阻害薬の効果が不十分な進行乳がんの患者さん724人、うち日本人106人です。このうち、485人はこの薬を、別の239人はプラセボ(にせ薬)を服用し、全員がアロマターゼ阻害薬のエキセメスタン(アロマシン)と併用します。有効性の主要評価項目は、がんが大きくならず病状が安定している期間「無増悪生存期間」です。また、副次的に亡くなるまでの「全生存期間」についても調べます。

その結果、この薬を飲んでいた人達(アフィニトール・エキセメスタン併用療法)の無増悪生存期間の中央値は6.9カ月でした。一方、プラセボ(エキセメスタン単独療法)の人達は2.8カ月にとどまりました。この薬を飲んでいた人達のほうが無増悪生存期間が2倍以上延長し、プラセボを上回る有効性が確認できたわけです。なお、全生存期間については統計学的に明らかな差はでませんでしたが、プラセボの中央値27カ月に対し、この薬とエキセメスタンを併用した場合で31カ月と4カ月ほどの延長が示されました。
特徴
  • いわゆる分子標的治療薬です。腫瘍細胞増殖と腫瘍血管新生における指令系統を分子レベルでブロックします。mTOR阻害薬とも呼ばれるように、腫瘍増殖や血管新生にかかわるmTORタンパクが標的分子です。腎がんの一次治療に用いるキナーゼ阻害薬とは作用機序が違います。抗がん薬としては日本初のmTOR阻害薬です。
  • 腎がんでは、スニチニブ(スーテント)やソラフェニブ(ネクサバール)などキナーゼ阻害薬による一次治療後に悪化した症例において有効性が認められています。このため、腎細胞がんに対する3番手の薬剤として有望視されています。また、乳がんにおいては、ホルモン療法の治療効果を高める補助薬として期待されるところです。
  • 腎細胞がんや乳がんにくわえ、神経内分泌腫瘍と結節性硬化症に対する効能追加が認められました。さらに、胃がんや悪性リンパ腫などいくつかのがん治療薬としても期待できそうです。
  • 有効成分のエベロリムスは既発売の免疫抑制薬「サーティカン」と同一成分で、その高用量製剤になります。したがって、免疫抑制作用にともなう各種感染症や間質性肺炎などの副作用にはいっそうの注意が必要です。安全対策のため、副作用への緊急対応が可能な医療機関において、がん化学療法または結節性硬化症治療に精通した医師により処方されることになります。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。
  • 事前に医師から、起こるかもしれない副作用や注意事項について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、同意のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

肺に陰があるなど間質性肺炎の予兆がある場合は、その発症に留意するなど慎重に用いるようにします。肝臓の悪い人は、服用量を少な目にすることがあります。

  • 適さないケース..妊娠中もしくはその可能性のある人。
  • 注意が必要なケース..肺に間質性陰影のある人、肝臓病、感染症を合併している人、肝炎ウイルスや結核に感染したことのある人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

他の薬と相互作用を起こしやすい性質があります。飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり、副作用がでやすくなります。逆に効果が弱くなってしまうこともあります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • 生ワクチンの予防接種は避けなければなりません。免疫抑制下で、病原性があらわれるおそれがあるためです。
  • 抗結核薬のリファンピシン(リファジン)やリファブチン(ミコブティン)、フェノバルビタールなど一部の抗てんかん薬と併用すると、この薬の血中濃度が低下する可能性があります。
  • 逆に、この薬の血中濃度が上昇する飲み合わせもあります。マクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)やフルコナゾール(ジフルカン)、ボリコナゾール(ブイフェンド))、高血圧の薬のジルチアゼム(ヘルベッサー)やニカルジピン(ペルジピン)、リトナビルその他を含有する一部の抗ウイルス薬(ノービア、カレトラ、ヴィキラックス)などです。
  • グレープフルーツジュースは飲まないでください。この薬の血中濃度が上昇し、副作用がでやすくなるおそれがあります。
  • セイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は控えてください。この薬の作用を弱める可能性があります。

【使用にあたり】
  • 通常1日に1回だけ飲みます。食後か空腹時にするのかは医師の指示通りにしてください。食事の影響を受けやすいので、決められた時間に飲むことが大事です。
  • 上衣下巨細胞性星細胞腫において、子供などで錠剤がうまく飲めない場合に、水に分散して服用する分散錠が処方されます。コップまたはシリンジ内で適量の水に分散して飲むことができますので、決められた手順で服用してください。分散錠をそのまま丸ごと飲み込んだり、噛み砕いて飲んではいけません。
  • カゼ症状を含め発熱やのどの痛み、息切れ、咳など、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と連絡をとってください(緊急連絡先が記載された「治療確認シート」が交付されます)。

【検査】

副作用をチェックするため、定期的に決められた検査を受けなければなりません。とくに重要なのが、肺の検査です。間質性肺炎など肺に副作用が出ていないかレントゲン検査(CT検査)で調べます。腎機能や肝機能検査、血液検査、血糖値測定なども大事です。また、上衣下巨細胞性星細胞腫においては、必要に応じて血中濃度の測定をおこないます。

【妊娠授乳】

動物実験で胎児毒性が報告されています。妊娠中は使用できません。妊娠可能な女性は、服用中および服用中止後少なくとも8週間は適切な方法で避妊してください。
効能
【錠2.5mg~5mg】
<効能A>

根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
<効能B>

神経内分泌腫瘍
<効能C>

結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫
<効能D>

手術不能又は再発乳癌
<効能E>

結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫

【分散錠2mg~3mg】

結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫
用法
【錠2.5mg~5mg】
<効能A・B・C>

通常、成人はエベロリムスとして1日1回10mgを経口服用する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<効能D>

内分泌療法剤との併用において、通常、成人はエベロリムスとして1日1回10mgを経口服用する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<効能E>

通常、エベロリムスとして3.0mg/m2を1日1回経口服用する。なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する。

【分散錠2mg~3mg】

通常、エベロリムスとして3.0mg/m2を1日1回、用時、水に分散して経口服用する。なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する。

  • 服用時の注意:コップ等を使用する場合は、本剤を約25mLの水に分散して服用し、コップ等の底に本剤が残った場合は、再度同量の水で分散して服用すること。シリンジを使用する場合は、シリンジ内で約5mLの水に分散して服用すること。シリンジ内に本剤が残った場合は、再度同量の水で分散して服用すること。なお、本剤を噛み砕いたり、丸ごと飲み込んだりしないこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 口内炎が半数以上の人にあらわれます。次いで多いのが、発疹、貧血、疲労、下痢、食欲不振、吐き気、間質性肺炎などです。軽い副作用の場合、治療を優先しなければなりませんが、症状によっては減量または休薬が必要です。つらいときは医師とよく相談してください。

重いものでとくに重要なのが間質性肺炎など肺にあらわれる副作用です。頻度も高く、6人に1人くらいの割合で発現します。定期検査で早いうちに見つかれば心配いりませんが、対応が遅れると重症化し治療に苦労します。初期症状として、咳、息切れ、発熱といった症状があらわれますので、そのような場合はすみやかに受診してください。

感染症にも注意が必要です。免疫力の低下にともない、細菌や真菌、ウイルスなどによるさまざまな感染症にかかりやすくなり、ときに重症化することがあるのです。また体内に潜んでいた肝炎ウイルスや結核菌が再活性化する例もあるようです。過去に肝炎や結核の既往歴のある人は気をつけてください。

そのほかにも、白血球減少や血小板減少などを生じる血液障害、腎障害、さらに高血糖や糖尿病の発症などさまざまな副作用が出現する可能性があります。決められた検査をきちんと受け、早期に対応することが大切です。また、日頃から体調の変化に十分に気をつけ、いつもと違う症状があらわれたら早めに医師と連絡をとるようにしましょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 重い感染症..発熱、けん怠感、のどの痛み、咳や痰、息苦しい、嘔吐、下痢、皮膚発赤・小水疱・ピリピリ痛い、水ぶくれ、できもの。
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 高血糖、糖尿病..異常にのどが渇く、水をがぶ飲み、多尿、頻尿、体重増加または減少。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 口内炎..口のなかが荒れる、腫れ物ができる、痛みで食事がつらい。
  • アナフィラキシー様症状..じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい。
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。
  • リンパ腫、皮膚がん、その他の悪性腫瘍..リンパ節のはれ、発熱、食欲不振、体重減少、出血傾向、皮膚にできもの、ホクロの異常(かゆい、痛い、出血、潰瘍)。
  • 白質脳症..頭痛、もの忘れ、ボーとする、歩行時のふらつき、手足のしびれ・まひ、うまく話せない、動作がにぶる、けいれん、二重に見える、見えにくい。
  • 血栓性微小血管障害..皮下出血(血豆・青あざ)、歯肉出血など出血傾向、疲れやすい、むくみ、尿量減少
  • 心嚢液貯留..息切れ、息苦しい、胸が苦しい。

【その他】
  • 下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐
  • 口内乾燥、味覚異常
  • 疲労、無力症、頭痛、関節痛
  • 発熱、むくみ、頻尿、高血圧
  • 鼻出血、喀血
  • 発疹、皮膚乾燥、肌あれ、かゆみ、爪の異常
  • 白血球減少、貧血
  • 高脂血症、腎機能異常、肝機能異常

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注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。