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成分(一般名) トレミフェン クエン酸塩
製品例 フェアストン錠40~60 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 その他の腫瘍用薬/抗エストロゲン薬/乳癌治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 乳がんを治療するお薬です。
作用乳がんは、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を受けて大きくなる性質があります。このお薬は、乳がん細胞にあるエストロゲン受容体をブロックすることで、がん細胞の増殖をおさえます。その結果、腫瘍の勢いがなくなり、病状がおさまります。

そのような作用から、ホルモン療法(内分泌療法)として乳がんの治療に用いられます。よい適応となるのはホルモン反応性が高い女性ホルモン受容体陽性乳がんです。このような場合、高い有効率が期待でき、予後の改善につながります。進行乳がんに用いるほか、手術後の再発予防目的に補助療法として用いることも多いです。
特徴非ステロイド性の抗女性ホルモン薬(抗エストロゲン薬)です。標準薬のタモキシフェン(ノルバデックス)と類似構造をしており、作用や効果もだいたい同じです。ただし、適用は閉経後に限ります(タモキシフェンは閉経前・後を問いません)。閉経後で、女性ホルモン受容体(HR:ER・PgR)が陽性の場合に優先される治療薬です。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に伝えてください。妊娠していないことを確認したうえで使用する必要があります。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 事前に医師から、起こるかもしれない副作用や注意事項について十分説明を受けてください。

【注意する人】

先天性QT延長症候群など、心電図でQT間隔の延長がみられる人は使用できません。妊娠中は禁止です。

  • 適さないケース..QT延長のある人、低カリウム血症、妊娠中の人。
  • 注意が必要なケース..心臓病、骨髄抑制のある人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 抗不整脈薬のある部類(クラスIA、クラスIII)とは併用できません。心電図のQT延長を増強し、重い不整脈を誘発するおそれがあるためです。たとえば、プロカインアミド(アミサリン)、ジソピラミド(リスモダン、ノルペース)、シベンゾリン(シベノール)、ピルメノール(ピメノール)、アミオダロン(アンカロン)、ソタロール(ソタコール)などがこれに当たります。
  • 抗血栓薬のワルファリン(ワーファリン)との併用には注意が必要です。ワルファリンの作用を増強するおそれがあるためです。ほかに、チアジド系利尿薬、抗けいれん薬、結核の薬のリファンピシンなどとの飲み合わせに注意します。

【使用にあたり】
  • 決められた飲み方を守ってください。再発予防のために長期服用となることも多いです。決められた期間きちんと続けましょう。
  • 閉経初期であれば、念のため服用中はピル(経口避妊薬)以外の方法で避妊してください。万一、妊娠が確認された場合または疑われる場合は医師と連絡をとってください。

【検査】

副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。血液や肝臓の検査のほか、必要に応じて心電図や視力検査、子宮の検査などをおこないます。

【備考】

乳がんでは切除による根治を目指しますが、薬の効き目がよいので薬物治療も大事です。薬物治療には大きく2つのやり方があります。ホルモン関連薬によるホルモン療法(内分泌療法)と、一般的な抗がん薬による化学療法の2つです。そして治療目的や乳がんのタイプ、年齢(閉経前・後)、進行具合、悪性度などにより使い分け、ときに併用します。基本的には、女性ホルモン受容体(HR:ER・PgR)が陽性ならばホルモン療法を、そうでなければ化学療法を優先します。実際には約7割は前者に属し、ホルモン療法が適用されるケースが多いです。抗エストロゲン薬(この薬)は、ホルモン療法の一つとして用いらています。
効能 閉経後乳癌
用法 通常、成人はトレミフェンとして40mgを1日1回経口服用する。また、既治療例(薬物療法及び放射線療法などに無効例)に対しては、通常成人にトレミフェンとして120mgを1日1回経口服用する。なお、症状により適宜増減する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 ときに肝機能値が悪くなることがあります。重症化することは少ないですが、異常なだるさ、発熱、吐き気、皮膚や白目が黄色くなるといった症状に注意しましょう。もともと心臓の悪い人は、不整脈(QT延長)の発現にも気をつけてください。

そのほか、血栓症にも念のため注意が必要です。血液の固まりで血管が詰まることで起こります。生じる所はいろいろです。手足、とくにふくらはぎの痛みやシビレ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、めまい、急に視力が落ちるといった症状が前触れとなります。万一のことですが、そのような症状があらわれたら、すぐ医師に連絡してください。

また、長期服用により子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜ポリープを生じるおそれがあります。さらに、まれな例ですが子宮内膜がんの報告もあるようです。もし、予定外の性器出血がみられたら、医師に報告するようにしてください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 血栓症..手足とくにふくらはぎの痛み・はれ・むくみ・しびれ、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる。
  • 子宮筋腫・子宮内膜症・子宮内膜ポリープ..性器不正出血、下腹部の強い痛み。

【その他】
  • 吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢
  • 頭痛、めまい、ほてり、発汗
  • 性器不正出血

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。