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成分(一般名) カペシタビン
製品例 ゼローダ錠300 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 代謝拮抗剤/フルオロウラシル系/抗悪性腫瘍剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 がんを抑えるお薬です。乳がん、大腸がん、胃がんの治療に用います。
作用

【働き】

細胞の遺伝情報を持つ核酸(DNA、RNA)の合成をじゃまして、がん細胞の増殖をおさえます。特徴的なのは、がんの中で濃度が高まり集中的に作用することです。乳がん、大腸がん(結腸・直腸がん)、胃がんなどに有効で、がんを小さくし病状を改善します。また、手術後の補助療法として、再発予防目的に用いることも多いです。

【薬理】

体内で活性物質に変化するプロドラッグタイプの抗がん薬です。すなわち、腸から不活性な未変化体のまま吸収されたあと、まず肝臓や腫瘍組織でドキシフルリジン(フルツロン)に代謝され、さらに腫瘍組織で抗腫瘍作用をもつフルオロウラシル(5FU)に変化するのです。

フルオロウラシルは、核酸(DNA、RNA)の合成に必要なウラシルとよく似た構造をしているため、がん細胞が誤って取り込んでしまい、その結果として核酸の生合成を阻害したり、機能障害を起こすことにより抗腫瘍効果を発揮します。がん細胞の代謝を阻害する作用から広く「代謝拮抗薬」と呼ばれています。

【臨床試験】
  • 進行・再発乳がんにおける奏効率(腫瘍縮小など一定の効果がみられる割合)は20〜40%くらいです。タキサン系薬剤無効例においても20〜30%の奏効率が期待できます。ただし奏効率は参考までです。病状、治療歴、あるいは効果判定基準によって大きく変わる可能性があります。
  • 大腸がんに対すする有効性を検証するため、標準的治療法のFOLFOX4療法〔5FU+lLV+Oxa (+BV)〕と効果を比べる臨床試験が行われています。転移性結腸・直腸がんの患者さん約2000人が参加し、FOLFOX4療法を受けるグループと、この薬を含む併用療法XELOX療法〔この薬+Oxa (+BV)〕を受けるグループに分かれ生存期間を比較する試験です。その結果、無増悪生存期間(病状が安定している期間)および全生存期間の中央値は、FOLFOX4療法の人達で259日および594日、この薬を含む併用療法XELOX療法で241日および600日でした。FOLFOX4療法とほとんど差がなく、同等の有効性が示されたわけです。
  • 結腸がんの術後補助化学療法の有効性を検証するため、この薬と従来のフルオロウラシル・ホリナート療法(5FU/LV)と比較する試験が行われています。参加したのは外科的切除が実施された結腸がん(Dukes C)の患者さん約2000人です。その結果、両グループの生存期間に差がなく、フルオロウラシル・ホリナート療法に劣らない同等の有効性が確認されました。また、別の試験では、この薬を含む併用療法XELOX療法(この薬+Oxa)が、フルオロウラシル・ホリナート療法の無病生存期間をしのぐことが示されています。
  • 胃がんの術後補助化学療法における有効性を検証する試験もおこなわれています。参加したのは外科的切除が実施された胃がん(StageII/III)の患者さん約1000人です。そして、この薬を含む併用療法XELOX療法(この薬+Oxa)を受ける人と、経過観察だけの人に分かれ、それぞれの生存期間を調べます。その結果、5年生存率はXELOX療法で78%、経過観察だけの人で69%でした。この薬を含む併用療法を受けたほうがより長生きできる可能性が高いことが確認できたわけです。
特徴
  • 体内でフルオロウラシル(5FU)に変化するフッ化ピリミジン系の代謝拮抗薬になります。優れた特徴として腫瘍選択性が高いということがあげられます。すなわち、未変化体のまま吸収され、腫瘍組織でフルオロウラシル(5FU)に変換されるので、選択的にがん細胞内のフルオロウラシル濃度を高めることができるのです。乳がんにくわえ、大腸がん、胃がんに対する適応が追加され、処方される機会が増えています。
  • 消化器がん治療の主要薬として期待されます。この場合、白金製剤(CDDP、Oxa)の注射とともに用いるのが一般的です。大腸がんにおける術後補助化学療法として保険適用されるほか、進行・再発大腸がんに対しては、FOLFOX療法の5FU持続点滴の代わりにゼローダを用いるXELOX療法(白金製剤のオキサリプラチンと併用)が開発されています。さらに分子標的薬のベバシズマブ(アバスチン点滴静注用)などを追加併用することでより高い効果が望めます。HER2陽性の胃がんに対しては、トラスツズマブ(ハーセプチン注射用)との併用が有用です。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。
  • 事前に医師から、起こるかもしれない副作用や注意事項について十分説明を受けてください。

【注意する人】

病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。また、腎臓病や肝臓病のある人は、用量に注意するなど慎重に用いるようにします。妊娠中は使用できません。

  • 適さないケース..重い腎臓病、妊娠中またはその可能性のある女性。
  • 注意が必要なケース..骨髄抑制、腎臓病、肝臓病、感染症、水痘(水ぼうそう)、心臓病、消化管潰瘍のある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

別の抗がん薬のテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合薬(ティーエスワン)との併用は禁止です。そのほかにもワルファリンなど注意が必要な飲み合わせがあります。過去1週間をふくめ服用中の薬を必ず医師に報告してください。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えておきましょう。

  • 飲み合わせの悪い薬..テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)
  • 飲み合わせに注意..ワルファリン(ワーファリン)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、トリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)など。

【使用にあたり】
  • 用法は治療目的によって異なり、また用量は体の大きさ(体表面積)にあわせて決められます。副作用によっては減量も必要です。指示された用法・用量を厳守してください。
  • 通常、1日2回朝夕食後服用を2週間もしくは3週間続け、その後1週間休薬します。これを1コースとして服用を繰り返します。決められた治療スケジュールにそって正確に飲んでください。
  • 万一飲み忘れた場合は、その分は抜かし、次の通常の時間に1回分を服用してください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
  • 吐き気や嘔吐、下痢、皮膚発赤、ふらつき、口内炎、また、発熱やかぜ症状を含め、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と相談してください。

【検査】

副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。

【妊娠・授乳】
  • 妊婦中または妊娠している可能性のある女性は使用できません。また、妊娠可能な女性は、医師の指示に従い服薬中および服薬終了後一定期間 適切に避妊してください。
  • パートナーが妊娠する可能性のある男性は、医師の指示に従い、服薬中および服薬終了後一定期間は適切に避妊してください。
  • 授乳については医師とよく相談してください。
効能
  • 手術不能又は再発乳癌
  • 結腸・直腸癌
  • 胃癌
用法
手術不能又は再発乳癌にはA法又はB法を使用し、ラパチニブトシル酸塩水和物と併用する場合にはC法を使用する。結腸・直腸癌における補助化学療法にはB法を使用し、オキサリプラチンと併用する場合にはC法を使用する。治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する。直腸癌における補助化学療法で放射線照射と併用する場合にはD法を使用する。胃癌には白金製剤との併用でC法を使用する。


【A法】

体表面積にあわせて次の服用量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、21日間連日経口服用し、その後7日間休薬する。これを1コースとして服用を繰り返す。

  • 1.31m2未満→1回用量:900mg
  • 1.31m2以上1.64m2未満→1回用量:1,200mg
  • 1.64m2以上→1回用量:1,500mg

【B法】

体表面積にあわせて次の服用量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口服用し、その後7日間休薬する。これを1コースとして服用を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 1.33m2未満→1回用量:1,500mg
  • 1.33m2以上1.57m2未満→1回用量:1,800mg
  • 1.57m2以上1.81m2未満→1回用量:2,100mg
  • 1.81m2以上→1回用量:2,400mg

【C法】

体表面積にあわせて次の服用量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口服用し、その後7日間休薬する。これを1コースとして服用を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 1.36m2未満→1回用量:1,200mg
  • 1.36m2以上1.66m2未満→1回用量:1,500mg
  • 1.66m2以上1.96m2未満→1回用量:1,800mg
  • 1.96m2以上→1回用量:2,100mg

【D法】

体表面積にあわせて次の服用量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、5日間連日経口服用し、その後2日間休薬する。これを繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 1.31m2未満→1回用量:900mg
  • 1.31m2以上1.64m2未満→1回用量:1,200mg
  • 1.64m2以上→1回用量:1,500mg

【E法】

体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 1.31m2未満→1回用量:900mg
  • 1.31m2以上1.64m2未満→1回用量:1,200mg
  • 1.69m2以上2.07m2未満→1回用量:1,500mg
  • 2.07m2以上→1回用量:1,800mg

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 もっとも多いのが手足のしびれやヒリヒリ感、発赤などの皮膚症状(手足症候群)です。ほかにも、吐き気や嘔吐、下痢、口内炎など、いろいろな副作用がでやすいです。あわてないよう、事前に医師から十分説明を受けておきましょう。軽い副作用の場合、治療を優先しなければならないことも多いです。

抗がん薬に特有な「骨髄抑制」は比較的軽いほうですが、それでも それにともなう血球減少や感染症に十分な注意が必要です。白血球が異常に減少すると、体の抵抗力がひどく落ちて感染症にかかりやすくなります。また、血小板減少により出血しやすくなることもあります。発熱やのどの痛み、あるいは歯茎出血・皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。

そのほか、とくに注意が必要な副作用として、激しい下痢と脱水症状をともなう重い腸炎、肝障害、白質脳症、それと潰瘍や水疱をともなう重篤な手足症候群などがあげられます。手足症候群はこの薬に特異で、軽いものを含めると半分くらいの人にあららわれます。手のひらや足の裏の皮膚の異常に気付いたときは、医師によく診てもらってください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 手足症候群..手掌や足底など皮膚の発赤、腫れ、かゆみ、しびれ、ヒリヒリ・チクチク感、ただれ、皮がむける、水ぶくれ、痛み。
  • 骨髄抑制(血球減少)..発熱、ひどい疲労感、のどの痛み、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向、息切れ、動悸。
  • 腸炎..激しい腹痛、下痢、下血(血液便、黒いタール状の便)。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 狭心症、心筋梗塞、不整脈..胸の痛み、息切れ、動悸、めまい、気を失う。
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 重い口内炎..口内粘膜・舌の広範囲の発赤、強い痛み。
  • 白質脳症..頭痛、もの忘れ、ボーとする、歩行時のふらつき、手足のしびれ・まひ、うまく話せない、動作がにぶる、けいれん、二重に見える、見えにくい。
  • 血栓塞栓症..手足とくにふくらはぎの痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる。
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)..発疹・発赤、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。

【その他】
  • 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
  • めまい、頭痛
  • 口内炎、味覚異常
  • 発疹、発赤、かゆみ、色素沈着、脱毛
  • 血糖値上昇、肝機能値の異常

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。