概説 |
関節の腫れや痛みをおさえるお薬です。関節リウマチの治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- リウマチは、体の免疫系がかかわっている膠原病の一種です。関節に強い炎症を生じ、腫れや痛みをともないます。やがて、関節の骨や軟骨が破壊され、変形とともにその機能が失われます。
このお薬は抗リウマチ薬です。免疫系の亢進状態を強力におさえ炎症をしずめます。そして、関節の破壊をくい止め病気の進行を遅らせることができるのです。実際の臨床効果にも優れ、半分以上の人によい効果(ACR20)がみられます。

- 【薬理】

- リウマチ発症の要因として、リンパ球の異常増殖があげられます。この薬は、リンパ球の増殖にかかわる酵素ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの活性を阻害します。活性化リンパ球の増殖が抑制されますので、その結果として関節炎がおさまるのです。
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特徴 |
- イソキサゾール系の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)です。作用的に免疫抑制薬に近く、比較的速効性です。海外の大規模臨床試験で、関節破壊をおさえ、リウマチの進行を遅らせる効果が確かめられています。標準薬のメトトレキサート(リウマトレックス)と同等の効果が期待でき、世界的にも広く用いられています。
- 免疫系の細胞だけでなく、他の細胞にも少なからず悪影響します。このため、肺障害や肝障害、血液障害、感染症など副作用がでやすいのが欠点です。とくに日本人に多くみられるのが間質性肺炎です。まれに、重症化することがありますので、医師の管理下で安全性に配慮しながら用いなければなりません。
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注意 |
 【診察で】
- 持病や病歴を医師に伝えておきましょう。
- 最近まで飲んでいた薬と、現在服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中の人は、医師に伝えてください。また、男性を含め、妊娠出産を希望してい人は事前に相談しておきましょう。
- 注意事項や副作用について、医師から十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで使用するようにしましょう。
- 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告するようにしてください。

- 【注意する人】

- 病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。肝臓や肺の悪い人は副作用がでやすいので、使用できないことがあります。小柄な女性や高齢の人、腎臓の悪い人などは、少量にするなど用量に留意します。妊娠中は禁止です。
- 適さないケース..慢性肝炎、結核にかかっている人、妊娠中もしくはその可能性のある人、授乳中の人。
- 注意が必要なケース..間質性肺炎など肺に病気のある人もしくは既往のある人、血液の病気や骨髄抑制のある人、肝臓病の既往歴のある人、腎臓病、感染症、結核にかかったことのある人、肝炎ウイルスをもっている人、免疫不全のある人、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 薬の飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり、副作用がでやすくなります。服用中の薬、および最近まで飲んでいた薬を必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。
- 他の抗リウマチ薬や免疫抑制薬、ステロイド薬、あるいは抗がん剤などとの併用により、血液障害や肝障害、感染症なの副作用が発現しやすくなります。
- 抗血栓薬のワルファリンの副作用が強まるおそれがあります。
- 陰イオン交換樹脂製剤、たとえばコレステロール低下薬のコレスチラミン(クエストラン)やコレスチミド(コレバイン)といっしょに飲むと、この薬の作用が減弱します。結核の薬のリファンピシン(リファジン)も、この薬の効力を弱めるかもしれません。
- 服用中および服用中止後しばらくは生ワクチンの接種を避けてください。
- アルコールは肝臓の副作用をでやすくします。飲酒は、できるだけ控えましょう。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方を厳守してください。誤って過量を飲むと重い副作用がでやすくなります。
- 早期効果を得るために、最初の3日間だけ高用量の100mg錠を使用するのが一般的です。その後、維持量として、20mg錠もしくは10mg錠を続けるようにします。
- 20mg錠で開始することも可能です。この場合、効果発現はゆるやかになりますが、飲みはじめの副作用の低減がはかれます。
- 噛まずにコップ一杯以上の水で飲んでください。
- 十分な効果がでるまでに、2週間〜3カ月間くらいかかります。指示された期間続けるようにしましょう。
- カゼ症状を含め発熱やのどの痛み、息切れ、咳、けん怠感、口内炎、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなるなど、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と連絡をとってください。

- 【検査】

- 処方に先立ち、服用に問題がないかを慎重に調べます。必要な検査は、血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査、血圧測定、胸部レントゲン、肝炎ウイル検査、スツベルクリン反応検査などです。服用開始後も、副作用や効果をチェックするため、定期的に各種の検査を受けなければなりません。

- 【妊娠授乳】

- 動物実験で催奇形作用が報告されています。妊娠中は使用できません。また、この薬は、体に長く残る性質があるので、服用中止後の妊娠にも注意が必要です。
- 女性..服薬中は、確実な方法で避妊してください。服薬終了後に妊娠を希望するときも、医師とよく相談してください。吸着薬でこの薬を除去することで、早期に妊娠が可能になります。
- 男性..服薬中は配偶者の妊娠を避けるようにします。服薬終了後に妊娠を希望するときも、医師とよく相談してください。
 【備考】
- 関節リウマチの治療目標は、関節の破壊をおさえ その機能を維持すること、さらには生命予後を改善することです。そのためには、発症早期から抗リウマチ薬による十分な治療が必要です。最近は、レフルノミド(この薬)やメトトレキサート(リウマトレックス)、あるいは生物学的製剤(注射)などによる強力な治療が積極的におこなわれるようになりました。
- 抗リウマチ薬の効きかたには個人差があります。劇的に効く人もいれば、逆にまったく効果がないこともあります。ですから、半年くらい使用しても効果がまったくない場合は、別の薬に切り替えなければなりません。その人にもっとも適した薬を選ぶことが重要です。
- リウマチそのものを治せる薬はありません。関節リウマチの治療では、いくつかの薬を長期間使用することになります。有益性と副作用について正しく理解したうえで、薬と上手につきあっていってください。きちんと治療を続ければ、病気の進行を止めたり遅らせることが十分可能です。
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効能 |
関節リウマチ |
用法 |
通常、成人はレフルノミドとして1日1回100mg錠1錠の3日間経口服用から開始し、その後、維持量として1日1回20mgを経口服用する。また、1日1回20mgの経口服用から開始することもできる。なお、維持量は、症状、体重により適宜1日1回10mgに減量する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
効果が高い反面、いろいろな副作用がでやすいです。あわてないよう、事前に医師から十分説明を受けておきましょう。頻度的に多いのは、下痢や吐き気、腹痛、脱毛、頭痛、発疹、高血圧などです。とくに、飲みはじめに高用量の100mg錠を使用した場合、それらの出現率が高まる可能性があります。
重い副作用は多くありませんが、注意しなければならないのは、間質性肺炎と肝障害、血液障害、それとウイルス肝炎や結核をふくめ各種の感染症です。初期症状として、咳や息切れ、呼吸困難、発熱やのどの痛み、口内炎、発疹、かゆみ、異常なだるさ、皮膚や白目が黄色くなるといった症状に注意してください。そのほか、いつもと違う症状に気づいたら、すぐ医師に連絡してください。予防のために、頻回な検査も欠かせません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 重い感染症..発熱、けん怠感、のどの痛み、咳や痰、息苦しい、嘔吐、下痢、皮膚がピリピリ痛い、皮膚の発赤・水ぶくれ・できもの。
- 結核..持続する咳、発熱
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 膵炎..吐き気、吐く、上腹部〜背中の激しい痛み。
- アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
 【その他】
- 下痢、吐き気、吐く、食欲不振、腹痛、口内炎
- 頭痛、めまい、発熱
- 咳、上気道感染、気管支炎
- 脱毛、発疹、じん麻疹、かゆみ、爪の障害、皮膚乾燥
- 血圧上昇、腎機能・肝機能値の異常
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