概説 |
骨を丈夫にするお薬です。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など、骨の病気の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 骨粗鬆症は、骨の代謝が悪くなり、骨がもろくなる病気です。高齢の人では骨折しやすくなり、腰痛や背骨の痛みをともなうこともあります。骨折で多いのは背骨の圧迫骨折(脊椎椎体骨折)です。
このお薬は、骨に付着して、骨のカルシウム分が血液に溶け出すのを防ぎます(骨吸収抑制作用)。その結果、骨の密度が増加し骨が丈夫になります。骨折の予防にもつながります。

- 【薬理】

- 骨は新陳代謝をしています。古い骨は壊され新しく作り直されるのです。古い骨を壊し血液中に溶かす役目をするのが“破骨細胞”です。この薬は、破骨細胞に入りその機能を抑制することにより、骨からカルシウムが溶け出すのをおさえます。結果的に、骨密度が増大し骨が丈夫になるのです。

- 【臨床試験】

- 同系のビスホスホネート系薬剤による大規模骨折介入試験で、椎体骨折および大腿骨近位部を含めた非椎体骨折の抑制効果が認められています。骨粗鬆症による骨折がおおよそ半減し、治療開始半年以降ではさらなる低減が示されています。
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特徴 |
- 国内初の第一世代ビスホスホネート系薬剤です。この系統は、骨折の予防効果が高く、高齢の人や骨折の危険性が高い重度の骨粗鬆症に向きます。また、ステロイドなどによる薬物性の骨粗鬆症に対しても第一選択されます。骨粗鬆症にくわえ、骨ページェット病(骨吸収が異常に増える病気)に対する効能も取得しています。
- 開発が新しい第二世代以降のビスホスホネートに比べ、骨吸収抑制作用はかなり劣ります。また、骨粗鬆症の治療においては、安全域が狭く骨軟化の副作用を起こしやすいのが難点です。このため、最近は骨折抑制効果に優れる新世代ビスホスホネート製剤に処方が移っています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中またはその可能性のある人は申し出てください。妊娠中は服用禁止です。
- 胃腸薬など別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。

- 【注意する人】

- 腎臓が悪いと薬の排泄が遅れるので慎重に用います。胃潰瘍など胃腸に病気のある人は、病状の悪化に注意が必要です。 また、歯の悪い人は、事前に歯科治療を済ませておくとよいでしょう。もし、この薬を始めてから、抜歯など歯科治療を受けるさいは、担当の医師とよく相談してください。
- 適さないケース..重い腎臓病、骨軟化症、小児、妊娠中の女性。
- 注意が必要なケース..腎臓病、消化性潰瘍またはその既往歴のある人、高齢の人、抜歯など顎骨に影響する歯科治療を受けるとき。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- この系統の薬はもともと吸収率が悪いうえ、他の薬や食事により著しく阻害されます。原則、この薬単独で服用し、前後2時間くらいは飲食を避けましょう。
- カルシウムやマグネシウム製剤、また胃腸薬の制酸剤(マーロックス、アルサルミン等)との同時服用は避けてください。
- 牛乳など水以外の飲み物や食べ物と一緒に飲むと、吸収率が低下します。カルシウムやマグネシウム分をたくさん含むミネラルウォーター(硬水)もよくありません。水道水(軟水)で飲むのがいちばん無難です。
 【使用にあたり】
- 多めの水で、食間に服用してください。食後2時間くらいを目安にするとよいでしょう。
- 症状によって、飲む量や飲み方が違います。必要以上に飲みすぎると、かえって骨が弱くなってしまいます。骨粗鬆症では、2週間飲んだらいったん休止します。決められた飲み方を必ず守ってください。
 【検査】
- 事前に歯科検査を受けておくとよいでしょう。とくに抜歯については、この薬を飲み始める前に済ませおく必要があります。また、服用開始後も、定期的に歯科健診を受け口腔内管理をきちんとおこなうことが大事です。
- 骨密度や骨吸収マーカーを調べて、薬の効き具合を調べます。また骨折の心配がないか、レントゲン検査で骨の具合をチェックすることがあります。
 【食生活】
- まれに、あごの骨に炎症を生じることがあります。口腔不衛生がリスク因子の一つになりますので、ふだんから歯磨きをよくして、口内を清潔に保ちましょう。また、歯の治療を受けるさいは、担当の医師とよく相談し、歯科医にこの薬を飲んでいることを伝えてください。
- バランスのよい食事を心がけましょう。とくに、カルシウム分やビタミンD、ビタミンKが大切です。カルシウムは乳製品や小魚に、ビタミンDはウナギやイワシ、レバーなどに多いです。ビタミンKは、納豆をはじめ、ホウレン草やブロッコリーなど野菜類にたくさん含まれます。
- 適度な運動も、骨量を増やし骨を丈夫にします。日光浴をかねた散歩やウォーキングが、その第一歩です。

- 【備考】

- 骨粗鬆症の治療には、この薬が属するビスホスホネート系薬剤を中心に、エストロゲン受容体調整薬のラロキシフェン(エビスタ、ビビアント)、活性型ビタミンD3、ビタミンK2製剤、カルシウム薬などが用いられます。
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効能 |

- 【効能A】

- 骨粗鬆症

- 【効能B】

- 次の状態における初期及び進行期の異所性骨化の抑制//脊髄損傷後、股関節形成術後

- 【効能C】

- 骨ページェット病
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用法 |

- 【効能A】

- 本剤の吸収をよくするため、服薬前後2時間は食物の摂取を避けること。通常、成人は、エチドロン酸二ナトリウムとして200mgを1日1回、食間に経口服用する。服用期間は2週間とする。再服用までの期間は10〜12週間として、これを1クールとして周期的間歇服用を行う。なお、重症の場合(骨塩量の減少の程度が強い患者あるいは骨粗鬆症による安静時自発痛及び日常生活の運動時痛が非常に強い患者)には400mgを1日1回、食間に経口服用することができる。服用期間は2週間とする。再服用までの期間は10〜12週間として、これを1クールとして周期的間歇服用を行う。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、1日400mgを超えないこと。

- 【効能B】

- 本剤の吸収をよくするため、服薬前後2時間は食物の摂取を避けること。通常、成人は、エチドロン酸二ナトリウムとして800〜1000mgを1日1回、食間に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

- 【効能C】

- 本剤の吸収をよくするため、服薬前後2時間は食物の摂取を避けること。通常、成人は、エチドロン酸二ナトリウムとして200mgを1日1回、食間に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、1日1000mgを超えないこと。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
わりと多いのは、お腹の不快感や胃痛、吐き気、食欲不振、下痢などの胃腸症状です。まれな副作用ですが、消化性潰瘍を起こすこともあります。もともと胃腸の悪い人や高齢の人は注意してください。
同系の薬剤において顎骨壊死(がくこつえし)など あごの骨に副作用があらわれることがあります。とくに抜歯後に起きやすいようです。抜歯により傷ついた顎骨がうまく修復できず壊死してしまうのです。もし、歯が浮いたり、歯茎やあごが腫れて痛んだりしたら、直ちに歯科ないし口腔外科を受診ください。さらに最近報告されるのが外耳道骨壊死です。外耳炎、耳だれ、耳痛が続く場合には、耳鼻科を受診してください。
骨折の危険性は全体として低下しますが、特異なケースとして 長期使用時における‘非定型骨折’が報告されています。前ぶれとして 大腿部近くの足の付け根や太もも、あるいは前腕部が痛むことがあるようです。発現頻度はきわめてまれとはいえ、いつもと違う痛みが気になるときは早めに受診し骨折の危険性がないか調べてもらいましょう。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 消化管潰瘍..胃痛、腹痛、下血(黒いタール状の血液便)、吐血(コーヒー色のものを吐く)。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 顎骨壊死・顎骨骨髄炎..歯が浮く、歯の奥の痛み、歯茎の腫れ・痛み、あごのしびれ感・腫れ、抜歯など歯科治療後に腫れや痛みが続く。
- 外耳道骨壊死..外耳炎、耳だれ、耳の痛み。
- 大腿骨や腕の非定型骨折..太もも、足の付け根、腰、前腕部の痛み。
 【その他】
- 腹部不快感、胃痛、吐き気、食欲不振、喉の灼熱感
- 下痢、軟便
- 頭痛、発熱
- 発疹、かゆみ
- 高リン血症
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