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成分(一般名) テネリグリプチン臭化水素酸塩
製品例 テネリア錠20mg~40mg、テネリアOD錠20mg~40mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 糖尿病用剤/DPP-4阻害剤/選択的DPP-4阻害剤、2型糖尿病治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血糖を下げるお薬です。糖尿病の治療に用います。
作用

【働き】

血液中の糖分「血糖」は、膵臓から分泌されるインスリン・ホルモンで調節されます。糖尿病は、そのインスリンの量が不足したり働きが悪くなることで血糖値が上がってしまう病気です。そのまま放置すると、手足のしびれ(神経障害)、目の病気(網膜症)、腎臓病などいろいろな合併症を引き起こします。

このお薬は、血糖を下げる血糖降下薬です。好ましい特性として、血糖値を適時、適度に下げる点があげられます。つまり、血糖値が高いときにインスリンを分泌させ、血糖をほどよく下げるのです。適応症は、2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)です。日々の血糖値を適切に保つことは、将来起こるかもしれないさまざまな合併症の予防につながります。

【薬理】

食事をとると、インクレチン(GLP-1、GIP)という消化管ホルモンが分泌され、膵臓に対しインスリン分泌を促します。さらに、インクレチン(GLP-1)は膵臓からのグルカゴン分泌を低下させ、肝臓における糖の産生を抑制します。インクレチンはこのようにして血糖を下げるのですが、血糖依存的に作用するので、血糖値が低い場合にはインスリンの分泌を促進せず必要以上に血糖を下げません。

この薬の有効成分テネリグリプチンは、インクレチンを分解する酵素DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)を選択的に阻害し、活性型インクレチン濃度を上昇させます。結果的に、鈍っているインクレチンの働きを高め、血糖依存的な血糖低下作用をもたらすことになるのです。このような薬理作用から選択的DPP-4阻害薬と呼ばれています。

【臨床試験】

2型糖尿病の患者さんをクジ引きで分け、99人はこの薬を、別の104人はプラセボ(にせ薬)を服用し、その効果を比較する試験が行われています。服用期間は3ヶ月間。効果の判定は一定期間の平均血糖値の指標となるHbA1c値の変化量でおこないます。

その結果、この薬を飲んでいた人達のHbA1cは平均0.62低下(7.53→6.91)、プラセボを飲んでいた人達は0.17上昇しました。プラセボではかえって上昇したのに対し、この薬では明らかに低下し血糖が改善できたわけです。また、別の長期投与試験においても、長期にわたり安定した血糖コントロールが得られることが確かめられています。
特徴
  • 国内5番目の選択的DPP-4阻害薬です。スルホニルウレア系など従来からのインスリン分泌促進薬とは作用機序が違います。その作用は、DPP-4阻害作用にもとづくインクレチン ホルモンを介するものです。HbA1c値が低下し、血糖コントロールが改善されます。
  • 単独ではやや弱いので、他の糖尿病治療薬と併用することがあります。インスリン注射薬をふくめ、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、スルフォニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬、ビグアナイド薬など、すべての糖尿病治療薬との併用が可能です。
  • 血糖に依存し比較的ゆるやかに作用しますので、効きすぎによる低血糖を起こしにくいです。また、食欲を増進することがなく体重増加をきたしにくいとされます。これらの特性から、新規発症者や高齢の人に向くようです。また、肥満型にくわえ日本人に多い非肥満型の糖尿病にも有用と考えられています。
  • 腎臓病や肝臓病のある人にも比較的使いやすい薬剤です。腎機能が低下している場合でも、とくに減量を必要としません。
  • 新しい薬なので、本当に合併症を予防できるのか、長生きにつながるのかなど長期的な予後改善効果については、まだよく分かっていません。長期服用時の有効性や安全性については、今後の課題といえるでしょう。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある人は申し出てください。
  • もし、体調が悪ければ、そのことも伝えてください(発熱、食欲がない、下痢をしている・・など)
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。とくに低血糖時の対処について、ご家族もふくめ十分心得ておくことが大事です。
  • 治療中に低血糖症を起こした場合は、必ず医師に報告してください。

【注意する人】

インスリン注射が適用となる1型糖尿病や、インスリン分泌能力が著しく低下している重い糖尿病には向きません。

  • 適さないケース..1型糖尿病、糖尿病性昏睡、ケトアシドーシス、重い外傷や感染症、手術前後などでインスリンが適用となる場合。
  • 注意が必要なケース..重い肝臓病、心臓病、脳下垂体機能不全、副腎機能不全、腸閉塞の既往、腹部手術を受けたことのある人、栄養不良状態、衰弱状態、不規則な食事や食事摂取量の不足、アルコール摂取量の多い人、他の血糖降下薬を飲んでいる人、激しい筋肉運動をおこなう場合など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

他の血糖降下薬といっしょに飲むときは、低血糖症に注意が必要です。とくにスルホニルウレア薬(SU薬)、またはインスリン注射薬と併用するさいは、それらの減量を考慮しなければなりません。よく使われるスルホニルウレア系薬剤には、グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)などがあります。ほかにも、血糖降下作用に影響する薬がたくさんあります。使用中の薬を忘れず報告しましょう。

  • 血糖降下作用を強める薬の例..スルホニルウレア系薬やインスリン注射薬をはじめとする他の血糖降下薬、ある種の降圧薬(β遮断薬)、フィブラート系高脂血症治療薬(ベザトール、リピディル、トライコア等)など。
  • 血糖降下作用を弱める薬の例..ステロイド薬(プレドニン等)、甲状腺ホルモン薬(チラーヂン等)など。
  • 不整脈(QT延長)を起こすことのある薬の例..プロカインアミド(アミサリン)、ジソピラミド(リスモダン、ノルペース)、シベンゾリン(シベノール)、ピルメノール(ピメノール)、アミオダロン(アンカロン)、ソタロール(ソタコール)など。
  • アルコールは血糖値を乱し、ときに低血糖発作を誘発します。できるだけ控えてください。飲酒を希望するなら、医師とよく相談のうえにしましょう。

【使用にあたり】
  • 飲み方は医師の指示通りにしてください。通常は1日1回1錠だけです。食事と関係なく飲めますが、飲み忘れのないように時間を決めて規則正しく服用しましょう。
  • 低血糖症に注意してください。症状は副作用の項にあります。症状があらわれたら、すぐ糖分をとってください。吸収のいい砂糖がおすすめです。10〜20gをとりましょう。そのほか甘いジュースでもかまいませんが、アメ玉は溶けるのに時間がかかるので向きません。なお、αグルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル等)を併用している場合は、病院から渡されるステイックシュガー(ブドウ糖)にしてください。糖分を十分とれば15分くらいで治ってきます。外出のさいも持ち歩きましょう。
  • 万一の重い低血糖症にそなえ、糖尿病手帳やカードを身に付けるとよいでしょう。
  • 低血糖には注意が必要ですが、こわがりすぎて血糖値を高いままにしてはいけません。

【検査】

血糖値やHbA1cをはじめ、必要な検査を定期におこない、効果や副作用をチェックします。

【妊娠授乳】

妊娠中は飲み薬ではなく、インスリン注射薬による治療を優先します。

【食生活】
  • この薬を飲みはじめても、食事療法や運動療法をきちんと続けましょう。
  • 低血糖によるめまいやふらつき、さらには意識障害を起こすおそれがあります。車の運転や高所作業のさいは十分注意してください。

【備考】
  • 2型糖尿病では、食事療法や運動療法がとても大切です。アメリカでおこなわれた「糖尿病予防プログラム(DPP)」でも、その重要性が示されています。糖尿病の一歩手前の人(IGT)約3200人を、@プラセボ(にせ薬)を飲む人、A糖尿病治療薬のメトホルミンを飲む人、B食生活を改善する人(強化食事・運動療法)の3つのグループに分け、糖尿病の発症予防効果を比較した試験です。試験の結果、もっとも予防効果があったのはBの「食生活を改善するグループ」でした。
  • 2型糖尿病や境界型の人は、まず食事療法や運動療法からはじめます。医師や栄養士とよく相談のうえ、自分に適したやりかたで日々続けることが大切です。このような基本療法だけで血糖値が十分に下がれば薬を使う必要はありません。けれど不十分な場合は、飲み薬やインスリン注射による薬物治療が必要となってきます。基本療法は、薬を飲みはじめても続けるようにしてください。
  • メトホルミンは別として、飲み薬の最終的な効果(重い合併症を防げるか、長生きできるか)は、必ずしも十分確かめられていません。一方、インスリン注射薬でより厳格に血糖値をコントロールすると、目の病気(網膜症)や腎臓病などの重い合併症を減らせることが証明されています。2型糖尿病でも、医師からインスリン療法をすすめられた場合は積極的に受け入れてください。
効能 2型糖尿病
用法 通常、成人はテネリグリプチンとして20mgを1日1回経口服用する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら40mg1日1回に増量することができる。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 とくに他の血糖降下薬と併用する場合は、低血糖症の発現に十分に注意してください。低血糖とは、必要以上に血糖値が下がってしまう状態です。おおよそ血糖値が50mg/dl以下になると低血糖特有の症状があらわれてきます。ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、力の抜けた感じ、目のちらつき、イライラ、ぼんやり・・といった症状です。さらに重くなると、けいれんしたり、意識を失うこともあります。すぐに糖分を補給しましょう。

そのほかは ほとんどありませんが、重い副作用として腸閉塞の報告があるようです。ひどい便秘、腹部膨満、持続する腹痛、吐き気や嘔吐といった症状に注意し、そのような場合は医師と連絡をとり適切な指示を受けてください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
  • 腸閉塞..お腹が張る・膨れる、吐き気、吐く、便秘、腹痛。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 類天疱瘡..水ぶくれ、びらん、紅斑、かゆみ。

【その他】
  • 便秘、腹部膨満、腹部不快感、吐き気、腹痛
  • 肝機能値の異常
  • 湿疹、かゆみ

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。