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成分(一般名) プラスグレル塩酸塩
製品例 エフィエント錠2.5mg~3.75mg~5mg、エフィエントOD錠20mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の血液,体液用薬/抗血小板剤/抗血小板剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血液を固まりにくくするお薬です。狭心症や心筋梗塞でステントを留置するときに用います。また、脳卒中(脳梗塞)の予防薬にもなります。
作用

【働き-1】

虚血性心疾患は、心臓の冠動脈が動脈硬化により狭窄し、心筋への血液供給が不足する病気です。このうち、‘狭心症’では心臓の血液需要が増大する運動時に胸が痛んだり圧迫感を感じたりします。その程度がひどくなり、安静時にまで出現するような状態が‘不安定狭心症’です。これを放置すると、冠動脈が血栓で完全にふさがり、命にかかわる急性心筋梗塞を起こしかねません。

そのような危険な虚血性心疾患に対する治療法のひとつが経皮的冠動脈形成術、通称‘PCI’です。カテーテル治療の一種であり、カテーテルを冠動脈まで挿入しバルーン(風船)をふくらませて血管を広げます。さらに、その部分に網目筒状の金属製‘ステント’を留置するのが一般的です。ステントが血管の支えとなり、再狭窄のリスクが低減されるわけです。

このお薬は、血液を固まりにくくし血栓ができるのを防ぎます。上記PCI においては、作用機序が異なるもうひとつの抗血小板薬のアスピリンとの併用療法が標準的です。これら2剤による強化療法を行うことで、ステント血栓を抑制し、PCIの治療効果を長続きさせることができるのです。

【働き-2】

脳の血管が詰まる脳卒中(脳梗塞)の再発予防にも用いられます。とくに、太い動脈がコレステロールなどで狭くなる大血管アテローム硬化(アテローム血栓性脳梗塞)と小血管の閉塞(ラクナ梗塞)に効果が高く、また一過性脳虚血発作にも有効と考えられます。

【薬理】

体内で活性代謝物に変換されたあと、血小板膜上のADP(アデノシン二リン酸)受容体サブタイプP2Y12を選択的・非可逆的に阻害することで、血小板の活性化を抑制します。すると、血小板の凝集がおさえられ、フィブリノーゲンという血液の接着成分が結合しにくくなり、結果として血栓形成が抑制されるのです。抗血小板薬の部類ですが、専門的にADP受容体拮抗薬またはP2Y12受容体拮抗薬と呼ぶことがあります。

【臨床試験-1】

この薬の有効性と安全性を調べるため、既存の類似薬のクロピドグレル(プラビックス)と比較する臨床試験が行われています。参加したのは、PCIを受ける急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症)の患者さん1363人。どちらを飲むかはクジ引きで半々に分かれるようにし、基礎薬として全員がアスピリンを併用します。効果判定の主要評価項目は、6ヵ月後までに心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)を起こした人の割合です。

その結果、心血管イベントの発現割合は、この薬を飲んでいた人達で9.3%(64/685人)、クロピドグレルを飲んでいた人達で11.8%(80/678人)でした。参加人数が不十分なため 優越性の検証はできないものの、少なくとともクロピドグレルに劣ることはなく、同等以上の有効性が期待できる結果です。一方、副作用としての出血の発現率は、この薬で49.8%(341/685人)、クロピドグレルで36.4%(247/678人)と、やや高い傾向でした。

【臨床試験-2】

脳梗塞についても臨床試験が行われています。脳梗塞再発リスクが高い大血管アテローム硬化(アテローム血栓性脳梗塞)または小血管の閉塞(ラクナ梗塞)がある患者さんを対象に、既存薬のクロピドグレル(プラビックス)と効果を比較する試験です。その結果、この薬を飲んだ人の再発率は6.8%(8/118人)、クロピドグレルの人では7.1%(8/112例)でした。同程度に再発が抑えられ、クロピドグレルに劣らない発症抑制効果が示されたわけです。
特徴
  • チエノピリジン系の抗血小板薬(ADP受容体拮抗薬)です。PCIが適用される虚血性心疾(狭心症、心筋梗塞)においては、アスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の二剤抗血小板薬併用療法が推奨されています。
  • 同系のチクロピジン(パナルジン)にみられる重篤な副作用の発現率は低いです。また、クロピドグレル(プラビックス)に比べ効果発現が早いとされ、早期からの血栓予防効果が期待できます。国内での用法・用量とは異なりますが、海外での臨床試験ではクロピドグレルを上回る有効性が示されています。
  • CYP2C19遺伝子多型等によりクロピドグレルに反応性が低く、十分な効果が期待できない患者さんにおいて有望な治療選択枝になりそうです。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。また、別の病院にかかるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解しておくことが大切です。
  • 手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。出血が止まりにくくなることがあります。

【注意する人】

血が止まりにくくなるので、出血を起こしている場合は使用できません。同様の理由で、手術の2週間くらい前から一時休薬することがあります。保存的治療あるいは冠動脈バイパス術が選択され、PCIをおこなわない場合は処方を控えます。

  • 適さないケース..出血をともなう病気(血友病、脳出血、消化管出血、尿路出血、喀血、眼底出血など)、PCIを適用しない場合。
  • 注意が必要なケース..出血傾向のある人、重い肝臓病、重い腎臓病、高血圧、脳卒中を起こしたことのある人、低体重、高齢の人、手術の前後。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • ワルファリンなど他の抗血栓薬と併用する場合は、出血の副作用に十分注意する必要があります。
  • ある種の鎮痛薬(NSAID)や抗うつ薬(SSRI)との併用により、出血を起こしやすくなる可能性があります。とくに鎮痛薬による消化管出血の副作用を助長するおそれがあります。

【使用にあたり】
  • PCIを急ぐ場合は、すばやい効果を期待して、初回服用量が20mgと多めになります。2日目からは、維持用量として1回3.75mgを1日1回食後に服用します。胃の負担になる空腹時は避けたほうがよいでしょう。
  • 安定狭心症で余裕をもってPCIに臨める場合、PCIを行うまでに1日3.75mgを5日間くらい服用できれば、初回服用量を必ずしも多くする必要はありません。
  • 抗血小板薬併用療法として別系統のアスピリン(バイアスピリン、バファリン)といっしょに飲みます。どちらも大切ですから、飲み忘れないようにしましょう。
  • 万一飲み忘れたら、気づいたときにすぐ1回分を飲んでください。次の服用時間が近ければ1回分をとばし、次からいつも通りに飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 服用期間は数ヵ月から数年です。症状やステントの種類によりますので、医師から指示された期間続けてください。なお、基礎薬のアスピリンは原則生涯飲み続けなければなりません。
  • 出血しやすくなります。皮下出血や鼻血など異常な出血がみられたら医師と連絡をとってください。また、歯科をふくめ他科または別の病院を受診する際は、この薬を飲んでいることを必ず医師に伝えてください。

【検査】

定期的に肝機能や腎機能、血液の検査を受ける必要があります。とくに飲み始めの2カ月間は、2週間ごとにおこなうことが望ましいです。

【食生活】
  • 出血が止まりにくいかもしれません。運動や危険な作業を行うさいは、ケガをしないように注意しましょう。もしも、ひどいケガをしたときは、直ちに受診してください。
  • 食生活の改善も大切です。狭心症のある人は、禁煙、節酒に努めましょう。タバコは、狭心症や心筋梗塞の発症率を高める最大の危険因子です。飲酒は、めまいや立ちくらみ、頭痛などの薬の副作用を強めます。ストレスや過労もできるだけ避けてください。
効能

【効能A】

経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患

  • 急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)
  • 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞

    [注意] PCIが適用予定の虚血性心疾患患者への投与は可能である。冠動脈造影により、保存的治療あるいは冠動脈バイパス術が選択され、PCIを適用しない場合には、以後の投与を控えること。

【効能B(錠2.5mg~3.75mg)】

虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制(脳梗塞発症リスクが高い場合に限る)

  • [注意1]虚血性脳血管障害の病型分類を十分に理解した上で、TOAST分類の大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う虚血性脳血管障害の患者に投与すること。同分類のその他の原因による又は原因不明の虚血性脳血管障害の患者には、有効性が認められていないため投与しないこと。
  • [注意2]高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、最終発作前の脳梗塞既往のいずれかを有する患者に投与すること。
用法

【効能A】

通常、成人は、服用開始日にプラスグレルとして20mgを1日1回経口服用し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口服用する。

  • [注意1]抗血小板薬二剤併用療法期間は、アスピリン(81〜100mg/日、なお初回負荷投与では324mgまで)と併用すること。抗血小板薬二剤併用療法期間終了後の投与方法については、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること。
  • [注意2]PCI施行前に本剤3.75mgを5日間程度投与されている場合、初回負荷投与(投与開始日に20mgを投与すること)は必須ではない。本剤による血小板凝集抑制作用は5日間で定常状態に達することが想定される。
  • [注意3]初回負荷投与を除き空腹時の投与は避けることが望ましい。空腹時は食後投与と比較してCmaxが増加する。
  • [注意4]低体重の患者(体重50kg以下)では、出血の危険性が増大するおそれがあるので、必要に応じて維持用量1日1回2.5mgへの減量も考慮すること。

【効能B】

通常、成人は、プラスグレルとして3.75mgを1日1回経口服用する。

  • [注意1]空腹時の投与は避けることが望ましい。空腹時は食後投与と比較してCmaxが増加する。
  • [注意2]低体重の患者(体重50kg以下)では、出血の危険性が増大するおそれがあるので、必要に応じて1日1回2.5mgへの減量も考慮すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 出血したり、血が止まりにくくなることがあります。もしも出血がみられたら、医師に連絡してください。たとえば、歯ぐきの出血、鼻血、皮下出血、血尿などです。重症化することはまれですが、脳出血や消化管出血など重大な出血を起こす危険性がないとはいえません。

そのほか、類似薬による副作用をふくめ、重篤な肝障害、無顆粒球症など血液障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)などの報告があります。重い副作用の発現率はきわめてまれですが、念のため下記のような初期症状に留意ください。とくに飲み始めの2カ月間は要注意です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重大な出血(脳出血、消化管出血、心嚢内出血、肺出血等)..頭痛、吐き気、嘔吐、しびれ、片側のまひ、うまく話せない、意識もうろう、吐血、血便(赤〜黒い便)、血痰、息苦しい。
  • 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)..だるい、食欲不振、皮下出血(青あざ)、発熱、意識もうろう
  • 重い過敏症..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。

【その他】
  • 出血(皮下出血、青あざ、血豆、鼻血、歯ぐき出血、血痰、痔出血、血尿、吐血、血便)
  • 貧血、肝機能異常

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。