概説 |
食事がとれないときに用いる総合栄養剤です。 |
作用 | 栄養管理はどんな病気でも大事です。このお薬は、食事がとれないときや消化・吸収力が弱っているときに用いる総合栄養剤です。タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養分が吸収されやすいかたちで配合されています。そのまま腸から吸収できるように調整されているので、専門的に「経腸栄養剤」と呼ばれています。
口から飲むこともありますが、飲めないときは経管投与として鼻の穴(経鼻)または胃や腸に開けた穴(胃瘻、腸瘻)からチューブで胃や腸内に注入することができます。消化をほとんど必要としないので、胃腸が弱っているときや、胃腸を休めたいときに好んで用いられます。具体的には、胃腸の手術のあと、放射線治療にともなう腸炎、膵炎、あるいは炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などで腸の安静をはかりたいときなどです。静脈栄養療法から、こちらに切り替えることもあります。 |
特徴 |
- 経腸栄養剤のうち、「消化能栄養剤」に分類されます。窒素源(タンパク源)はアミノ酸と低分子ペプチドとして配合され、また脂質が比較的少ないので、消化をほとんど必要としません。そのまま腸から吸収されるので、残りかすの残渣(便)もわずかです。
- ツインラインNFは、ビタミンK含有量を他の経腸栄養剤と同程度にした新処方製剤です。ビタミンK含有量が多くワルファリンとの相互作用が心配される従来品(ツインライン配合経腸用液)は中止となりました。
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注意 |

- 【診察で】

- 外来で処方されましたら、調製方法や使用方法、注意点などについて、よく説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 重い肝臓病や腎臓病、腸閉塞、急性膵炎など、病気によっては使用を控えることがあります。糖尿病を合併している場合は血糖値の変動に注意が必要です。長期の静脈栄養療法から切り替えるときや、大きな手術のあとなどで腸の働きが弱っている場合は、薄めて少量で始めるなど、希釈濃度、使用量、注入スピードなどに留意します。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 配合成分のビタミンKの影響により、抗血栓薬のワルファリン(ワーファリン)の作用が減弱するかもしれません。併用のさいは、定期的に血液の固まり具合の検査を受ける必要があります。
 【使用にあたり】
- 病気により、また病状により使用方法が違います。指示された用法用量にならって使用してください。経管投与を前提とする栄養剤ですが、必要に応じて口から飲むこともできます。
- 経管栄養の場合は、鼻の穴(経鼻)またはお腹に開けた穴(胃瘻、腸瘻)から専用のチューブを通しポンプで注入します。感染予防のため、汚染防止に留意し衛生的におこなってください。
- 少量で開始し、徐々に増量するのが一般的です。注入スピードが速すぎると、下痢を起こしやすいです。決められた時間でゆっくりとおこなってください。
- 使用直前にA液とB液を混合し、12時間以内に使い切るようにしてください。加温する場合は、熱湯を避け、未開封のまま微温湯でおこなってください。
- 味はあまり良くありません。経口で飲みにくいときは、医師か薬剤師に相談してみるとよいでしょう。ココア、コーヒー、レモンスカッシュ、グレープフルーツの4種類の味付けフレーバーがあります。
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効能 |
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する |
用法 |

- 【一般】

- 通常、A液200mLとB液200mLを用時混合し、成人標準量として1日1、200〜2,400mL(1,200〜2,400 kcal)を鼻腔チューブ、胃瘻又は腸瘻より胃、十二指腸又は空腸に1日12〜24時間かけて投与する。投与速度は75〜125mL/時間とする。経口摂取可能な場合は1回又は数回に分けて経口投与することもできる。
また、投与開始時は、通常1日当たり400mL(400kcal)を低速度(約50mL/時間)で投与し、臨床症状に注意しながら増量して3〜7日で標準投与量に達するようにする。なお、年齢、体重、症状により投与量、投与濃度、投与速度を適宜増減する。

- 【小児】

- 約0.4kcal/mLの濃度より投与を開始し、臨床症状を注意深く観察しながら、徐々に濃度を上昇させること。なお、標準濃度は0.7〜0.8kcal/mLとする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは下痢です。お腹が張ったり、吐き気がすることもあります。下痢は、注入スピードが速すぎたり、製剤が冷えていると起きやすいです。下痢が続くようでしたら、医師と相談してみてください。
また、高濃度の溶液を短時間で注入すると、血糖値の急激な変動により体調が悪くなることがあります。高血糖の反動として低血糖を生じ、けん怠感、脱力感、めまい、冷や汗といった症状が現われることがあるのです。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ダンピング症候群様の低血糖..けん怠感、脱力感、めまい、冷や汗、ふるえ、さむけ、顔面蒼白、けいれん、意識低下。
- ショック、アナフィラキシー様症状..気持ちが悪い、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
 【その他】
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