概説 |
食事がとれないときに用いる総合栄養剤です。 |
作用 | 栄養管理はどんな病気でも大事です。このお薬は、食事がとれないときや消化・吸収力が弱っているときに用いる総合栄養剤です。糖質を中心に、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養分が吸収されやすいかたちで配合されています。そのまま腸から吸収できるように調整されているので、専門的に「経腸栄養剤」と呼ばれています。
口から飲むこともありますが、飲めないときは経管投与として鼻の穴(経鼻)または胃や腸に開けた穴(胃瘻、腸瘻)からチューブで胃や腸内に注入することができます。消化をほとんど必要としないので、胃腸が弱っているときや、胃腸を休めたいときに最適です。具体的には、胃腸の手術や大きな手術の前後、急性膵炎の回復期、大やけど、放射線治療にともなう腸炎、あるいは炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などで腸の安静をはかりたいときなどです。静脈栄養療法から、こちらに切り替えることもあります。 |
特徴 |
- 経腸栄養剤のうち「成分栄養剤」に分類されます。特徴は、窒素源(タンパク源)が消化を必要としないアミノ酸だけということ、そして脂質がごくわずかなことです。栄養分がそのまま腸から吸収されるので、残りかすの残渣(便)がほとんどでません。
- 臭みがあり、味が悪いです。青リンゴやパイナップル味など8種類のフレーバーがありますので、これを添加すれば多少なりとも飲みやすくなります。80g入りの袋と、80g入りボトルタイプがあり、使い勝手や好みで選べます。
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注意 |

- 【診察で】

- 外来で処方されましたら、調製方法や使用方法、注意点などについて、よく説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 糖尿病を合併している場合は血糖値の変動に注意が必要です。
 【使用にあたり】
- 病気により、また病状により使用方法が違います。指示された用法用量にならって使用してください。経管投与を前提とする栄養剤ですが、必要に応じて口から飲むこともできます。
- 経管栄養の場合は、鼻の穴(経鼻)またはお腹に開けた穴(胃瘻、腸瘻)から専用のチューブを通しポンプで注入します。感染予防のため、汚染防止に留意し衛生的におこなってください。
- 低濃度、少量で開始し、徐々に増量するのが一般的です。注入スピードが速すぎると、下痢を起こしやすいです。決められた時間でゆっくりとおこなってください。
- 粉末を容器に入れ、水か微温湯に溶かして使用します。溶かし方は医師の指示どおりにしてください。溶解後は12時間以内に使い切るようにしてください。
- 味はよくありません。経口で飲みにくいときは、医師か薬剤師に相談してみるとよいでしょう。青リンゴ、パイナップル、オレンジ、コーヒー、ヨーグルト、さっぱり梅、グレープフルーツ、フルーツトマトの8種類の味付けフレーバーがあります。ムースベースでとろみをつけたり、ゼリーミックスで固めることも可能です。
- 脂質が非常に少ないので、長期使用時は脂肪分を点滴で補う必要があります。また、微量元素のセレン欠乏症や乳幼児のカルニチン欠乏症も報告されているようです。普通の食事に勝るものではないので、原則、手術後の一定期間または急性期だけとし、回復したなら できるだけ早く半消化態経腸栄養剤や流動食に切り替えるようにします。
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効能 |
本剤は、消化をほとんど必要としない成分で構成されたきわめて低残渣性・易吸収性の経腸的高カロリー栄養剤でエレメンタルダイエット又は成分栄養と呼ばれる。一般に、手術前・後の患者に対し、未消化態蛋白を含む経管栄養剤による栄養管理が困難な時用いることができるが、とくに下記の場合に使用する。
- 未消化態蛋白を含む経管栄養剤の適応困難時の術後栄養管理
- 腸内の清浄化を要する疾患の栄養管理
- 術直後の栄養管理
- 消化管異常病態下の栄養管理(縫合不全、短腸症候群、各種消化管瘻等)
- 消化管特殊疾患時の栄養管理(クローン氏病、潰瘍性大腸炎、消化不全症候群、膵疾患、蛋白漏出性腸症等)
- 高カロリー輸液の適応が困難となった時の栄養管理(広範囲熱傷等)
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用法 |

- 【用法】

- 通常、エレンタール配合内用剤80gを300mLとなるような割合で常水又は微温湯に溶かし(1kcal/mL)、鼻腔ゾンデ、胃瘻、又は腸瘻から、十二指腸あるいは空腸内に1日24時間持続的に注入する(注入速度は75〜100mL/時間)。また、要により本溶液を1回又は数回に分けて経口投与もできる。
標準量として成人1日480〜640g(1,800〜2,400kcal)を投与する。なお、年令、体重、症状により適宜増減する。一般に、初期量は、1日量の約1/8(60〜80g)を所定濃度の約1/2(0.5kcal/mL)で投与開始し、患者の状態により、徐々に濃度及び投与量を増加し、4〜10日後に標準量に達するようにする。
 【調製方法】
- エレンタール配合内用剤1袋80gを1kcal/mLに調製する場合..容器に常水又は微温湯を約250mL入れ、エレンタール配合内用剤1袋を加えて速やかに攪拌する。この場合、溶解後の液量は約300mL(1kcal/mL)となる。
- エレンタール配合内用剤プラスチック容器入り1本80gを1kcal/mLに調製する場合..常水又は微温湯で溶解し、液量を約300mLの目盛り(凸部)に調製する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは下痢です。お腹が張ったり、吐き気がすることもあります。下痢は、注入スピードが速すぎたり、製剤が冷えていると起きやすいです。下痢が続くようでしたら、医師と相談してみてください。
また、高濃度の溶液を短時間で注入すると、血糖値の急激な変動により体調が悪くなることがあります。高血糖の反動として低血糖を生じ、けん怠感、脱力感、めまい、冷や汗といった症状が現われることがあるのです。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、咳、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- ダンピング症候群様の低血糖..けん怠感、脱力感、めまい、冷や汗、ふるえ、さむけ、顔面蒼白、けいれん、意識低下。
 【その他】
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