概説 |
ビタミンKを補給するお薬です。ビタミンKの不足による出血を防ぎます。また、高用量のカプセルは、骨を丈夫にするのに用います。 |
作用 | 
- 【作用-1】

- ビタミンKは、血液の凝固系に関係しています。不足すると、血液を固めるのに必要な凝血因子「プロトロンビン」という蛋白質がつくれなくなります。そして、血が止まりにくくなり、出血しやすくなります。
本来、ビタミンKは不足しにくいビタミンです。けれど、肝臓や腸などに特別な病気があるときは別です。また、生まれたばかりの赤ちゃんは、ビタミンKの吸収や代謝が弱いため、出血を起こしやすく、血便がでたりします。そのようなときに、このお薬でビタミンKを補給します。赤ちゃんの出血の治療や予防には、ビタミンKの注射をしたりシロップを飲んだりします。
そのほか、薬の副作用による出血にも用います。たとえば、強い抗生物質を飲み続けると、ビタミンKが足りなくなってくることがあります。ビタミンKをつくる腸内細菌が減ってしまうためです。また、抗凝血薬のワーファリンが効きすぎると出血しやすくなります。このようなときにも、ビタミンKの薬が有効です。

- 【作用-2】

- もう一つのビタミンKの役目に、骨の形成があります。骨をつくる骨芽細胞の働きを助け、骨を丈夫にするのです。このような作用から、骨粗鬆症の治療にビタミンK2の高単位製剤(グラケー)が用いられます。腰痛や背中の痛みが改善するとともに、骨密度の増加や骨折予防効果も多少期待できます。
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特徴 |
- 古くから、低プロトロンビン血症にもとづく出血に対し、止血薬として用いられてきました。その後、骨粗鬆症の薬として高単位製剤のグラケーが新たに開発されました。
- 骨粗鬆症治療薬としては、作用がおだやかで、副作用もほとんどありません。老人性の軽い骨粗鬆症に向くほか、ステロイド骨症に対しビスホスフォネート薬が使用困難なときに用いることがあります。また、胃切除後など消化機能が弱っている人や、抗生物質の長期使用時などにも適すると考えられます。
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注意 |

- 【診察で】

- 血栓症の薬など服用中の薬を医師に報告してください。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- この薬の有効成分ビタミンKは、ワルファリンという抗血栓薬の作用を弱めます。とくに骨粗鬆症治療用の高単位製剤グラケーは影響が大きいので、ワルファリン服用中の人は グラケーの使用を避けなければなりません(ワルファリンによる血栓症の治療を優先)。一方で、ワルファリンの効きすぎによる出血には、ビタミンKで対抗します(ふつう注射を使用)。
 【使用にあたり】
- 症状により、飲み方や服用量が違います。指示どおりに正しくお飲みください。
- 高単位製剤(グラケー)は必ず食後に飲むようにしてください。空腹時ですと吸収が悪いです。
 【食生活】
- 普通に食事をとっている健康な人では、ビタミンが欠乏することはありません。栄養剤としてビタミンの補給が必要なのは、消耗性の病気や胃腸に病気のある人などです。
- 無理なダイエットや偏食が続くと、ビタミンが不足がちになってくるかもしれません。そのような場合は、薬やサプリメントだけに頼るのではなく、普通に食事をとることが何より大切です。
- ビタミンKをたくさん補給できるのは納豆です。好みがあると思いますけど、とくに骨の弱い人にオススメです。そのほか、ブロッコリーやほうれん草など野菜類、海草、肉、乳製品などいろいろな食物に含まれています。また、ビタミンKは腸内細菌によってもたくさん産生されます。
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効能 |
 【ケイツーカプセル5mg】
- 新生児低プロトロンビン血症
- 分娩時出血
- 抗生物質服用中に起こる低プロトロンビン血症
- クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症
 【ケイツーシロップ】
- 新生児出血症及び新生児低プロトロンビン血症の治療
- 新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防

- 【グラケーカプセル15mg】

- 骨粗鬆症における骨量・疼痛の改善。
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用法 |
 【ケイツーカプセル5mg】
- 新生児低プロトロンビン血症、分娩時出血..妊婦に分娩1週間前より1日メナテトレノンとして20mg(4カプセル)を連日服用する。
- 抗生物質服用中に起こる低プロトロンビン血症..通常、成人は1日メナテトレノンとして20mg(4カプセル)を朝・夕2回に分けて食後に経口服用する。
- クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症..通常、成人は1日メナテトレノンとして40mg(8カプセル)を朝・夕2回に分けて食後に経口服用するが、症状、血液凝固能検査結果に応じて適宜増減する。
 【ケイツーシロップ】
- 新生児出血症及び新生児低プロトロンビン血症の治療..通常1日1回、1mL(メナテトレノンとして2mg)を経口服用する。なお、症状に応じて3mL(メナテトレノンとして6mg)まで増量する。
- 新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防..通常、出生後、哺乳が確立したことを確かめてから、1回1mL(メナテトレノンとして2mg)を経口服用する。その後、2回目として生後1週間又は産科退院時のいずれか早い時期、3回目として生後1ヵ月時にそれぞれ1回1mLを経口服用する。

- 【グラケーカプセル15mg】

- 通常、成人はメナテトレノンとして1日45mgを3回に分けて食後に経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用はまずありません。あっても、胃の不快感や吐き気くらいです。万一、発疹や発赤があらわれた場合は、医師に連絡してください。
- 胃の不快感、吐き気、軟便、下痢
- 発疹、下痢、かゆみ
- むくみ
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