概説 |
ビタミンDを補うお薬です。カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にします。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- ビタミンDは「骨のビタミン」ともいわれ、骨や歯の発育に重要な役割をしています。ビタミンDが不足したり、その代謝に異常を生じると、骨の性状が悪くなり、痛みを感じたり、骨折しやすくなります。
このお薬は、活性型ビタミンD3の誘導体です。活性型なので、少量で効率的に作用します。おもに、高齢の人の骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療に用いられます。骨が丈夫になることで、腰痛などの痛みが改善し、骨折の予防にもつながります。

- 【薬理】

- 小腸や副甲状腺、あるいは骨にあるビタミンD受容体に結合して作用を発揮します。その働きかけにより腸からカルシウムがたくさん吸収されるようになり、また骨代謝回転を抑制することにより、骨密度を高め骨強度を増強します。

- 【臨床試験】

- 骨粗鬆症の患者さん1054人を2つのグループに分け、この薬と従来品のアルファカルシドール(アルファロール、ワンアルファ)の効果を比較する臨床試験が行われています。はたして どちらが骨折予防効果が高いのかを確かめるのが目的です。
3年間飲み続けた結果、椎体骨折を起こしてしまった人の割合は、この薬を飲んでいた人達で13.4%、アルファカルシドールを飲んでいた人達で17.5%でした。また、前腕骨骨折についても1.1%対3.6%と、この薬を飲んでいた人達のほうが、骨折発生頻度が少ないことが分かりました。
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特徴 |
- 活性型ビタミンD3製剤です。この系統は、骨粗鬆症の基礎薬として古くから多用されてきました。それほど強力ではありませんが、骨密度増加や骨折予防効果もある程度は期待できます。
- 同系の骨に対する作用を強めた薬剤です。すなわち、カルシウムの吸収を高めるだけでなく、骨そのものの代謝を改善し骨密度を増加させます。これら2つの作用により、旧来の同類薬をしのぐ骨折抑制効果を発揮します。
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注意 |
 【診察で】
- 市販薬も含め、服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中、もしくはその可能性のある人は医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。

- 【注意する人】

- 高カルシウム血症のおそれのある人は慎重に用いるようにします。たとえば、腎臓病、がん、副甲状腺機能亢進症のある人などです。慢性腎不全で高リン血症のある人は、リン吸着薬を用いて血液中のリンの値を下げておくようにします。また、尿路結石のある人は、尿中カルシウム値の上昇に注意し、上昇した場合には減量もしくは休薬を考慮します。妊娠中は禁止です。
- 適さないケース..妊婦中。
- 注意が必要なケース..高カルシウム血症のおそれのある人(腎臓病、がん、がん、原発性副甲状腺機能亢進症のある人など)、重い肝臓病、尿路結石のある人、妊娠する可能性のある人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- カルシウム剤と併用すると、血液中のカルシウム分が増えすぎることがあります。市販のカルシウム剤を飲んでいる場合は医師に報告してください。
- マグネシウム製剤と飲み合わせるときは、高マグネシウム血症や高カルシウム血症の発現に注意が必要です。マグネシウム製剤は下剤や胃腸薬として汎用されています。
- ジゴキシン(ジゴシン)などジギタリス系の強心薬と併用するときは、血清カルシウム値に注意をはらいます。血液中のカルシウム分が増えてくると、強心作用が強くなり不整脈がでやすくなるためです。
 【使用にあたり】
- 症状により服用量が違います。指示どおりに正しくお飲みください。脂溶性ビタミンですので、とりすぎてもいけません。
- 血中カルシウム濃度が上がりすぎた場合、いったん中止して様子をみます。数日後、正常値まで低下したなら、減量して再開します。

- 【検査】

- 尿や血液中のカルシウム濃度を定期的に調べる必要があります。重い高カルシウム血症の副作用を防ぐうえで重要です。
 【妊娠授乳】
- 動物実験で胎児の奇形が報告されています。このため、妊娠中は使用できません。若い人への処方は多くないと思いますが、もし妊娠の可能性が少しでもあるのなら、服用に先立ち、問診と妊娠検査で妊娠していないことを確認しなればなりません。
- 妊娠する可能性のある女性は、服用中および中止後2週間 避妊してください。妊娠が疑われるなら、直ちに受診し確定検査を受けてください。
- 授乳は避けてください。薬が母乳へ移行する可能性があるためです。
 【食生活】
- 骨粗鬆症による骨折の多くは、65歳以上のお年寄りです。若い人にはまずありません。けれど、若いうちから十分なカルシウム分をとり、骨を頑丈にしておくことは大切なことです。過度なダイエットは、将来、骨粗鬆症になる危険性が増えるかもしれません。
- ビタミンDは、ウナギやイワシなどの魚類のほかレバーやパンにも含まれます。また、皮膚でも日光の作用により合成されます。カルシウムは乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)や小魚にたくさん含まれます。栄養はいろいろな食べ物からバランスよくとることが大切です。
- 適度な運動も、骨量を増やし骨を丈夫にします。日光浴をかねた散歩やウォーキングが、その第一歩です。
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効能 |
骨粗鬆症 |
用法 |
通常、成人はエルデカルシトールとして1日1回0.75μgを経口服用する。ただし、症状により適宜1日1回0.5μgに減量する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。ただ、薬が効きすぎて、血液中のカルシウム分が増えすぎてしまうことがあります(高カルシウム血症)。はっきりした自覚症状がないことが多いので、定期的に検査を受けるようにしてください。そうすれば心配いりません。高カルシウム血症が続くと、腎臓の働きが悪くなったり、腎結石や尿管結石の原因にもなりかねません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 高カルシウム血症..だるい、脱力感、食欲不振、吐き気、吐く、口の渇き、腹痛、頭痛、めまい、いらいら感、かゆみ、筋力低下、筋肉痛。
- 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
- 腎結石、尿路結石..排尿時の痛み、下腹部・横腹・腰・背中の激しい痛み、尿の濁り、血尿。

- 【副作用】

- 尿中・血中カルシウム増加
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