概説 |
尋常性ざ瘡(ニキビ)を治療する塗り薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 尋常性ざ瘡は いわゆるニキビのことです。ホルモンバランスの変化による皮脂の過剰分泌が原因のひとつとされ、毛包内の皮脂貯留と角化異常を特徴とします。さらに、アクネ菌やブドウ球菌などの細菌類が増殖すると、赤みや腫れがいっそうひどくなります。
このお薬の第一の作用は抗菌作用です。炎症を引き起こす細菌類を殺菌・除去することで、赤みや腫れを改善します。さらに、第二の作用として角化した皮膚をやわらかくし、角層の剥離を助けます。これらの作用により、炎症性皮疹(赤ニキビ)、非炎症性皮疹(白ニキビ、黒ニキビ)を問わずニキビを減少させることができるのです。

- 【臨床試験】

- 尋常性ざ瘡のある患者さんを対象に、この薬とプラセボ(にせ薬)の効果を比較する試験が行われています。203人はこの薬を、別の201人はプラセボを使用し、3カ月後の炎症性皮疹(赤ニキビ)と非炎症性皮疹(白ニキビ、黒ニキビ)の減少率を調べます。
その結果、この薬を使用していた人達の炎症性皮疹の減少率は平均73%(18→5個)、プラセボの人達で42%(18→11個)でした。また、非炎症性皮疹の減少率は、この薬で57%(29→14個)、プラセボで22%(30→25個)でした。プラセボに比べ減少率が大きく、この薬のざ瘡に対する有効性が証明されたわけです。
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特徴 |
- 過酸化ベンゾイル(BPO)を含有する尋常性ざ瘡治療薬です。海外では標準的な外用治療剤として位置付けられ、長年にわたり使用されています。抗菌作用にくわえ、角質を改善する作用を持ち合わせているので、炎症性皮疹(赤ニキビ)、非炎症性皮疹(白ニキビ、黒ニキビ)を問わず広く適用可能です。
- 他の抗菌薬とは効きかたが違います。耐性菌の発現報告がなく、既存の抗菌薬耐性菌に対しても抗菌作用を発揮します。アクネ菌などによる細菌感染をともなう炎症性皮疹(赤ニキビ)にとくに有用性が高いです。
- 従来からのゲル剤にくわえ、ローション剤が発売されました。塗り広げやすく、しっとりとした使用感が特徴的です。
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注意 |

- 【診察で】

- アレルギーのある人は、医師に報告しておいてください。
 【使用にあたり】
- ふつう、1日1回、洗顔後に塗布します。決められた患部にだけ使用してください。
- 傷口、目、口唇、鼻の中は避けてください。もし付着した場合はすぐに水で洗い流してください。
 【食生活】
- できるだけ塗布部位を日光に当てないでください。日焼けランプや紫外線療法もよくありません。紫外線の影響で皮膚が過敏になりやすいからです。
- 漂白作用があるので、髪や衣類に付着しないように注意してください。
- 洗顔には角質を除去して皮脂を洗い流すという大切な意味があります。朝と入浴時の2回、石鹸を使ってお湯で丁寧に洗顔するとよいでしょう。蒸しタオルを顔にあて毛穴を開いてから洗顔するのもよい方法です。
- 物理的な刺激や圧迫はニキビを悪化させます。患部にむやみに触ったり、髪の毛の刺激もよくありません。頬にニキビがある人は、頬づえをやめたほうがいいです。
- お化粧はニキビを刺激しますし、皮脂を閉じこめてしまいます。できるだけ控えるようにします。必要な場合は、パウダータイプなど影響の少ないものを使うとよいでしよう。夜になったら、メイクや日焼け止めクリームはきちんと落としてください。
- 夜ふかし、便秘、ストレス、疲れ、食事の不規則などもニキビによくありません。規則正しい食生活を心がけましょう。

- 【備考】

- ニキビは病気というより、ひとつの生理現象といえるかもしれません。軽いものが数個程度でしたら、洗顔を中心としたセルフケアで対処可能です。けれど、人によっては大きく赤く腫れたニキビがたくさんできて、あばた状の跡を残してしまうことがあります。このような場合は、過酸化ベンゾイル(この薬)や外用抗菌剤(ダラシンT、アクアチム)、またはアダパレン(ディフェリンゲル)などによる治療がお勧めです。
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効能 |
尋常性ざ瘡 |
用法 |
1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
使用部位の軽い刺激感や皮膚乾燥はそれほど心配ないと思います。多くは軽度で一時的ですので、そのまま継続可能です。かえって赤みや腫れがひどくなり、顔全体に広がるようでしたら、早めに受診してください。
- 皮膚の剥がれ、紅斑、乾燥、かぶれ、腫れ
- 刺激感、ピリピリ感、かゆみ
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