概説 |
傷の治りをよくするお薬です。褥瘡(床ずれ)や皮膚潰瘍の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 壊死した皮膚をおおう新しい肉芽ができるのを助け、また血管の新生を促進させます。これらの作用により、皮膚の再生が早くなり、傷の治りがよくなります。褥瘡のほか、ヤケドや糖尿病による皮膚の傷口(潰瘍面)に用います。
 【薬理】
- 肉芽形成促進作用..線維芽細胞(BHK-21細胞)のFGF受容体と特異的に結合し、細胞増殖を促進します。
- 血管新生作用..血管内皮細胞(ACE細胞)のFGF(線維芽細胞成長因子)受容体と特異的に結合、細胞増殖促進作用、細胞遊走促進作用、プラスミノーゲンアクチベーター産生促進作用、管腔形成作用等を示します。
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特徴 |
- 細胞増殖促進作用を持つ新しいタイプのお薬です(遺伝子組換えヒト線維芽細胞成長因子「FGF」)。
- 褥瘡では、肉芽組織が形成される赤色期〜白色期に使われます。
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注意 |

- 【診察で】

- ガンのある人、またその病歴のある人は医師に伝えてください。

- 【注意する人】

- 患部に悪性腫瘍がある場合は使用できません。細胞増殖促進作用があるためです。
 【使用にあたり】
- スプレー剤です。指示どおりに正しく使用してください。病院で処置されることも多いです。
- 患部を洗浄し清潔にしてから、使用するのが基本です。
- 周りの正常な皮膚に付着した薬剤は脱脂綿などで拭き取ってください。
- 溶解後は冷蔵庫(10℃以下の冷暗所)に保存し、2週間以内に使用するようにします。

- 【食生活】

- 褥瘡においては、患部の圧迫要因を取り除くことが大切。「床ずれ」の予防には、こまめな体位変換が欠かせません。また、皮膚を清潔に保つこと、栄養状態をよくして抵抗力を高めておくなど、総合的なケアが必要です。
 【備考】
- 褥瘡は、皮膚に何らかの圧力が加わり、血流が悪くなることで生じます。その代表が「床ずれ」です。体の弱っている寝たきりの人で、長期間体位の変換ができずにいると、必ず「床ずれ」ができます。できる場所は、骨の張っているお尻などです。皮膚の組織が死んでしまうので、いろいろな細菌にも感染しやすいです。ケアが不適切ですと、傷口(潰瘍)が深くなり重症化することもあります。
- 重い褥瘡が治っていく段階は、その色で分けられます。黒色期→黄色期→赤色期→白色期という段階です。はじめの黒色期は黒色の死んだ組織が付着している状態、次の黄色期はその黒色壊死組織が取り除かれた状態です。赤色期は、赤い肉(肉芽)が生じてくる時期で、この段階になれば感染は起こりにくくなります。さらに肉芽が盛り上がり、表皮が生じてくる時期が白色期です。それぞれの病期にもっとも適した治療薬を選ぶことが重要です。
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効能 |
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)。 |
用法 |
添付溶解液1mL当たりトラフェルミン(遺伝子組換え)として100μgを用時溶解し、潰瘍面を清拭後、本剤専用の噴霧器を用い、1日1回、潰瘍の最大径が6cm以内の場合は、潰瘍面から約5cm離して5噴霧(トラフェルミン(遺伝子組換え)として30μg)する。潰瘍の最大径が6cmを超える場合は、薬剤が同一潰瘍面に5噴霧されるよう、潰瘍面から約5cm離して同様の操作を繰り返す。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
外用薬ですので、副作用は少ないです。噴霧時の刺激感や軽い痛みは、ある程度しかたありません。もしも、赤みやカユミがひどくなるようでしたら、早めに受診してください。
- 刺激感、痛み
- ジュクジュクしてくる
- 発赤、かゆみ、発疹、かぶれ
- 過剰肉芽組織
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