概説 |
皮膚の角質をおさえる塗り薬です。乾癬(かんせん)など角化症の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 尋常性乾癬(一般的な乾癬)は比較的よくみられる皮膚病です。皮膚が作られるのが速くなり、角質が増え炎症をともないます。見た目が悪く、皮膚にわずかに盛り上がった赤い斑ができ、そこにフケのような垢や銀白色のカサブタ‘鱗屑(りんせつ)’ができてきます。はっきりした原因は不明で、よくなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。
このお薬は乾癬をはじめとする皮膚の角化症を治療する塗り薬です。有効成分は活性型ビタミンD3のマキサカルシトールです。活性型ビタミンD3には、皮膚が作られる周期を正常化し、角質が多くなるのをおさえる作用があります。これを塗布することにより、皮膚の新陳代謝が改善され、炎症や紅斑、鱗屑といった皮膚症状が改善されるのです。

- 【薬理】

- 表皮の角化細胞にあるビタミンD受容体と結合して、細胞増殖亢進、分化(角化)異常、皮膚免疫細胞の異常などを正常化します。
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特徴 |
- 乾癬の治療に汎用される活性型ビタミンD3外用剤です。尋常性乾癬に用いるほか、掌蹠膿疱症などの角化異常症にも適用可能です。
- 軟膏とローションがあります。これらを、部位や症状、使い勝手などを考慮して使い分けます。軟膏はどのような症状にも無難に使えます。ローションはおもに頭部の皮疹に用いられています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 市販薬を含め使用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人や高カルシウム血症のある人、また、症状が重く皮膚のバリア機能が低下して人などは、少量から開始するなど慎重に使用する必要があります。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせによっては、血清カルシウム値が上昇し高カルシウム血症があらわれやすくなります。たとえば、骨粗鬆症の治療に用いる飲み薬の活性型ビタミンD3製剤や免疫抑制薬のシクロスポリンなどです。
- 飲み合わせに注意..骨粗鬆症治療薬(活性型ビタミンD3)、シクロスポリン、カルシウム薬、シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、降圧利尿薬など。
 【使用にあたり】
- 通常、1日2回きれいな手で適量を患部に塗布します。ただし1日に10gを超えてはいけません。医師から指示された範囲内で使用してください。
- 決められた患部以外には塗らないようにしましょう。目や粘膜、傷口は避けてください。
- 使用後はよく手を洗い、軟膏が目や口、傷口などに付着しないようにしましょう。また、使用直後の入浴やシャワーは避けてください。
- 誤用のないように、子供の手の届かないところで、高温・多湿を避けて保管してください。
- 治療期間は医師が症状をみて決めます。安易に漫然と使用することなく、そのときどきの症状に応じたきめ細かな指導を受けるとよいでしょう。
- 乾癬そのものは治せません。対症療法薬になりますので、症状を上手におさえながら、気長に根気よく治療を続ける必要があります。

- 【検査】

- 血清カルシウム値や腎機能の検査を定期的におこなう必要があります。とくに腎臓病のある人、広範囲に用いる場合は大事です。
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効能 |
尋常性乾癬、魚鱗癬群、掌蹠角化症、掌蹠膿疱症 |
用法 |
通常1日2回適量を患部に塗擦する。なお、症状により適宜回数を減じる。
- 注意:1日の使用量はマキサカルシトールとして250μg(本剤として10g)までとする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
塗り薬ですので、適量を用いるかぎり副作用の心配はそれほどありません。塗布時の軽い刺激感は心配ないと思います。もしも、赤みやカユミがひどくなるようでしたら早めに受診してください。
全身性の副作用で重要なのが高カルシウム血症です。とくに腎臓の悪い人や広範囲に大量を用いている場合など要注意です。定期的に検査をおこない、異常が認められた場合は一時中止するなど早期に対処することが大事です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 高カルシウム血症..だるい、脱力感、食欲不振、吐き気、吐く、口の渇き、腹痛、頭痛、めまい、いらいら感、かゆみ、筋力低下、筋肉痛。
- 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
 【その他】
- かゆみ、発赤、刺激感、ヒリヒリ感
- 血清カルシウム上昇
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