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成分(一般名) オキシブチニン塩酸塩
製品例 ネオキシテープ73.5mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の泌尿生殖器官,肛門用薬/抗コリン剤/経皮吸収型 過活動膀胱治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 膀胱の収縮をおさえるお薬です。頻尿や尿もれの治療に用います。
作用

【働き】

過活動膀胱は、日常的に尿意切迫感があり、頻尿や夜間頻尿をともなうことが多い症状症候群です。突然に強い尿意を生じ、我慢できないほどでつらいです。人によっては、その直後に尿漏れを起こしてしまうこともあります。

このお薬は、そのような過活動膀胱に有効です。膀胱がむやみに収縮するのをおさえ、その容量を大きくし、たくさん尿がためられるようにします。尿意切迫感をはじめ、尿の回数が異常に多い頻尿、夜間頻尿、急な尿意のあとの尿漏れなどの治療に用います。

【薬理】

副交感神経は膀胱を収縮させる神経です。この薬は、膀胱平滑筋や膀胱知覚神経にある副交感神経のムスカリン受容体を遮断し、その働きをおさえます。また、Ca拮抗作用により膀胱の平滑筋を直接ゆるめる作用ももちあわせています。そのような作用により、膀胱の過緊張を緩和し勝手な収縮をおさえ、また排尿反射の亢進を抑制します。

【臨床試験】

過活動膀胱の患者さん1487人をクジ引きで3つのグループに分け、この貼り薬(実薬)と、プラセボの貼り薬(にせ薬)、それと既存の飲み薬のプロピベリン(バップフォー錠)の効果を比較する試験がおこなわれています。有効性の判定は、毎日の排尿回数を日誌につけてもらい、その減り具合を比べることでおこないます。ほかにも、尿漏れ回数や尿意切迫感回数などを副次的に調べ判断材料にします。試験期間は3カ月間です。ちなみに、患者さんの服用前の排尿回数は平均でおおよそ1日11回、尿漏れ回数は1.3回ほどでした。

その結果、この薬を使用した患者さん555人の排尿回数は、1日平均1.9回減りました(服用前11.2回、服用後9.3回)。一方、プラセボの患者さん373人は1.4回減りました(服用前11.3回、服用後9.9回)。また、尿漏れ回数は、この薬で1日あたり0.8回減り(服用前1.21回、服用後0.44回)、プラセボで0.7回減りました(服用前1.26回、服用後0.61回)。想定していたほど差はでませんでしたが、プラセボに比べこの薬のほうが、排尿回数、尿漏れ回数ともに少なくなることが確かめられたわけです。なお、類似薬のプロピベリンを飲んだ患者さん559人との比較においても、効果は同程度でプロピベリンに劣らない有効性が認められています。
特徴
  • 抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)に分類される過活動膀胱治療薬です。抗コリン作用のほかに、Ca拮抗作用による膀胱平滑筋の直接弛緩作用をあわせもつ点が特徴です。有効成分のオキシブチニンは過活動膀胱における頻尿や尿失禁の対症療法薬として、世界的にも広く使われています。ただし、尿道機能障害の腹圧性尿失禁には向きません。
  • 薬剤が皮膚から吸収される経皮吸収型製剤です。同類の貼り薬としては国内初。従来からの飲み薬(ポラキス)にくわえ、貼り薬という新たな選択肢が増えたことになります。とくに、飲み込みがうまくできない高齢の人に役立ちそうです。
  • 有効成分が皮膚からゆっくり吸収され、血中濃度が長時間一定に保たれます。そのため1日1回の貼り替えで安定した効果が得られます。また、飲み薬に比べ血中濃度の急激な上昇がおさえられので、口内乾燥など抗コリン作用にもとづく副作用が軽減されます。さらに、肝初回通過効果の回避により、代謝物による抗コリン性副作用の低減も期待できそうです。一方で、貼った部位の発赤やかゆみなどの皮膚症状がでやすいのが難点です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 市販薬をふくめ別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。

【注意する人】

病気によっては、その病状を悪化させるため使用できないことがあります。たとえば、尿が出ない場合(尿閉)、ある種の緑内障、消化管運動の低下(胃アトニー)、重症筋無力症のある人などは使用禁止です。そのほか、心臓病、潰瘍性大腸炎、甲状腺機能亢進症、認知症などのある人は、病状を考慮のうえ慎重に用いなければなりません。前立腺肥大症で尿が出にくい人は、病状の悪化に注意が必要です。

  • 適さないケース..尿閉、閉塞隅角緑内障、重い心臓病、腸閉塞、麻痺性イレウス、胃アトニー・腸アトニー、重症筋無力症。
  • 注意が必要なケース..前立腺肥大症、潰瘍性大腸炎、心臓病、甲状腺機能亢進症、重い肝臓病、重い腎臓病、パーキンソン症状、脳血管障害、認知症のある人、高温の場所で働く人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 抗コリン作用をもつ薬といっしょに飲むと、副作用が強まるおそれがあります。例として、ある種の抗精神病薬(フェノチアジン系・ブチロフェノン系)や抗うつ薬(三環系)、抗パーキンソン病薬(抗コリン薬)、抗不整脈薬(ジソピラミド)、胃腸薬(抗コリン薬)、カゼ薬・鼻炎薬・かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)などがあげられます。
  • マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス)やアゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)は、この薬の血中濃度を上昇させ副作用を強めるおそれがあります。

【使用にあたり】
  • 1日1回、24時間おきに貼り替えます。貼り替えの時刻はとくに決められていませんが、医師と相談のうえ、入浴を考慮して決めるとよいでしょう。
  • 貼る場所は、下腹部、腰部または大腿部のいずれかです。ベルトラインは避け、傷や湿疹がある部位もやめてください。汗をよく拭きとり、清潔にしてから貼るようにしましょう。
  • 必ず毎回貼る場所を変えてください。皮膚刺激による副作用を避けるためです。貼り替えのさい古いテープの剥がし忘れにも注意しましょう。皮膚を傷つけないようにゆっくりと慎重に剥離してください。
  • 高温を避け、子供の手が届かない場所に保管してください。また、使用済み製剤は接着面を内側にして折りたたみ、子供の手が届かず目に入らない所に安全に廃棄してください。

【食生活】
  • この薬の影響で、口や喉が乾燥することがあります。気になるときは、口を水でゆすいだり氷を含むとよいかもしれません。ノンシュガーのアメをなめるのもよいでしょう。
  • 物がぼやけて見えたり、眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作や、高所での作業には十分注意してください。
  • 頻尿を気にして、水分を制限しすぎるのはよくありません。適度な水分補給を心がけてください。ただし、利尿作用のあるコーヒーやアロコール類は控えめにしましょう。

【備考】
  • 尿意切迫感を主とする一連の症状症候群を「過活動膀胱」と呼ぶようになりました。従来の不安定膀胱とほぼ同義といえそうです。中高年の男女に多く、突然に耐えられないほどの強い尿意を生じ、人によってはその直後に尿漏れを起こしてしまいます。日常的にそのような尿意切迫感があり、頻尿や夜間頻尿をともなうことが多いです。このような過活動膀胱には、この薬をふくめ抗コリン薬による治療が効果的です。
  • 尿失禁にはいくつかのタイプがあります。代表的なのは「切迫性尿失禁」と「腹圧性尿失禁」それとその「混合型」です。急な強い尿意を抑えられず思わず尿もれを起こしてしまうのが切迫性尿失禁、クシャミなどちょっとした力みで勝手にもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。切迫性尿失禁には、この薬をふくめ抗コリン薬を中心とした治療がおこなわれます。一方、腹圧性の場合は、骨盤底筋を鍛える体操療法が効果的。これにくわえてβ2刺激薬のスピロペントや女性ホルモン薬が補助的に使われます。
  • 頻尿や尿失禁の原因はさまざまです。神経の障害による神経因性膀胱のほか、膀胱炎や尿道炎など尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大症、更年期障害による自律神経失調、ストレスなどが背景にある膀胱神経症(心因性頻尿)、さらには薬剤性尿失禁、場合によっては前立腺がんや膀胱がんなどが隠れていることもあります。これらをきちんと診断し、原因疾患があるのなら、その治療をあわせておこなうことが大切です。
効能 過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
  • 注意1:本剤を適用する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌等の下部尿路における新生物等)があることに留意し、尿検査等により除外診断を実施すること。なお、必要に応じて専門的な検査も考慮すること。
  • 注意2:下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、それに対する治療を優先させること。
用法 通常、成人に対し本剤1日1回、1枚(オキシブチニン塩酸塩として73.5mg)を下腹部、腰部又は大腿部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替える。
  • 注意:本剤の貼付による皮膚刺激を避けるため、貼付箇所を毎回変更すること(臨床試験において、本剤の貼付により高頻度に適用部位の皮膚症状が認められている)。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用でいちばん多いのは、使用部位の皮膚症状です。赤くなったり、かゆくなることがよくあります。同一箇所に貼り続けないで、毎回貼る場所を変えることで、ある程度軽減できると思います。ひどければ、ステロイド軟膏などで対処可能ですので、医師とよく相談してください。

次に多いのが口内乾燥、その次が便秘です。人によっては尿が出にくくなったり、かすんで見える、めまいなどを起こすかもしれません。重症化することはまずありませんが、尿がまったく出ないときや、便秘が続くとき、激しい腹痛、目が強く痛むときなどはすぐに受診してください。

とくに高齢の人では認知症が悪化したり、一時的に認知症のような症状があらわれる可能性があります。うまく言葉が出ない、物忘れ、ボーッとするといった症状です。気になるときは医師と相談してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
  • 尿閉..尿が出にくい、尿がまったく出ない。
  • 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。

【その他】
  • 貼付部位の皮膚炎(発赤、かゆみ、腫れ)
  • 口内乾燥、便秘
  • 尿が出にくい、尿が残る感じ
  • 眠気、めまい、頭痛、かすんで見える、まぶしい
  • 動悸、不整脈
  • 認知障害(言葉が出にくい、物忘れ、ボーッとする)

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。