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成分(一般名) タダラフィル
製品例 ザルティア錠2.5mg~5mg、シアリス錠5mg~10mg~20mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の泌尿生殖器官,肛門用薬/PDE5阻害剤/前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 尿の出をスムーズにするお薬です。前立腺肥大症で尿が出にくいときに用います。また、勃起を助ける作用から、勃起不全(ED)にも適用します。
作用

【働き-1】

ザルティア錠に代表される製剤は、前立腺肥大症に用いられます。前立腺は膀胱のすぐ下にある臓器です。前立腺が大きくなると尿道を圧迫し、尿の勢いが悪くなります。排尿に時間がかかり、残尿感や頻尿といった症状もでてきます。このような状態が「前立腺肥大症」です。

このお薬は、前立腺肥大症にともなう排尿障害改善薬です。作用機序は必ずしも明確ではありませんが、前立腺や尿道の血行をよくして、弱った機能を正常化させるのではないかと考えられています。ただし、前立腺そのものを小さくする作用はありません。

【働き-2】

シアリス錠に代表される製剤は、勃起不全に用いられます。男性の勃起不全あるいは勃起障害のことを、ED(Erectile Dysfunction)と呼ぶようになりました。このお薬は、勃起を助けるED治療薬です。陰茎の海綿体平滑筋の緊張をゆるめ血流をよくすることで、十分な勃起に導きます。

心理的要因による“心因性”のもの、神経や血管など体に問題のある“器質性”のもの、あるいは心因性と器質性の“混合型”のいずれにも有効です。服用後、約30分から4時間の間に、性的刺激が加わることで効果が発現します。局所に作用しますので、性欲を亢進させる働きはありません。

【薬理】

PDE5阻害薬です。PDE5(ホスホジエステラーゼ5)は、下部尿路組織や陰茎海綿体に存在する酵素で、血管の平滑筋内cGMPを分解する役目をします。この薬は、PDE5を阻害し、cGMP濃度を上昇させます。十分なcGMPにより、前立腺、尿道、膀胱あるいは陰茎の血流が改善、結果として それら組織構造が修復され、機能改善、諸症状の緩和につながります。

勃起不全に対する効果もPDE5阻害作用にもとづきます。つまり、性的刺激で一酸化窒素(NO)の局所的な遊離が生じ、そこで産生される陰茎海綿体内cGMPの分解を抑制することになるのです。cGMPの濃度上昇は、陰茎海綿体平滑筋の弛緩および血流量増加をもたらし、陰茎を勃起、維持します。

【臨床試験-1】

排尿障害のある患者さん612人を、この薬を1日2.5mg服用、1日5mg服用、同効薬のタムスロシン(ハルナール)を服用、プラセボ(にせ薬)を服用する4つのグループに振り分け、それぞれの効果を比較する臨床試験が行われています。効果の判定は、排尿症状、蓄尿症状、夜間頻尿などに関する7つの質問票に答えてもらい、その合計点(変化量)でおこないます。点数が低ければ軽症、高いほど重症(0点〜35点)です。

3ヶ月後の試験結果は、この薬を飲んでいた人達155人(1日5mg)では平均4.7点低下(17.2点→12.2点)、タムスロシンの人達152人で平均5.5点低下(16.6点→11.0点)、プラセボの人達154人は平均3点低下(16.8点→13.6点)しました。プラセボより、この薬のほうが下げ幅が大きく、病状がより軽くなることが確かめられたわけです。なお、既存薬のタムスロシンに比べ、この薬の変化量は小さい傾向でしたが、大きく劣ることはないものと推測されています。

【臨床試験-2】

勃起不全に対する臨床試験は、この薬を含め 同類薬による多くの臨床試験が国内外で行われています。症状にもよりますが、おおよそ70〜90%くらいの割合で有効とされます。
特徴
  • 薬理作用からはPDE5選択的阻害薬に分類されます。その血流改善作用から、効能が異なる3種類の製剤が開発されてます。前立腺肥大症を治療対象とするザルティア錠、ED治療薬のシアリス錠、肺高血圧症治療薬のアドシルカ錠の3種です。なお、アドシルカ錠は循環器系薬剤として別ページに掲載してます。
  • 「前立腺肥大症に伴う排尿障害」を効能とするザルティア等は、α遮断薬または5α還元酵素阻害薬(5-ARI)に次ぐ第3の治療薬といえるでしょう。強力とはいえませんが、既存薬にみられる性機能障害の副作用はほとんどありません。他の治療薬が副作用で使いにくいときに処方されるほか、効果不十分な場合には従来品との併用療法も試みられます。
  • シアリス錠は、シルデナフィル(バイアグラ)と同系統の国内3番目のED治療薬(PDE5阻害薬)です。他の2剤に比べ半減期が長く、服用後36時間まで勃起機能改善効果が認められています。また、服用にさいし食事の影響を受けません。これらから、飲む時間にそれほどこだわらず、長時間にわたり安定した効果が期待できます。なお、通常は保険が利きませんが、治療目的が不妊治療(勃起不全による男性不妊)に限り保険給付の対象となります。
注意
【診察で】
  • 心臓病など持病のある人は、医師に報告しておきましょう。
  • 使用中の薬を、必ず医師に伝えてください。

【注意する人】

心臓病など心血管系に病気がある人は使用できないことがあります。重い心不全、不安定狭心症、心筋梗塞や脳卒中を起こしてまもない人は禁止です。

  • 適さないケース..重い心臓病(不安定狭心症、III度以上の心不全、コントロール不良の不整脈、3ヵ月以内の心筋梗塞)、脳卒中(6ヵ月以内)、重度の低血圧(90/50mmHg以下)、コントロール不良の高血圧(170/100mmHg以上)、網膜色素変性症(シアリス)、重い腎臓病(ザルティア)、重い肝臓病のある人。
  • 注意が必要なケース..腎臓病、肝臓病、出血性の病気、消化性潰瘍、陰茎の異常、持続勃起症の心配のある病気(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)、網膜色素変性症のある人(ザルティア)、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

狭心症や心不全の治療に使う硝酸薬、いわゆる「ニトロ」と呼ばれる薬と併用してはいけません。併用により急激に血圧が下がることがあり、非常に危険です。硝酸薬には飲み薬のほか、貼り薬(テープ)や口内スプレー、注射剤などさまざまな製剤がありますので注意が必要です。

マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、肝炎治療薬のテラプレビル(テラビック)、一部の抗エイズウイルス薬などは、この薬の血中濃度を上昇させ副作用を強めるおそれがあります。これらと併用する場合は少量(2.5mg)から開始するようにします。グレープフルーツジュースにも同様な作用があるので 飲まないほうがよいでしょう。

α遮断薬との併用療法については、低血圧のリスクに留意するなど慎重に検討する必要があります。とくに組織特異的でないプラゾシン(ミニプレス)やテラゾシン(バソメット)など旧来のα遮断薬は避けたほうが無難です。なお、有効成分が同一のシアリス、その他のED治療薬は完全に作用が重複しますので、同時に飲んではいけません。

  • 飲み合わせの悪い薬..ニトログリセリン(ニトロペン、その他)、硝酸イソソルビド(ニトロール、その他)、ニコランジル(シグマート)、ニプラジロール(ハイパジールコーワ)、リオシグアト(アデムパス)、ED治療薬(シアリス、バイアグラ、レビトラ)。
  • 飲み合わせに注意..α遮断薬(ミニプレス、バソメット、カルデナリン、ハルナール、フリバス、ユリーフ、その他)、降圧薬、イトラコナゾール(イトリゾール)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、テラプレビル(テラビック)、抗エイズウイルス薬(プロテアーゼ阻害薬)、リファンピシン(リファジン)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、フェノバルビタール(フェノバール)、グレープフルーツジュース、多量のアルコールなど。

【使用にあたり(効能A ザルティア)】
  • 1日1回服用します。食事の影響はありませんので、食前でも食後でもかまいません。一般的には朝食後でよいと思います。
  • 服用量は医師の指示どおりにしてください。腎臓病のある人、あるいは薬の飲み合わせによっては少量で開始することがあります。
  • 万一のことですが、勃起が4時間以上続くときは、直ちに受診してください。また、急に視力が低下したり耳が聞こえにくくなるときは、服薬を中止し、すぐに眼科または耳鼻科に受診してください。

【使用にあたり(効能B シアリス等)】
  • 行為の約1時間前に飲んでください。食事の影響はありませんので、食後でも空腹時でもかまいません。効果はかなり長く続きます(36時間)。
  • 1日1回までとし、服用間隔を24時間以上あけるようにしましょう。
  • 万一のことですが、勃起が4時間以上続くときは、直ちに受診してください。また、急に視力が低下した場合には、服薬を中止し眼科専門医の診察を、急激な聴力低下または突発性難聴(耳鳴り、めまいを)があらわれた場合には、すみやかに耳鼻科専門医の診察を受けてください。
  • 飲む飲まない、あるいは使用頻度については、その人のライフスタイルや価値観によるところです。また、使用にあたっては自分中心に考えるのではなく、パートナーとの2人の問題としてとらえることが大切です。

【食生活】

多くはありませんが、一時的に視野がかすんだり、物の色が異常に見えるかもしれません。また、めまいを起こすこともありますので、車の運転や高所での危険作業には十分注意してください。
効能

【効能A(ザルティア等)】

前立腺肥大症に伴う排尿障害

【効能B(シアリス等)】

勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)
用法

【効能A(前立腺肥大症)】

通常、成人は1日1回タダラフィルとして5mgを経口服用する。

  • [注意1]中等度の腎障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがあること及び投与経験が限られていることから、患者の状態を観察しながら1日1回2.5mgから投与を開始するなども考慮すること。
  • [注意2]チトクロームP450 3A4(CYP3A4)を強く阻害する薬剤を投与中の患者では、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、1日1回2.5mgから投与を開始し、患者の状態を観察しながら適宜5mgへ増量すること。

【効能B(勃起不全)】

通常、成人は1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口服用する。10mgの服用で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。軽度又は中等度の肝障害のある患者では10mgを超えないこと。なお、いずれの場合も1日の服用は1回とし、服用間隔は24時間以上とすること。

中等度又は重度の腎障害のある患者では、5mgから開始し、服用間隔は24時間以上とすること。なお、中等度の腎障害のある患者では最高用量は10mgを超えないこととし、10mgを服用する場合には服用間隔を48時間以上とすること。重度の腎障害のある患者では5mgを超えないこと。

  • [注意]チトクロームP450 3A4(CYP3A4)を強く阻害する薬剤を投与中の患者では、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、低用量(5mg)から開始し、投与間隔を十分にあける(10mgを投与する場合は投与間隔を48時間以上)など注意して投与すること。なお、投与量は10mgを超えないこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 ときどき起こるのは頭痛とほてりです。これらは血管を広げる作用によるものと考えられ、軽ければ それほど心配ないと思います。ひどいようでしたら 早めに受診し医師または薬剤師と相談してください。

まれに、一過性の視覚異常が現れることがあります。「かすむ」「まぶしい」「青いめがねをしているよう」「青と緑の区別がつかない」といった異常な見え方がするようです。万一、急激な視力低下あるいは難聴があらわれた場合には、服薬を中止し、直ちに眼科専門医または耳鼻科専門医の診察を受けてください。

海外では、持続勃起症がごくまれに報告されているようです。痛みをともなう勃起が長時間続き、そのまま放置すると陰茎組織が損傷したり、勃起機能を失うおそれがあります。もし、勃起が4時間以上続くようでしたら、すみやかに受診するようにしてください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い過敏症..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 持続勃起症、陰茎組織損傷、勃起機能の喪失..4時間以上痛みをともなう勃起が続く

【その他】
  • 頭痛、ほてり、潮紅
  • 消化不良
  • 低血圧、勃起増強
  • 視覚異常(かすむ、まぶしい、青くみえる)
  • 突発性難聴(聞こえにくい、耳鳴り、めまい)

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。