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成分(一般名) フェソテロジン フマル酸塩
製品例 トビエース錠4mg~8mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の泌尿生殖器官,肛門用薬/抗コリン剤/過活動膀胱治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 膀胱の収縮をおさえるお薬です。頻尿や尿もれの治療に用います。
作用

【働き】

過活動膀胱は、日常的に尿意切迫感があり、頻尿や夜間頻尿をともなうことが多い症状症候群です。突然に強い尿意を生じ、我慢できないほどでつらいです。人によっては、その直後に尿漏れを起こしてしまうこともあります。

このお薬は、そのような過活動膀胱に有効です。膀胱がむやみに収縮するのをおさえ、その容量を大きくし、たくさん尿がためられるようにします。尿意切迫感をはじめ、尿の回数が異常に多い頻尿、夜間頻尿、急な尿意のあとの尿漏れなどの治療に用います。

【薬理】

膀胱平滑筋や膀胱知覚神経にあるムスカリン受容体と結合しブロックします。そうすることで、膀胱の過緊張を緩和し勝手な収縮をおさえ、また排尿反射の亢進を抑制します(ムスカリン受容体サブタイプM3拮抗による膀胱平滑筋収縮抑制作用)。

【臨床試験】

この薬を1日4mg飲む人と1日8mg飲む人、それにプラセボ(にせ薬)を飲む人の3つのグループに分かれ、それぞれの有効性を比べる比較試験がおこなわれています。参加したのは過活動膀胱の患者さん735人。効果のおもな評価項目は、服用3カ月後の1日あたりの尿漏れ回数の減り具合です。ほかにも、排尿回数や尿意切迫感回数などを日誌につけてもらい、副次的な判断材料とします。ちなみに、参加者の服用前の尿漏れ回数は平均でおおよそ1日2回、排尿回数は11回ほどでした。

その結果、この薬を1日4mg飲んでいた人達246人の尿漏れ回数は、1日平均1.7回減りました(2.1回→0.45回)。また、1日8mg飲んでいた人達245人は、1日平均1.8回減りました(2.1回→0.3回)。一方、プラセボの人達244人は1.4回減りました(2.2回→0.8回)。また、1日の排尿回数については、この薬の服用により おおむね2回減り(11回→9回)、プラセボで1回減りました(11回→10回)。プラセボと比較し、この薬を飲んでいた人達のほうが尿漏れ回数、排尿回数ともに減少し、また1日4mgよりも8mg飲んでいたほうが尿漏れ回数の減少幅が大きいことが確かめられたわけです。
特徴
  • 抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)に分類される新しい過活動膀胱治療薬です。過活動膀胱における頻尿や尿失禁の対症療法薬として、世界的にも広く使われています。ただし、尿道機能障害の腹圧性尿失禁には向きません。
  • よい特性として、膀胱選択性が高いという点があげられます。このため、従来の同類薬に比べ口の渇きなどの副作用が比較的少ないです。また、脳への移行が少ないので、認知障害を起こしにくいとされます。徐放性製剤なので1日1回の服用で済みます。
  • 体内で活性代謝物(5-HMT)に変換されて効果を発揮するプロドラッグです。この活性代謝物は、従来品のトルテロジン(デトルシトール)の活性代謝物と同一です。1日4mgでトルテロジンと同等の効果があり、1日8mgではさらなる有効性が期待できます。通常用量(1日4mg)で効果不十分な場合に高用量(1日8mg)への増量が可能です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 市販薬をふくめ別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。

【注意する人】

病気によっては、その病状を悪化させるため使用できないことがあります。たとえば、尿が出ない場合(尿閉)、消化管運動の低下(胃アトニー)、重症筋無力症のある人などは使用禁止です。そのほか、緑内障、心臓病、潰瘍性大腸炎、甲状腺機能亢進症、認知症などのある人は、病状を考慮のうえ慎重に用いなければなりません。前立腺肥大症で尿が出にくい人は、病状の悪化に注意が必要です。

  • 適さないケース..尿閉、眼圧が調節できない閉塞隅角緑内障、重い心臓病、腸閉塞、麻痺性イレウス、胃アトニー・腸アトニー、重症筋無力症、重い肝臓病。
  • 注意が必要なケース..前立腺肥大、潰瘍性大腸炎、緑内障、心臓病、甲状腺機能亢進症、肝臓病、腎臓病、パーキンソン症状、脳血管障害、認知症、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 抗コリン作用をもつ薬といっしょに飲むと、その副作用が強まるおそれがあります。例として、ある種の抗精神病薬(フェノチアジン系・ブチロフェノン系)や抗うつ薬(三環系)、抗パーキンソン薬(抗コリン薬)、抗不整脈薬(ジソピラミド)、胃腸薬(抗コリン薬)、カゼ薬・鼻炎薬・かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)などがあげられます。
  • マクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)やミコナゾール(フロリード)、免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、一部の抗エイズウイルス薬などは、この薬の血中濃度を上昇させ副作用を強めるおそれがあります。これらと併用する場合は1日服用量を4mgとし、8mgに増量しないようにします。
  • 抗うつ薬のパロキセチン(パキシル)も、この薬の血中濃度を上昇させる可能性があります。併用のさいは、4mgから8mgへの増量は副作用の発現に注意するなど慎重におこないます。
  • 逆に他の薬の影響で、この薬の血中濃度が低下し効力が弱まるおそれがあります。たとえば、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)、抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)やカルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール)などとの併用時です。
  • セイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品はとらないでください。この薬の作用を弱める可能性があります。

【使用にあたり】
  • 飲み方は医師の指示通りにしてください。通常は1日1回朝食後に1錠(4mg)を飲みます。食事と関係なく飲めますが、飲み忘れのないように決められた時間にしてください。
  • 徐放性製剤ですので、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用しましょう。
  • しばらく続けても効果を実感できない場合は、医師と相談してみてください。1日8mgに増量することで、よりよい効果が期待できます。ただし、腎臓や肝臓の悪い人、また他の薬との飲み合わせによっては増量できないことがあります。

【食生活】
  • この薬の影響で、口や喉が乾燥することがあります。気になるときは、口を水でゆすいだり氷を含むとよいかもしれません。ノンシュガーのアメをなめるのもよいでしょう。
  • 物がぼやけて見えたり、眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作や、高所での作業には十分注意してください。
  • 頻尿を気にして、水分を制限しすぎるのはよくありません。適度な水分補給を心がけてください。ただし、利尿作用のあるコーヒーやアロコール類は控えめにしましょう。

【備考】
  • 尿意切迫感を主とする一連の症状症候群を「過活動膀胱」と呼ぶようになりました。従来の不安定膀胱とほぼ同義といえそうです。中高年の男女に多く、突然に耐えられないほどの強い尿意を生じ、人によってはその直後に尿漏れを起こしてしまいます。日常的にそのような尿意切迫感があり、頻尿や夜間頻尿をともなうことが多いです。このような過活動膀胱には、この薬をふくめ抗コリン薬による治療が効果的です。
  • 尿失禁にはいくつかのタイプがあります。代表的なのは「切迫性尿失禁」と「腹圧性尿失禁」それとその「混合型」です。急な強い尿意を抑えられず思わず尿もれを起こしてしまうのが切迫性尿失禁、クシャミなどちょっとした力みで勝手にもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。切迫性尿失禁には、この薬をふくめ抗コリン薬を中心とした治療がおこなわれます。一方、腹圧性の場合は、骨盤底筋を鍛える体操療法が効果的。これにくわえてβ2刺激薬のスピロペントや女性ホルモン薬が補助的に使われます。
  • 頻尿や尿失禁の原因はさまざまです。神経の障害による神経因性膀胱のほか、膀胱炎や尿道炎など尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大症、更年期障害による自律神経失調、ストレスなどが背景にある膀胱神経症(心因性頻尿)、さらには薬剤性尿失禁、場合によっては前立腺がんや膀胱がんなどが隠れていることもあります。これらをきちんと診断し、原因疾患があるのなら、その治療をあわせておこなうことが大切です。
効能 過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
用法 通常、成人はフェソテロジンフマル酸塩として4mgを1日1回経口服用する。なお、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用でいちばん多いのは口内乾燥、次が便秘です。ほかに、腹痛、頭痛、眠気、尿が出にくい、かすみ目、めまい感などもみられます。重症化することはまずありませんが、尿がまったく出ないときや、ひどい便秘が続くときは、すぐに受診してください。

とくに高齢の人では、うまく言葉が出ない、物忘れ、ボーッとするなど、一時的に認知症のような症状が出る可能性があります。同類薬(抗コリン薬)のなかでは、認知機能への影響はほとんどないとされますが、気になるときは医師に相談してみましょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 尿閉..尿が出にくい、尿がまったく出ない。
  • 血管浮腫..顔や唇、舌、喉がひどく腫れる、飲み込みにくい、息がしにくい、手足が腫れる。

【その他】
  • 口内乾燥、便秘、腹痛、吐き気
  • 尿が出にくい
  • 頭痛、眠気、めまい
  • 動悸、頻脈、不整脈
  • 目がまぶしい、かすんで見える、目の乾燥
  • 認知障害(言葉が出にくい、物忘れ、ボーッとする)

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。