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成分(一般名) プロピベリン塩酸塩
製品例 バップフォー錠10~20、バップフォー細粒2% ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の泌尿生殖器官,肛門用薬/抗コリン剤/尿失禁・頻尿治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 膀胱の収縮をおさえるお薬です。頻尿や尿失禁の治療に用います。
作用

【働き】

膀胱が勝手に収縮するのをおさえる作用があります。また、膀胱の筋肉がゆるみ容量が大きくなるので、たくさん尿がためられるようになります。そのような作用から、いろいろな病気が原因の頻尿や尿意切迫感、尿失禁の治療に用いられます。

【薬理】

抗コリン作用にもとづき、膀胱を収縮させる副交感神経をおさえ、またCa拮抗作用により膀胱の平滑筋を直接ゆるめます。これらの作用により尿がためやすくなり、また膀胱のむやみな収縮がおさえられます。
特徴
  • 抗コリン薬に分類される頻尿・尿失禁治療薬です。比較的古くから、神経因性膀胱や不安定膀胱(過活動膀胱)における頻尿や尿失禁の対症療法薬として広く用いられています。ただし、尿道機能障害の腹圧性尿失禁には向きません。
  • 開発が新しい新規抗コリン薬に比べ、膀胱選択性が低いので、口内乾燥や便秘、眠気や認知障害などの副作用がややでやすいです。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。

【注意する人】

病気によっては、その病状を悪化させるため使用できないことがあります。たとえば、尿が出ない場合(尿閉)、腸閉塞、消化管運動の低下(胃アトニー)、重症筋無力症のある人などは使用禁止です。そのほか、緑内障、前立腺肥大、心臓病、潰瘍性大腸炎、甲状腺機能亢進症のある人は、病状の悪化に注意するなど慎重に用いるようにします。

  • 適さないケース..尿閉、閉塞隅角緑内障、重い心臓病、腸閉塞、麻痺性イレウス、胃アトニー・腸アトニー、重症筋無力症。
  • 注意が必要なケース..前立腺肥大、緑内障(閉塞隅角緑内障は禁忌)、心臓病、潰瘍性大腸炎、甲状腺機能亢進症、肝臓病、腎臓病、パーキンソン病や認知症のある人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

抗コリン作用をもつ薬といっしょに飲むと、その作用による副作用が強まるおそれがあります。たとえば、ある種の抗精神病薬(フェノチアジン系・ブチロフェノン系)や抗うつ薬(三環系)、抗パーキンソン薬(抗コリン薬)、抗不整脈薬(ジソピラミド)、胃腸薬(抗コリン薬)、カゼ薬・鼻炎薬・かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)などとの併用に注意します。

【使用にあたり】
  • 症状や年齢によって、飲む量が違います。指示どおりに正しくお飲みください。高齢の人は副作用がでやすいので、少量で始めるようにします。
  • 細粒剤は苦味が残ることがあるので、多めの水で速やかに飲み込んでください。
  • 効き方には個人差があります。また、効果発現までに時間がかかることがありますので、最低2週間は指示どおりに続けてください。それでも効かなければ、他の治療薬への変更も可能と思いますので、医師とよく相談してみましょう。

【食生活】
  • この薬の影響で、口や喉が乾燥することがあります。気になるときは、口をゆすいだり氷を含むとよいかもしれません。ノンシュガーのアメをなめるのもよいでしょう。
  • 物がぼやけて見えたり、眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転など危険をともなう機械の操作は避けてください。
  • 頻尿を気にして、水分を制限しすぎるのはよくありません。適度な水分補給を心がけてください。ただし、利尿作用のあるコーヒーやアロコール類は控えめにしましょう。

【備考】
  • 尿意切迫感を主とする一連の症状症候群を「過活動膀胱」と呼ぶようになりました。従来の不安定膀胱とほぼ同義といえそうです。中高年の男女に多く、突然に耐えられないほどの強い尿意を生じ、人によってはその直後に尿漏れを起こしてしまいます。日常的にそのような尿意切迫感があり、頻尿や夜間頻尿をともなうことが多いです。このような過活動膀胱には、この薬をふくめ抗コリン薬による治療が効果的です。
  • 膀胱での蓄尿や排尿をコントロールしている神経が弱ったり傷ついたりすると、頻尿や尿失禁などいやな症状がでてきます。このような病態を「神経因性膀胱」といいます(ストレスなどによる心因性の頻尿とは別)。老化のほか、脳卒中などで脳の神経がやられているとき、糖尿病で末梢の神経が傷んでいるときにも現れやすいです。また、下腹部の手術のあとに尿が漏れやすくなることもあります。前記の過活動膀胱や不安定膀胱は症状から、神経因性膀胱は原因からとらえるものといえるでしょう。
  • 尿失禁にはいくつかのタイプがあります。代表的なのは「切迫性尿失禁」と「腹圧性尿失禁」それとその「混合型」です。急な強い尿意を抑えられず思わず尿もれを起こしてしまうのが切迫性尿失禁、クシャミなどちょっとした力みで勝手にもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。切迫性尿失禁には、この薬をふくめ抗コリン薬を中心とした治療がおこなわれます。一方、腹圧性の場合は、骨盤底筋を鍛える体操療法が効果的。これにくわえてβ2刺激薬のスピロペントや女性ホルモン薬が補助的に使われます。
  • 頻尿や尿失禁の原因はさまざまです。神経の障害による神経因性膀胱のほか、膀胱炎や尿道炎など尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大症、更年期障害による自律神経失調、ストレスなどが背景にある膀胱神経症(心因性頻尿)、さらには薬剤性尿失禁、場合によっては前立腺がんや膀胱がんなどが隠れていることもあります。これらをきちんと診断し、原因疾患があるのなら、その治療をあわせておこなうことが大切です。
効能
  • 下記疾患又は状態における頻尿、尿失禁//神経因性膀胱、神経性頻尿、不安定膀胱、膀胱刺激状態(慢性膀胱炎、慢性前立腺炎)
  • 過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
用法 通常、成人はプロピベリン塩酸塩として20mgを1日1回食後経口服用する。年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分の場合は、20mgを1日2回まで増量できる。
  • 注意:20mgを1日1回投与で効果不十分であり、かつ安全性に問題がない場合に増量を検討すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 口の渇きと便秘が多いほうです。人によっては尿が出にくくなったり、目のかすみ、めまい感などがあらわれます。重症化することはまずありませんが、尿がまったく出ないときや、ひどい便秘が続くときは、すぐに受診してください。

とくに高齢の人では、一時的に認知症のような症状が出る可能性があります。うまく言葉が出ない、物忘れ、ボーッとするといった症状です。気になるときは医師に相談してください。

そのほか重い副作用として、緑内障や幻覚、腎障害などの報告があります。これらはきわめてまれな副作用ですが、初期症状などに念のため注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 緑内障..目が痛い、充血、見えにくい、かすむ、光の回りに虹の輪、頭痛、吐き気。
  • 尿閉..尿が出にくい、尿がまったく出ない。
  • 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
  • 幻覚、せん妄..本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える、非現実な体験、もうろう状態。
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
  • 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 重い不整脈..動悸、脈が1分間120以上または50以下、脈が弱い、胸苦しい、だるい、めまい、失神。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。

【その他】
  • 口の渇き、便秘、腹痛、吐き気、食欲不振、下痢
  • めまい、眠気、頭痛、物がかすんで見える
  • 動悸、不整脈
  • 発疹、かゆみ
  • 認知障害(言葉が出にくい、物忘れ、ボーッとする)

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。