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成分(一般名) レルゴリクス
製品例 レルミナ錠40mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他のホルモン(抗ホルモン含む)/その他/GnRHアンタゴニスト

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 子宮筋腫や子宮内膜症を治療するお薬です。
作用

【働き-1】

子宮筋腫は、子宮の平滑筋に発生する良性の腫瘍です。女性ホルモンに依存して増殖し、過多月経や激しい生理痛を起こします。多量の出血から貧血を伴うことも多いです。

このお薬は、そのような子宮筋腫の治療に用います。女性ホルモンの分泌を抑制することにより、子宮筋腫の勢いを弱めます。結果として、過多月経や痛みが軽減し、貧血の改善にもつながるのです。ただし、使用期間は原則6カ月までです。残念ながら根治は難しく、治療終了後に再発する可能性もあります。

使用法として、過多月経による貧血の改善、閉経直前の年代における自然閉経までの逃げ込み療法、摘出術にそなえ筋腫を事前に縮小させるための術前投与、さらには妊娠を希望しているものの すぐにその予定がない場合の当面の対症療法などが考えられます。

【働き-2】

子宮内膜症は、子宮内膜と同様の組織が子宮内膜以外の場所に現れ、女性ホルモンの影響を受けて増殖と剥離・出血を繰り返す病気です。ひどい痛みをともない、進行すると癒着やしこりができ、不妊の原因にもなりかねません。

このお薬は、女性ホルモンの分泌を抑え、病巣組織の増殖をおさえます。その結果、生理が軽くなり子宮内膜症に伴うつらい症状がやわらぎます。子宮内膜症性骨盤痛をはじめ月経痛や性交痛の改善が認められています。

【薬理】

女性ホルモン(E2、P4)の分泌を調節しているのは、脳の下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)です。さらにこの性腺刺激ホルモンの分泌を促進するのが、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン) 略称‘GnRH’です。簡略すると「GnRH→性腺刺激ホルモン→女性ホルモン」という流れです。この薬は、下垂体のGnRH受容体を阻害し、性腺刺激ホルモンの分泌を抑制することにより、女性ホルモンの分泌を減らします。このような作用からGnRH拮抗薬(遮断薬)またはGnRHアンタゴニストと呼ばれています。

【臨床試験-1】

過多月経に対する有効性と安全性を既存のリュープロレリン注射薬(リュープリン)と比較する試験が行われています。リュープロレリンは子宮筋腫に汎用される標準的な治療薬です。参加したのは過多月経(PBACスコア120点以上)のある子宮筋腫の患者さん277人。このうち135人はこの薬を服用、別の142人はリュープロレリンによる治療を行います。そして、月経血量が十分減少(PBACスコア10点未満)した人の割合を調べることにより、過多月経に対する有効性を判定するのです。また、副次的に、貧血の指標となる血中ヘモグロビン量についても検査します。

月経血量の評価には、PBACスコアが採用されました。PBACスコアは、生理用品への月経血の付着の程度、使用数、血塊の大きさと数などを点数化し合計したものです。たとえば、生理用品への月経血の付着が少量で1点、中等度5点、多量なら20点、また血塊の大きさが1cm未満で1点、1cm以上なら5点になります(生理用品から溢れた場合5点加算)。この基準に基づき、患者さん自身が使用後の生理用品の概観や個数などから点数を記録することになります。試験期間中の合計点が10点未満であれば出血はごくわずであり、過多月経が改善したとみなされます。ちなみ、試験に参加した患者さんの月経1周期のPBACスコアは120点以上でした。

試験の結果、治療6週後から12週後までのPBACスコア合計点が10点未満に下がった人の割合は、この薬で82%(111/135人)、リュープロレリンで83%(118/142人)でした。達成割合が治療実績のあるリュープロレリンに劣らなかったことから、この薬の過多月経に対する有効性が示されたことになるのです。また、血中ヘモグロビン量(g/dL)の平均変化量はこの薬で1.4、リュープロレリンで1.3増加し、貧血の改善にもつながりました。安全性については、軽い不正出血と更年期様症状が多くみられたものの、臨床使用において大きな問題とはならないと判断されました。一方、骨密度の減少は避けられません。減少の程度は使用期間が長くなるにつれて大きくなるため、リュープロレリンと同様に治療期間は6カ月までとされました。

【臨床試験-2】

次は痛みについてです。試験に参加したのは、下腹痛や腰痛など子宮筋腫による痛みのある患者さん65人。この薬を飲む人とプラセボ(にせ薬)を飲む人に分かれ、痛みがなくなる人(NRSスコア1点以下)の割合を比べる試験です。

痛みの評価はNRSスコアで行います。NRSは、痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くない0点、考えられる最悪の痛みを10点として、痛みの点数を問うものです。ちなみに、この試験では4点以上の患者さんが選ばれています。

その結果、試験終了前28日間におけるNRSスコア最大値が1点以下に低減した患者さんの割合は、この薬の人達で58%(19/33人)、プラセボの人達で3%(1/32人)でした。低減した人の割合は、この薬のほうが明らかに高く、痛みに対しても有効なことが確かめられたわけです。副作用は不正出血など想定内のものがほとんどで、安全性についても特段の問題はありませんでした。

【臨床試験-3】

子宮内膜症に対する試験もおこなわれています。参加したのは一定以上の骨盤痛のある子宮内膜症の患者さん335人です。このうち171人はこの薬(レルミナ錠)を、別の164人は既存のリュープロレリンを使用します。効果の判定は、服薬治療後の骨盤痛の疼痛強度VAS値(mm)の変化量で行います。

疼痛強度VAS値は、痛みを測る‘ものさし’のようなものです。具体的には、100mmの直線上でまったく痛みのない状態を0mm、最大の痛みを100mmとし、現在の痛みが直線上のどこにあるかを患者さん自身が示すことで痛みの強度を数値化するのです。ちなみに、患者さんの服薬前のVAS平均値は66mm前後でした。

試験の結果、骨盤痛VAS値の下げ幅は、この薬で53mm(66→13)、対照薬のリュープロレリンで58mm(67→9)でした。どちらもVAS値が大きく低下し痛みを弱めることができたのです。リュープロレリンとの差は事前に設定された範囲内であり、同様の有効性が示されたことになります。また、副次的に調べられた月経痛や性交痛についても改善が認められ、その程度はリュープロレリンと同程度でした。
特徴
  • 非ペプチトド性の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体遮断薬です。略してGnRHアンタゴニスト。既存のアゴニスト製剤(スプレキュア、リュープリン)とは異なり、GnRH受容体に結合し その働きを直接遮断します。
  • 服薬後、すみやかに女性ホルモン(エストラジオール)の血中濃度が低下します。アゴニスト製剤にみられる一過性の女性ホルモン分泌亢進はありません。
  • 同効薬として初めての飲み薬です(既存薬は点鼻または注射)。1日1回1錠服用で服薬管理が楽にできます。
  • 有効性は既存薬とそれほど変わりません。副作用の出かたも同様で、原則6カ月という治療期間も同じです。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に伝えてください。妊娠していないことを確認したうえで使用する必要があります。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

妊婦中または妊娠している可能性のある女性は使用できません。

  • 適さないケース..妊娠中、授乳中、診断のつかない異常性器出血がある人。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

他の女性ホルモン薬と併用すると、この薬の作用が減弱するかもしれません。結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)や抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)なども相互作用の可能性があります。

【使用にあたり】
  • 通常、1日1回食前に1錠(40mg)を飲みます。初回の服用は、妊娠の可能性のない月経周期1〜5日目に開始します。
  • 飲み忘れた場合は、気付いたときに服用してください。ただし、次の時間が近ければ、忘れた分は抜かし、次の通常の時間に1回分服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 治療期間は原則6カ月までです。6カ月を超えての使用あるいは中止後の再開は、骨への影響を見きわめたうえで行います。
  • 治療中は通常の月経がなくなります。月経回復までの期間は、治療終了後1〜2カ月ほどです。

【検査】

必要に応じ、肝機能や骨塩量の検査をします。

【妊娠・授乳】
  • 妊婦中は使用禁止です。
  • 服用中は妊娠を避ける必要があります。妊娠する可能性のある人は、経口避妊薬(ピル)以外の方法で避妊してください。

【食生活】
  • うつ症状があらわれることがあります。気分が落ち込む、やる気がしない、考えがまとまらない、憂うつ、不安、不眠・・など気になる症状があれば医師と相談してください。
  • 牛乳や乳製品などカルシウム分の多い食事を心がけましょう。また、軽い運動や散歩も体にいいです。骨が弱るのを防ぎますし、気分転換にもなります。
効能
  • 子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善

    過多月経、下腹痛、腰痛、貧血

    [注意]子宮筋腫における本剤による治療は根治療法ではないことに留意し、手術が適応となる患者の手術までの保存療法並びに閉経前の保存療法としての適用を原則とすること。
  • 子宮内膜症に基づく疼痛の改善
用法 通常、成人はレルゴリクスとして40mgを1日1回食前に経口服用する。なお、初回服用は月経周期1〜5日目に行う。
  • [注意1]治療に際しては妊娠していないことを確認し、必ず月経周期1〜5日目より投与を開始すること。また、治療期間中は非ホルモン性の避妊をさせること。
  • [注意2]エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるので、6ヵ月を超える投与は原則として行わないこと(6ヵ月を超える投与の安全性は確立していない)。なお、やむを得ず長期にわたる投与や再投与が必要な場合には、可能な限り骨塩量の検査を行い慎重に投与すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 不正出血や月経過多が飲み始めにあらわれます。多くは軽度で、出血量が治療前より増えることはまずありません。また月経過多の多くは月経期間が長くなる過長月経です。いずれも一過性で、治療の継続により軽減し、月経はなくなります。

ほてり、発汗、冷え、肩こり、頭痛、めまい、イライラ、不眠、腟乾燥など 更年期のような症状もでやすいです。人によっては、気分が落ち込み うつ症状がひどくなることがあります。つらいときは早めに受診し、医師とよく相談してください。

長期使用で心配なのが骨への影響です。服用期間が長くなるにつれて骨密度が減少することが分かっています。6カ月くらいなら大丈夫ですが、それを超える場合や、中止後に再開するときは、骨塩量の検査を実施するなど慎重に対処しなければなりません。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • うつ症状..憂うつ、気分が落ち込む、やる気がでない、考えがまとまらない、悲観的、不安感、不眠。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 狭心症..胸の痛み・違和感・圧迫感

【副作用】
  • 更年期様症状..ほてり、発汗、頭痛、けん怠感、めまい、イライラ、不眠、眠気、気分の落ち込み、腟の乾燥
  • 不正出血、月経過多(過長月経)、不規則月経
  • 関節痛、こわばり
  • 吐き気、食欲不振
  • 肝機能値の異常
  • 骨密度の減少、長期使用で骨が弱る

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。