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成分(一般名) エストラジオール
製品例 エストラーナテープ0.09mg~0.18mg~0.36mg~0.72mg、ディビゲル1mg、ル・エストロジェル0.06% ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 卵胞ホルモン,黄体ホルモン/エストラジオール系/経皮吸収エストラジオール製剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 女性ホルモンの“卵胞ホルモン”を補うお薬です。更年期障害をはじめ、骨粗鬆症、性腺機能低下症、不妊治療などに用いられます。
作用更年期障害は、閉経時、女性ホルモンの急速な低下に体がついていけない状態です。のぼせ、汗、冷え、動悸、頭痛、めまい、肩こり、腰痛、不眠、イライラ・・程度も症状もまちまちですが、人によっては耐えがたい苦痛になります。

このお薬は、女性ホルモンとして働く「卵胞ホルモン薬」です。閉経前後に少量を用いることで、更年期障害にともなう不快な症状を改善します。とくに、のぼせや発汗など血管運動神経症状に効果が高いです。泌尿生殖器の萎縮にともなう膣の乾燥感や尿失禁にも有効です。長期に続けることで骨粗鬆症の予防効果も期待できます。

さらに、不妊治療(生殖補助医療)においても薬事承認され保険がきくようになりました。たとえば、調節卵巣刺激の開始時期の調整に用いられます。治療前周期に この薬を一定期間使用、その後中止して消退出血(月経様出血)を誘導することにより、生殖補助医療を行う周期の開始時期を適切に調節することができるのです。また凍結融解胚移植においては、子宮内膜を肥厚させ、さらに黄体ホルモン薬を併用することにより妊娠の成立や維持に適した子宮内膜を形成できます。
特徴
  • 有効成分は、生理活性の高い天然型の卵胞ホルモン(エストロゲン)のエストラジオールです。いわゆる女性ホルモン補充療法(HRT)として広く用いられています。
  • 貼り薬(テープ)と塗り薬(ゲル)があります。いずれも、有効成分が皮膚から直接吸収される経皮吸収型の製剤です。確実な効果が期待でき、肝臓の負担が少ないのがメリットです。難点として、かゆみや発赤など使用部位に不快な皮膚症状を起こすことがあります。
  • ル・エストロジェルは、皮膚刺激の少ないジェル型製剤で塗布跡も残りません。一定量が取り出せるプッシュ式ボトルになっています。
注意
【診察で】
  • 血栓症など持病や、アレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • とくに長期使用が必要な場合、その利点だけでなく不利益についても説明を受けてください。医師とよく話し合い、納得のうえで治療にあたることが大切です。

【注意する人】

卵胞ホルモンによって悪化する乳がんや子宮がんがある場合は使用禁止です。もし、原因不明の性器出血があるなら、子宮がんでないことを確認したうえで使用する必要があります。血栓性静脈炎や心筋梗塞など、血栓性疾患のある人も使用できません。

  • 適さないケース..血栓性静脈炎、肺塞栓症、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、乳がん、子宮内膜がん、未治療の子宮内膜増殖症、重い肝臓病、妊娠中。
  • 注意が必要なケース..子宮筋腫、子宮内膜症、乳がん既往・家族歴、乳房結節、乳腺症、高血圧、心臓病、腎臓病、肝臓病、糖尿病、片頭痛、てんかん、全身性エリテマトーデス、手術前、寝たきり、長期に体を動かせない状態にある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 飲み合わせによっては、この薬の作用が弱まるおそれがあります。たとえば、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)、抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)やフェノバルビタール(フェノバール)、ステロイド薬などに注意が必要です。
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品はとらないでください。この薬の作用を弱めるかもしれません。

【使用にあたり】
  • 製剤や治療目的により使用方法が違います。説明書をよく読み、指示どおりに使用してください。なお、更年期障害では黄体ホルモン薬との併用が原則です。
  • エストラーナテープは、2日毎に貼り替えます。貼りつける部位は、下腹部が一般的です。ベルトラインははがれやすいので避けましょう。また、傷や湿疹がある部位もやめてください。汗をよく拭きとり、清潔にしてから貼るようにします。皮膚の刺激を避けるため、毎回少しずつ貼る場所を変えることが大事です。なお、包装から取り出すのは使用するときにしてください。また、テープ剤をハサミなどで切って使用してはいけません。
  • 塗り薬のディビゲルは、1包を1日1回左右いずれかの大腿部もしくは下腹部に塗布します。毎日塗布部位を変えたほうがよいでしょう。ル・エストロジェルは、1日1回、2プッシュを両腕の手首から肩までの広い範囲に塗り広げてください。顔面や乳房、外陰部および粘膜には塗布しないでください。また、傷や湿疹がある部位も避けましょう。
  • 塗り薬を塗ったあとは手をよく洗いましょう。また、塗布直後はその部分を他の人に触れさせないでください。塗ってから1時間以内は、塗布部位を洗浄してはいけません。また、塗布直後はアルコールを多量に含む化粧品の使用を避けてください。保湿クリームや日焼け止めクリームの同時使用も避けたほうがよいでしょう。
  • 使い始めの乳房痛や子宮出血、吐き気などは、徐々になくなることが多いです。つらいときは、医師とよく相談してください。

【検査】

服薬に先立ち、乳房と子宮に異常がないかを調べます。治療開始後も乳房検診や婦人科検診を定期的に実施する必要があります。

【妊娠・授乳】
  • 妊婦中または妊娠している可能性がある場合は使用できません。
  • 授乳中の人は医師の指示に従ってください。治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、医師が使用の可否を決めます。この薬による治療を優先するなら、授乳を中止しなければなりません。

【食生活】

たとえば長時間飛行や車中泊など、体を動かせない状態が長く続くと、血栓症のリスクが少し高まるかもしれません。水分を多くとり、できるだけ体、ことに足をこまめに動かすようにしましょう。

【備考】
  • ホルモン補充療法(HRT)には、いくつかの方法があります。卵胞ホルモン薬と黄体ホルモン薬を併用するのが基本ですが、子宮を摘出している場合は卵胞ホルモン単独でおこないます。また、連続的に使用する方法と、休薬期間を設け周期的に用いる方法があります。周期的投与法では、生理のような出血が起こります。自然な生理がまだある場合と、そうでない場合、また本人の意向もふまえて投与方法が決められます。
  • 数年単位の長期使用により子宮がんになる割合が増えますが、黄体ホルモン薬との併用によりむしろ減少するという報告があります。
  • 乳がんになる率がわずかに増えることも知られています。定期的な乳房検診でチェックをするようにしましょう。
  • 晩期エストロゲン欠乏症状という観点から、動脈硬化や心臓病、さらにはアルツハイマー病などに対するHRTによる予防効果が期待されていました。けれども、最近おこなわれた大規模な臨床試験において、そのような効果は否定され、かえって悪影響になることが分かりました。とくに、高齢者に対するホルモン補充療法は利益よりも不利益のほうがはるかに大きいことが示されています。安易な老化予防を目的とした長期使用は避けたほうがよいでしょう。
効能
【エストラーナテープ】
<効能A>

更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う次の症状/血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状
<効能B>

閉経後骨粗鬆症
<効能C>

性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症
<効能D:テープ0.72mg>

生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
<効能E:テープ0.36mg~0.72mg>

凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期

【ディビゲル、ル・エストロジェル】
<効能F>

更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(Hot flushおよび発汗)
<効能G>

生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
<効能H>

凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期
用法
【エストラーナテープ】
<効能A>

通常、成人に対しエストラジオールとして0.72mgを下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替える。
<効能B>

通常、成人に対しエストラジオールとして0.72mgを下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替える。

[注意]使用後6カ月〜1年後に骨密度を測定し、効果が認められない場合には使用を中止し、他の療法を考慮すること。
<効能C>

通常、成人に対しエストラジオールとして0.72mgから開始する。下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替え、症状に応じ増減する。小児では、エストラジオールとして0.09mgから開始する。下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替える。その後、エストラジオールとして0.18mg、エストラジオールとして0.36mg、エストラジオールとして0.72mgへ段階的に増量する。

[注意1]成人に使用する場合は、定期的に中止又は漸減の判断を行い、最少量で治療を行うこと。

[注意2]小児に使用する場合は、使用後6カ月〜1年を目処に増量を検討すること。また、定期的に症状や血中エストラジオール濃度等を確認し、増量や中止又は漸減の判断を行うこと。
<効能D:テープ0.72mg>

通常、エストラジオールとして0.72mgを下腹部、臀部のいずれかに貼付し、21〜28日間、2日毎に貼り替え、投与期間の後半に黄体ホルモン剤を併用する。
<効能E:テープ0.36mg~0.72mg>

通常、エストラジオールとして0.72〜5.76mgを下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替え、子宮内膜の十分な肥厚が得られた時点で、黄体ホルモン剤の併用を開始して、妊娠8週まで本剤の投与を継続する。

[注意]本剤の妊娠成立後の投与期間は、本剤投与により予想されるリスクと患者の状態を考慮して慎重に判断し、漫然と投与を継続せず、最長妊娠10週を超えないこと。

【ディビゲル】
<効能F>

通常、成人に対しディビゲル1mg(エストラジオールとして1mg含有)1包(1.0g)を1日1回左右いずれかの大腿部もしくは下腹部に、約400cm2の範囲に塗布する。
<効能G>

通常、ディビゲル1mg(エストラジオールとして1mg含有)1包(1.0g)を1日1回、21 〜28日間、左右いずれかの大腿部もしくは下腹部に、約400cm2の範囲に塗布し、投与期間の後半に黄体ホルモン剤を併用する。
<効能H>

通常、ディビゲル1mg(エストラジオールとして1mg含有)2〜4包(2.0〜4.0g)を1日2回左右いずれかの大腿部もしくは下腹部に、1包あたり約400cm2の範囲に塗布し、子宮内膜の十分な肥厚が得られた時点で、黄体ホルモン剤の併用を開始して、妊娠8週まで本剤の投与を継続する。

[注意:効能F・G・H]副作用等の発現により本剤の減量が必要と判断された場合、本剤には低用量製剤がないので、使用を中止するなど適切な処置を行うこと。

[注意:効能H]本剤の妊娠成立後の投与期間は、本剤投与により予想されるリスクと患者の状態を考慮して慎重に判断し、漫然と投与を継続せず、最長妊娠10週を超えないこと。

【ル・エストロジェル】
<効能F>

通常、成人に対しル・エストロジェル2プッシュ(1.8g、エストラジオールとして1.08mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦する。なお、症状に応じて、適宜減量する。減量する場合は、ル・エストロジェル1プッシュ(0.9g、エストラジオールとして0.54mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦する。
<効能G>

通常、ル・エストロジェル1又は2プッシュ(0.9又は1.8g、エストラジオールとして0.54又は1.08mg含有)を1日1回、21〜28日間、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦し、投与期間の後半に黄体ホルモン剤を併用する。
<効能H>

通常、ル・エストロジェル2〜10プッシュ(1.8〜9.0g、エストラジオールとして1.08〜5.40mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩、腹部、大腿部及び腰部の広い範囲に塗擦し、子宮内膜の十分な肥厚が得られた時点で、黄体ホルモン剤の併用を開始して、妊娠8週まで本剤の投与を継続する。

[注意:効能H]本剤の妊娠成立後の投与期間は、本剤投与により予想されるリスクと患者の状態を考慮して慎重に判断し、漫然と投与を継続せず、最長妊娠10週を超えないこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用で多いのは、乳房の張りや痛み、生理予定外の出血、吐き気や嘔吐などです。これらは、2〜3カ月して体が慣れてくればたいてい軽快しますので、それほど心配いりません。つらいようでしたら、早めに受診し医師とよく相談してください。そのほか、使用部位の皮膚発赤やかゆみも多いほうです。テープは毎回貼る場所を変えるとようにしましょう。

重い副作用はまずありませんが、念のため注意が必要なのは「血栓症」です。血液の固まりで血管が詰まることで起こります。生じる所はいろいろです。手足、とくにふくらはぎの痛みやシビレ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、めまい、急に視力が落ちるといった症状が前触れとなります。万一のことですが、そのような症状があらわれたら、すぐ医師に連絡してください。

そのほか、すぐに起こる副作用ではありませんが、長期間のホルモン補充療法により、乳がんの発現リスクが少し高まる可能性があります。このへんのことも含め、治療上の不利益についてもよく聞いておくとよいでしょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。

【その他】
  • 乳房不快感、乳房が張る、乳房痛
  • 予定外の性器出血、下腹部痛、帯下
  • 吐き気、吐く、食欲不振、腹部膨満、腹痛
  • 貼付または塗布部位の皮膚症状(発赤・かゆみ、かぶれ)

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。