概説 |
前立腺がんを治療するお薬です。 |
作用 | 前立腺がんは、男性ホルモンの影響を受けて大きくなる性質があります。このお薬は、男性ホルモンの作用を打ち消すことで、がん細胞の増殖をおさえます。その結果、腫瘍の勢いがなくなり、病状がおさまります。
そのような作用から、ホルモン療法薬として前立腺がんの治療に使われます。手術の前後に用いることも多いです。さらに、進行した前立腺がんや転移したものにもかなり有効で、腫瘍による骨の痛みを軽減します。 |
特徴 |
- 合成エストロゲン薬(合成卵胞ホルモン薬)です。アンドロゲン(男性ホルモン)をおさえるので、薬効分類的に抗アンドロゲン薬(抗男性ホルモン薬)ということもできます。
- ホルモン系の前立腺がん治療薬として古くから使用されてきました。ただ、最近は、他の新薬を用いることが多くなり、処方される機会が減っています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 事前に医師から、起こるかもしれない副作用や注意事項について十分説明を受けてください。

- 【注意する人】

- 病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。血栓の病気ある人など使用できないことがあります。
- 適さないケース..血栓性静脈炎、肺塞栓症。
- 注意が必要なケース..肝臓病、腎臓病、心臓病、糖尿病、てんかん、高齢の人など。

- 【使用にあたり】

- 決められた飲み方を守ってください。

- 【検査】

- 副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。
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効能 |
前立腺癌 |
用法 |
ホスフェス卜ロール(別名リン酸ジエチルスチルベストロール)として、通常成人1回100〜400mg(本剤1〜4錠)を1日3回食前に経ロ服用する。症状が安定したならば、1日100〜200mg(本剤1〜2錠)を継続服用する。なお、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
わりと多いのは吐き気や嘔吐、食欲不振などの胃腸症状です。人によっては、乳房が大きくなったり、乳首が腫れて痛くなることがあります。また、勃起障害など性的機能の低下もみられます。これらは危険な副作用ではありませんが、気になるようでしたら、医師とよく相談してください。
重い副作用として、とくに注意が必要なのは「血栓症」です。血液の固まりで血管が詰まることで起こります。生じる所はいろいろです。手足、とくにふくらはぎの痛みやシビレ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、めまい、急に視力が落ちるといった症状が前触れとなります。万一のことですが、そのような症状があらわれたら、すぐ医師に連絡してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 血栓症..手足とくにふくらはぎの痛み・はれ・むくみ・しびれ、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる。
- 狭心症、心筋梗塞、心不全..胸の痛み・違和感・圧迫感、冷汗、締め付けられるような胸の痛み、息苦しい、むくみ、体重増加。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
- 吐き気、吐く、食欲不振、腹痛、下痢
- 乳房が張る、乳首の腫れや痛み
- 肛門・陰部周囲のかゆみ・灼熱感・しびれ感
- 倦怠感、勃起障害、性欲低下
- 動悸、肝機能の異常、むくみ、発疹
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