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成分(一般名) ブデソニド(内用)
製品例 ゼンタコートカプセル3mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の消化器官用薬/その他/クローン病治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 腸の炎症をしずめるお薬です。クローン病の治療に用います。
作用

【働き】

クローン病は消化管に炎症を生じる病気です。おもに小腸末端から大腸さらには肛門に非連続性の病変を生じ深い潰瘍ができます。慢性に推移し、活動期には下痢や血便、腹痛が激しくなり、ときに重症化します。全身症状として発熱や貧血がみられ、栄養障害から体重減少、体力低下にもつながります。

このお薬はクローン病治療薬です。ステロイド薬のブデソニドが腸内でゆっくり溶け出し、患部に直接作用し抗炎症作用を発揮します。とくに回腸ないしは上行結腸の病変に効果的で、諸症状を落ち着かせ寛解へと導きます。正式な効能は、軽症から中等症の活動期クローン病です。寛解導入に用いるもので、長期の維持療法には向きません。

【薬理】

ステロイド(糖質コルチコイド)には組織の反応性を低下させる作用があります。炎症起因物質のサイトカイン、マスト細胞、好酸球などの産生および遊離を抑制するとともに、血管透過性や炎症性浮腫形成を抑えることにより抗アレルギー・抗炎症作用・免疫抑制作用を発揮するものと考えられます。

【臨床試験】

クローン病に対する有効性を検証する試験がおこなわれています。参加したのは、おもな病変部位が回腸または上行結腸に存在する軽症から中等症の活動期クローン病の患者さん112人。このうち56人はこの薬を、残りの56人は従来品のペンタサ錠(メサラジン3g/日)を服薬し、2カ月後の寛解率を比べるのです。

具体的な寛解判定の指標として下痢の回数、腹痛の程度、一般状態、合併症状、下痢止め薬の使用、貧血検査値、体重などを調べます。各項目に規定の係数を乗じ点数化し、それらの合計点‘CDAIスコア’をもって判定基準とします。寛解と判定されるのは、CDAIスコアが150点以下になった場合です。ちなみに、試験の対象となった患者さんはCDAIスコア180点以上400点以下という基準で選ばれました。

その結果、この薬を飲んでいた人達の寛解率は30%(17/56人)、ペンタサの人達で25%(14/56人)でした。また、副次的に調べられた臨床的改善率(寛解またはCDAI スコアが100以上減少)は、この薬で43%(24/56人)、ペンタサの人達で30%(17/56人)でした。従来からの標準的治療薬であるペンタサに、勝るとも劣らない有効性が確認できたわけです。
特徴
  • ステロイド薬を小腸および結腸近位部で放出するように設計された腸溶性徐放製剤です。有効成分のブデソニドは局所作用型の強力な合成副腎皮質ステロイドになります。肝臓ですぐ代謝されるため、全身作用が少ないのが特徴です。
  • 局所作用型なので、一般的なステロイド経口剤に比べ安全性が高いです。このため、メサラジン製剤で十分な寛解導入効果が得られない場合、あるいは回腸または上行結腸に病変がある軽症から中等症の活動期クローン病に推奨されます。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠出産を希望する場合は、事前に医師と相談しましょう。

【注意する人】

結核をふくめ細菌や真菌による重い感染症のある人は、慎重に用いる必要があります。とくに長期使用時は注意が必要です。

  • 適さないケース..有効な抗菌薬がない感染症、深在性真菌症
  • 注意が必要なケース..感染症(結核、細菌感染症、単純疱疹、真菌症など)、肝炎ウイルスをもっている人、水痘(水ぼうそう)もしくは麻しん(はしか)の既往がなく また予防接種を受けていない人、消化性潰瘍、緑内障、白内障、高血圧、電解質異常、手術後、血栓症、心臓病、糖尿病、骨粗鬆症のある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • この薬の血中濃度を上昇させる薬剤として、たとえばマクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、抗エイズウイルス薬のうちのプロテアーゼ阻害薬(ノービア、カレトラ、レイアタッツ、プリジスタ、レクシヴァ、スタリビルド)などがあります。これらと併用する場合は、全身性の副作用に注意が必要です。
  • グレープフルーツやグレープフルーツジュースの飲食は避けてください。この薬の血中濃度が上昇し、副作用がでやすくなるおそれがあります。

【使用にあたり】
  • 通常、1日1回朝食前に3カプセル(9mg)服用します。食前か食後かは医師の指示どおりにしてください。食後でも大きな問題はないと思います。
  • 飲み忘れた場合、気付いたときに すぐ飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は、1回分は抜かし次の通常の時間に1回分を服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 寛解導入が目的です。服薬の目安はおおよそ2カ月間(8週間)。医師の判断でさらに続けることもありますが、長期の維持療法には向きません。
  • ステロイド使用時の注意点として「自分の判断で急にやめない」ということがあります。反発的な重い症状が出るおそれがあるためです。中止する場合は、2週間くらいかけ徐々に減量しなければなりません。
  • 次のような場合、この薬を使用していることを報告してください。大けがをした場合、手術をするとき、予防接種や皮内反応テストをするとき。
効能 軽症から中等症の活動期クローン病
用法 通常、成人はブデソニドとして9mgを1日1回朝経口服用する。
  • 注意1:本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。
  • 注意2:本剤を中止する場合は、用量を徐々に減量すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 局所作用型なので、一般的な経口ステロイド薬に比べ副作用は少ないほうです。人によっては、にきびや吹き出物ができ、肌が荒れたりします。便秘や肝機能異常も報告されているようです。長期使用時は、副腎皮質機能抑制、骨粗鬆症、白内障、緑内障など全身性の副作用にも念のため注意が必要です。

  • ざ瘡(にきび、吹き出物)、発疹
  • 脂肪の異常沈着(顔がふっくらする、肩やおなかが太る)
  • 生理不順
  • 吐き気、消化不良、便秘
  • いらいら感、神経過敏、不眠
  • 肝機能異常、低カリウム血症

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。