概説 |
抗がん薬による吐き気や嘔吐を抑えるお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 抗がん薬の治療にともない、強い吐き気や嘔吐を生じ、食事もできなくなることがあります。このお薬は、そのような抗がん薬による悪心・嘔吐をおさえ、心身の苦痛をやわらげます。

- 【薬理】

- 嘔吐を引き起こす5-HT3(セロトニン)という物質の伝達経路を遮断します。そのような作用から、「5-HT3受容体拮抗薬」と呼ばれています。
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特徴 | 5-HT3受容体拮抗型制吐薬です。この系統は、抗がん薬投与後の即時型の悪心・嘔吐に大変よく効きます。これらの開発により、抗がん薬による嘔吐を十分におさえることができるようになりました。嘔吐の副作用が強いシスプラチンなど白金製剤の抗がん薬でも8割くらいの人に有効です。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 重い肝臓病のある人は、用量に注意するなど慎重に用います。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)やリファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(テグレトール)などと飲み合わせると、この薬の作用が減弱するかもしれません。
- 禁止ではありませんが、抗うつ薬(三環系、SSRI、SNRI、NaSSA)やパーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)と併用すると、セロトニン症候群という副作用が出やすくなります。
 【使用にあたり】
- 用量は医師の指示どおりにしてください。通常、1日に1回だけ飲みます。
- 予防的に、抗がん薬投与の1〜2時間前に飲むのが一般的です。服用期間は、がん化学療法の各クールにおいて、3〜5日間を目安とします。
- 即時型の悪心・嘔吐は、一般的に抗がん薬投与1〜2時間後に発現します。未然にこの薬を飲んでいたにもかかわらず、悪心や嘔吐を起こすようでしたら、医師にそのことを伝えてください。

- 【備考】

- この薬のほかに、ステロイド薬を用いることも多いです。また、遅発性の悪心・嘔吐にはメトクロプラミド(プリンペラン)の大量投与がおこなわれます。さらに、心理的な要因がみられるときには安定薬も使います。抗がん薬による治療を円滑におこなうためにも、悪心・嘔吐を防ぐ十分な対策をとることが重要です。
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効能 |
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐) |
用法 |
通常、成人はオンダンセトロンとして1回4mg、1日1回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。また、効果不十分な場合には、同用量の注射液を投与できる。
- [注意1]抗悪性腫瘍剤を投与する場合、その1〜2時間前に投与する。
- [注意2]癌化学療法の各クールにおいて、本剤の投与期間は3〜5日間を目安とする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。人によっては、頭痛や頭重感、けん怠感、発熱などを生じるかもしれません。重い副作用はまずありません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー様症状..気持ち悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- けいれん..筋肉のぴくつき、ふるえ、白目、硬直、全身けいれん、意識低下・消失。
 【その他】
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