概説 |
便秘のお薬です。検査で用いることもあります。 |
作用 | 大腸を刺激し腸の運動を活発にして排便をうながします。効果の発現は7〜12時間後です。腸の運動が低下している「弛緩性便秘」に向きます。 |
特徴 | 代表的な「大腸刺激性下剤」です。刺激性下剤としては、耐性を生じることが少ないです。錠剤のほか、液体やドライシロップもあるので、子供や高齢の人を含め各科で広く使われています。妊娠中の便秘にも向きます。また、腸の手術や大腸検査にそなえ、事前に腸内をきれいにする目的でも使います。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は医師に伝えてください。
- 服用中の薬を医師に教えてください。薬が原因の便秘も少なくありません。

- 【注意する人】

- 急性腹症の疑いのある人は、その症状を悪化させるおそれがあるため使用できません。また、高齢の人など、大腸検査前処置で大量服用する場合は、より慎重に用いる必要があります。
- 適さないケース..急性腹症(虫垂炎、腹膜炎等)が疑われる人、腸管閉塞のある人・疑われる人(大腸検査前処置に用いる場合)。
- 注意が必要なケース(大腸検査前処置に用いる場合)..重度な便秘、腸管狭窄など腸に異常のある人、高齢の人など。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方を守ってください。症状や年齢、使用目的、また各製剤によって飲み方が違います。便秘症の場合、ふつう、翌朝の効果を期待して寝る前に飲みます。
- 多めの水で飲んでください。とくに大腸検査の前に用いる場合、指示にしたがい水を十分に飲んでください。
- 大量服用となる大腸検査前処置においては、万一の副作用にそなえ、家族や付き添いの人のもとで飲むようにしましょう。もし、強い吐き気や嘔吐、ひどい腹痛が続くときは、医師に連絡するか直ちに受診してください。
- 刺激性下剤の安易な長期常用は好ましくありません。できるだけ短期間にとどめましょう(医師の指示どおりに)。

- 【妊娠・授乳】

- 妊娠中でも、医師の判断で必要最少量を用いることがあります。通常量の範囲であればまず問題ないとされます。

- 【食生活】

- 薬にだけ頼るのではなく、食生活の改善をおこない規則正しい排便習慣をつけることが大切。便秘薬は、どうしても便通のないときにワンポイントで使用したり、排便のリズムをとり戻すために一定期間だけ使用するのが原則です。
- 排便習慣..朝食後、便意がなくても必ずトイレへ。朝おきたときに、冷たい水や牛乳を飲んでおくとよい。
- 運動..とくに腹筋を使う運動、からだの反り・ねじりなど腹部の体操が効果的。
- 食物繊維と乳酸菌食品..野菜、果物、海藻、きのこ、豆、ヨーグルト、乳酸菌飲料などを積極的にとる。
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効能 |
- 各種便秘症
- 術後排便補助
- 造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進
- 手術前における腸管内容物の排除
- 大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸管内容物の排除
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用法 |
 【液】
- 各種便秘症..通常、成人は1日1回10〜15滴(0.67〜1.0mL)を経口服用する。小児は1日1回、次の基準で経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。年齢6ヵ月以下:2滴(0.13mL)、年齢7〜12ヵ月:3滴(0.20mL)、年齢1〜3才:6滴(0.40mL)、年齢4〜6才:7滴(0.46mL)、年齢7〜15才:10滴(0.67mL)
- 術後排便補助..通常、成人は1日1回10〜15滴(0.67〜1.0mL)を経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 造影剤(硫酸バリウム)服用後の排便促進..通常、成人は6〜15滴(0.40〜1.0mL)を経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 手術前における腸管内容物の排除..通常、成人は14滴(0.93mL)を経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸管内容物の排除..通常、成人は検査予定時間の10〜15時間前に20mLを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
 【その他製剤】
- 各種便秘症..通常、成人は1日1回ピコスルファートナトリウム水和物として5.0〜7.5mgを経口服用する。小児は1日1回、次の基準で経口服用する。6ヶ月以下:ピコスルファートナトリウム水和物として1.0mg、7〜12ヶ月:1.5mg、1〜3歳:3.0mg、4〜6歳:3.5mg、7〜15歳:5.0mg
- 術後排便補助..通常、成人は1日1回ピコスルファートナトリウム水和物として5.0〜7.5mgを経口服用する。
- 造影剤(硫酸バリウム)服用後の排便促進..通常、成人はピコスルファートナトリウム水和物として3.0〜7.5mgを経口服用する。
- 手術前における腸管内容物の排除..通常、成人はピコスルファートナトリウム水和物として7.0mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸管内容物の排除..通常、成人は検査予定時間の10〜15時間前にピコスルファートナトリウム水和物として150mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用の少ない安全なお薬です。重い副作用はまずありません。ただ、服用量が多いと、腹痛を起こすかもしれません。かえって胃腸の調子が悪くなるときは、早めに受診してください。
効きめが悪くなってきたからと、安易に増量を繰り返していると、体が下剤に頼りがちになり自然な排便が困難になってしまいます。食生活の改善につとめ、できるだけ短期間の服用にとどめましょう。
きわめてまれなケースとして、大腸検査前処置において、腸管穿孔や腸閉塞、虚血性大腸炎などの重症例が報告されています。この用途で大量服用する場合、とくに、もともと胃腸に病気のある人やひどい便秘が続いている人、また高齢の人などは要注意です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 腸閉塞、腸管穿孔、虚血性大腸炎(大腸検査前処置における大量服用時)..おなかが膨れる、強い吐き気、吐く、腹痛、血便。
 【その他】
- 腹痛、ゴロゴロする、吐き気、腹部膨満感、下痢
- めまい
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