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成分(一般名) ビランテロール トリフェニル酢酸塩/フルチカゾン フランカルボン酸エステル
製品例 レルベア100エリプタ14吸入用~30吸入用、レルベア200エリプタ14吸入用~30吸入用 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の呼吸器用薬/吸入ステロイド薬/喘息治療配合剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 気道を広げ、炎症をとる吸入薬です。喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用います。
作用

【働き-A】

喘息は「気道の慢性炎症にもとづく病気」と考えられるようになりました。気管や気管支が炎症により過敏になり、少しの刺激でけいれん収縮し気道が狭くなります。そして、ゼーゼー・ヒューヒュー呼吸が苦しくなるのです。

この吸入薬には、2種類の有効成分が配合されています。一つは、フルチカゾンというステロイド薬です。ステロイドには強い抗炎症作用があり、気道の炎症をおさえることで喘息発作を起こりにくい状態にします。

もう一つの成分は、気管支拡張作用を持つβ2刺激薬のビランテロールです。こちらは気道を広げ、呼吸を楽にする役目をします。同系としては、心臓への影響が少なく、作用時間が長いのが特徴です。

これら2成分の相乗作用により 優れた呼吸機能改善効果をもたらします。処方対象は、吸入ステロイド薬だけでは効果不十分なやや重い喘息に対してです(軽症持続型以上)。予防薬になりますので、毎日定期吸入することになります。

【働き-B】

慢性閉塞性肺疾患いわゆるCOPDは、気管支や肺胞に病変を生じ、非可逆的な気道閉塞障害を起こす病気の総称です。咳や痰が多くなり、少しの動作で息切れするなど体動時の呼吸困難が特徴的です。これには従来の慢性気管支炎と肺気腫が含まれます。

このお薬は、気道の炎症をとるステロイド薬と、気管支を広げ空気の流れをよくするβ2刺激薬の2成分を配合した吸入剤です。慢性閉塞性肺疾患に対して、予防的に定期吸入することで、呼吸を楽にし息切れ症状をやわらげます。症状が不安定で増悪をくり返す場合や、気道に炎症がみられ喘息様症状をともなうなど やや重い症例に好適です。

【薬理】
  • ステロイドには組織の反応性を低下させる作用があります。気道における抗炎症作用は、炎症起因物質のサイトカイン、マスト細胞、好酸球などを減少させることによります。そのほか、血管透過性抑制作用や粘液分泌抑制作用もあります。とくにフルチカゾンは、他のステロイド剤よりも脂溶性が高く、組織への滞留が長いのが特徴で作用も強力です。
  • β2刺激薬は、気管平滑筋にある交感神経の「β2受容体」を刺激して気管支を広げます。このうち、ビランテロールはβ2選択性が高く、心臓など循環器系への悪影響が少ないほうです。また、作用時間が長い長時間作用型になります。

【臨床試験-A】

この薬と、ステロイド吸入薬のフルチカゾン単独療法との比較試験が行われています。フルチカゾンにβ2刺激薬のビランテロールをくわえたこの薬の併用効果を確かめるのが目的です。参加したのは日本人62人をふくむ気管支喘息の患者さん2019人。このうち1009人はこの薬による併用療法を、別の1010人はフルチカゾン単独療法をおこないます。有効性を判定する評価項目は、肺活量(FEV1:1秒間努力呼気量)(L)の変化量です。肺活量は、喘息の病状を客観的にとらえる重要な指標です。また、別の評価項目として、入院が必要なくらい病状が悪化した人の割合についても調べます。

その結果、この薬(ビランテロール+フルチカゾン)を9カ月間吸入していた人達の肺活量(L)は平均0.35(2.22→2.57)上昇、フルチカゾンの人達で0.26(2.19→2.45)上昇しました。 この薬で併用療法をおこなったほうが肺活量がより改善し、長期管理薬としての有効性が示されたわけです。また、試験期間中に入院するほど病状が悪化した人の割合は、この薬で15%(154/1009人)、フルチカゾン単独療法で18%(186/1010人)でした。実際の喘息の増悪リスクについても、この薬により低下することが確かめられたのです。

【臨床試験-B】

慢性閉塞性肺疾患に対する効果も調べられています。初期治療として標準的な気管支拡張薬単独療法との比較試験です。参加したのは病状が思わしくない中等症以上の慢性閉塞性肺疾患の患者さん1620人。このうち806人はこの薬による併用療法(ビランテロール+フルチカゾン)を、別の814人は単独療法(ビランテロール)をおこないます。そして、3カ月後の肺活量(FEV1)の変化量を比較するのです。

その結果、この薬を吸入した人達の肺活量が平均0.12(1.28→1.41)上昇したのに対し、単独療法では0.08(1.39→1.29)の上昇にとどまりました。さらに、治療期間中に病状が悪化した人数は、この薬で69人(9%)、ビランテロール単独療法で114人(14%)でした。この薬による併用療法により肺活量が改善し、また病状がより安定することが示されたわけです。
特徴
  • 強力なステロイド薬と、長時間作動型β2刺激薬を配合した吸入製剤です。これら2成分がいっしょに作用することで、気道の“炎症”と“狭窄”の両方を同時に改善します。喘息にくわえ、慢性閉塞性肺疾患に対する効能が2017年に追加承認されました。
  • 作用時間が長く、吸入回数は1日1回(他の同類薬は1日2回)。長期管理薬として利便性の高い吸入剤です。ドライパウダー吸入式で、専用のエリプタという吸入器を使って吸入します。カウンターで残量がひと目でわかります。
  • ステロイド薬のフルチカゾンの配合量が異なる2種類の製品が販売されています。β2刺激薬のビランテロールの配合量はどちらも同じです。喘息では、中等症までは低用量製剤(100)を、効果不十分な重症例には高用量製剤(200)の処方が想定されます。一方、慢性閉塞性肺疾患には低用量製剤を用い、適応となるのは気管支拡張薬で効果不十分な場合に限ります。
注意
【診察で】
  • 心臓病や肝臓病など、持病のある人は医師に伝えておいてください。
  • 使用手順や吸入方法を実演で指導してもらいましょう。また、過度な使用による不整脈のリスクなど、注意事項や副作用についても十分説明を受けてください。

【注意する人】
  • 結核をふくめ細菌や真菌による重い感染症にかかっている人は、慎重に使用する必要があります。
  • 心臓病のある人は、不整脈の発現に注意するなど慎重に用いるようにします。
  • 肝臓の働きが悪いと、この薬の血中濃度が増加し、全身性の副作用がでやすくなるおそれがあります。
  • 糖尿病のある人は血糖値の上昇に留意ください。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • エイズの薬のリトナビル(ノービア)との併用には注意が必要です。併用により、フルチカゾンの血中濃度が上昇し、強い副作用がでるおそれがあります。
  • アドレナリン(ボスミン)や、イソプレナリン(ストメリン、イソメニール、プロタノール)などカテコールアミン製剤との併用により動悸や不整脈の副作用がでやすくなります。短時間作用型のβ2刺激吸入薬は、発作時に頓用する場合以外、過度に併用しないようにしましょう。
  • 高血圧や不整脈の治療に用いるβ遮断薬は、この薬の作用を弱めます(基本的に喘息のある人にはβ遮断薬を用いません)。
  • 抗不整脈薬や三環系抗うつ薬などとの併用により、不整脈のリスクが増大するおそれがあります。

【使用にあたり】
  • 予防薬として毎日規則的に吸入する必要があります。1日1回、決められた時間帯に吸入してください。
  • 専用の吸入器エリプタにセットされているドライパウダーを吸入します。詳しい使用手順や吸入方法は説明書にならってください。
  • 吸入後、うがいをし口をすすぎましょう。嗄声や口内炎を予防するうえで大切です。うがいは、十分水を含み、上を向くガラガラうがいと、グチュグチュする含みうがいを10秒ほど2回以上おこなうと効果的。上向きうがいができなければ、含みうがいのあと、水を飲むだけでも違います。食前に吸入し直ちにうがい、食後に歯磨きをすればほぼ完璧です。外出先で うがいができなければ、テイッシュにつばを吐き出すだけでもよいでしょう。
  • 決められた時間帯に吸入できなかった場合は、できるだけ早くその日のうちに吸入してください。その日に吸入できなければ、その日の分は抜かしてください。1日1回までとし、2回分を一度に吸入してはいけません。
  • 起きている発作を止めるのには向きません。発作時に他の速効性の吸入薬を使うよう指示されている場合は、その吸入薬を直ちに吸入してください。決められた回数を吸入しても発作がおさまらない場合や、たびたび起こる場合はすみやかに受診してください。
  • 炎症がひき気道過敏性が改善されるまでに3〜6ヵ月かかります。よくなったからと自分だけの判断でやめてはいけません。急に中止をすると、反動で症状が悪化します。減量・中止をする場合は、医師の判断で徐々に減量するようにします。
  • 喘息では、症状をコントロールできる最少用量に調節します。漫然と長期大量使用を続けることは好ましくありません(全身性の副作用がでやすくなります)。症状が安定したなら、単剤の吸入ステロイド薬への切り替えが必要かもしれません。逆に効果不十分ならば増量を考慮します。そのときの症状に応じ、きめ細かな指導を受けるとよいでしょう。

【検査】

高用量製剤を長期大量使用している場合は、全身性の副作用を調べるため定期的に検査をおこないます。

【備考】
  • 喘息治療のかなめは、吸入ステロイド療法です。長時間作動型β2刺激薬(ビランテロール)の併用は必ずしも必要性が高いとはいえません。早期治療効果を実感しやすいというメリットがあるかもしれませんが、軽症例にむやみに用いるべきではありません。吸入ステロイド薬で効果不十分な場合に限るなど、限定的に用いるべきでしょう。
  • 一方、慢性閉塞性肺疾患では、気管支拡張薬(抗コリン薬、β2刺激薬等)による吸入療法が標準的です。気管支拡張薬だけでは症状が不安定で増悪をくり返す場合に、吸入ステロイド薬との併用療法が考慮されます。
効能

【効能A】

気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)

  • [注意1]本剤は、吸入ステロイド剤と他の薬剤との併用による治療が必要であり、併用薬として長時間作動型吸入β2刺激剤の投与が適切と判断された患者に対して使用すること。
  • [注意2]患者に対し、次の注意を与えること。本剤は発現した発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、急性の発作に対しては使用しないこと。急性の発作に対しては、短時間作動型吸入β2刺激剤(例えば吸入用サルブタモール硫酸塩)等の他の適切な薬剤を使用すること。

【効能B】

慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)(100エリプタのみ)

  • [注意]本剤は増悪時の急性期治療を目的として使用する薬剤ではない。
用法

【効能A】

通常、成人にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。なお、症状に応じてレルベア200エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして200μg)を1日1回吸入投与する。

【効能B】

通常、成人にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは嗄声です。声がかすれたり、のどがイガイガしたりします。また、多くはありませんが、口内炎(口腔カンジダ症)が現れることがあります。もし、口の中に白いものができたら、医師に伝えてください。これらの口腔内トラブルは、吸入後に十分うがいをすることで、たいてい予防できると思います。

β刺激薬のビランテロールの副作用としては、動悸や頻脈、頭痛、手の震えなどがあげられます。吸入量が多いと出やすい副作用です。そのような症状があらわれた場合は、早めに受診してください。また、他の喘息治療薬とともに過度に使用していると、血液中のカリウム分が減少し、重い不整脈を起こしやすくなります。決められた用量を守ることが大切です。

気道局所に作用するので、ステロイドの飲み薬にみられる全身性の副作用はまずありません。ただし、まったくないとも言えません。とくに長期大量使用時は、肺炎、骨粗鬆症、高齢者骨折、副腎皮質機能抑制、子供の成長遅延、白内障、緑内障などに念のため注意が必要です。これらの検査を定期的に受けていれば安心でしょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 肺炎..発熱、痰、咳、息切れ、息苦しさ。

【その他】
  • のどの刺激感、不快感、嗄声(声のかすれ、のどのイガイガ感)
  • 口腔・呼吸器カンジダ症(のどや口の刺激痛、口のなかに白いものができる)
  • インフルエンザ、上気道感染、気管支炎
  • 動悸(ドキドキ感)、頻脈、不整脈
  • 骨粗鬆症、骨折
  • 高血糖

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。