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成分(一般名) フルチカゾン プロピオン酸エステル/ホルモテロール フマル酸塩
製品例 フルティフォーム50エアゾール56吸入用~120吸入用、フルティフォーム125エアゾール56吸入用~120吸入用 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の呼吸器用薬/吸入ステロイド薬/喘息治療配合剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 気道を広げ、炎症をとる吸入薬です。喘息の治療に用います。
作用

【働き】

喘息は「気道の慢性炎症にもとづく病気」と考えられるようになりました。気管や気管支が炎症により過敏になり、少しの刺激でけいれん収縮し気道が狭くなります。そして、ゼーゼー・ヒューヒュー呼吸が苦しくなるのです。

この吸入薬には、2種類の有効成分が配合されています。一つは、フルチカゾンというステロイド薬です。ステロイドには強い抗炎症作用があり、気道の炎症をおさえることで喘息発作を起こりにくい状態にします。

もう一つの成分は、気管支拡張作用を持つβ2刺激薬のホルモテロール(アトック、オーキシス)です。こちらは気道を広げ、呼吸を楽にする役目をします。同系としては、心臓への影響が少なく、また効き目が早く、作用時間が長いのが特徴です。

これら2成分の相乗作用により 優れた呼吸機能改善効果をもたらします。処方対象は、吸入ステロイド薬だけでは効果不十分なやや重い喘息に対してです(軽症持続型以上)。予防薬になりますので、毎日定期吸入することになります。

【薬理】
  • ステロイドには組織の反応性を低下させる作用があります。気道における抗炎症作用は、炎症起因物質のサイトカイン、マスト細胞、好酸球などを減少させることによります。そのほか、血管透過性抑制作用や粘液分泌抑制作用もあります。とくにフルチカゾンは、他のステロイド剤よりも脂溶性が高く、組織への滞留が長いのが特徴です。作用も強力で、従来のベクロメタゾンの約半量で同等の効果を示します。
  • β2刺激薬は、気管平滑筋にある交感神経の「β2受容体」を刺激して気管支を広げます。このうち、ホルモテロールはβ2選択性が高い第3世代β2刺激薬になります。速効性と持効性を兼ね備え、また安全性が高いのが特徴です。

【臨床試験】

この薬と、既存のステロイド吸入薬のフルチカゾン単独療法との比較試験が行われています。フルチカゾンにβ2刺激薬のホルモテロールをくわえたこの薬の併用効果を確かめるのが目的です。参加したのは気管支喘息の患者さん455人。このうち228人はこの薬による併用療法を、別の227人はフルチカゾン単独療法を2カ月間おこないます。有効性を判定するおもな評価項目は、肺機能の指標となるピークフロー値(呼気最大流量 L/min)の変化量です。そのほか、副次的に喘息症状や無症状日数の割合なども比較します。

その結果、この薬を吸入していた人達の平均ピークフロー値は約30(350→380)増加しました。一方、フルチカゾンだけを吸入していた人達は約10(344→354)の増加にとどまりました。この薬で併用療法をおこなったほうが、ピークフロー値の上昇幅が大きく肺機能がより高まることが確かめられたわけです。また、副次項目の喘息症状の点数に関しては、この薬で0.42点改善し、フルチカゾン単独療法で0.25点改善しました。無症状日数の割合は、この薬で22%、フルチカゾン単独療法で12%でした。これらから、実際に喘息症状が軽減し日常生活にも良い影響をもたらすものと考えられます。
特徴
  • 強力なステロイド薬と、速効性・長時間作動型β2刺激薬を配合した吸入製剤です。これら2成分がいっしょに作用することで、気道の“炎症”と“狭窄”の両方を同時に改善します。
  • 作用時間が比較的長く、1日2回の吸入で済みます。それでいて、β2刺激薬による気管支拡張効果がすぐにあらわれ治療効果を実感しやすいです。
  • 小児適応が追加承認されました。臨床試験に基づく小児の用法・用量があります。
  • ステロイド薬のフルチカゾンの配合量が異なる2種類の製剤が販売されています。β2刺激薬のホルモテロールの配合量はどちらも同じです。エアゾール式(加圧噴霧式定量吸入器)なので、息の吸い込みが弱い人でも使用できます。
注意
【診察で】
  • 高血圧や心臓病など、持病のある人は医師に伝えておいてください。
  • 正しい使い方、吸入方法の説明を受けましょう。

【注意する人】
  • 細菌や真菌による重い感染症にかかっている人は、慎重に使用する必要があります。とくに結核においては、原則禁止です。
  • 交感神経刺激作用から、高血圧や心臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病などを悪化させるおそれがあります。これらの病気のある人は、病状の変化に注意してください。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 男性の夜間頻尿にデスモプレシン(ミニリンメルト)を使用している場合は併用できません。併用により低ナトリウム血症を起こすおそれがあるためです。
  • エイズの薬のリトナビル(ノービア)との併用には注意が必要です。併用により、フルチカゾンの血中濃度が上昇し、強い副作用がでるおそれがあります。
  • アドレナリン(ボスミン)や、イソプレナリン(ストメリン、イソメニール、プロタノール)などカテコールアミン製剤との併用により動悸や不整脈の副作用がでやすくなります。短時間作用型のβ2刺激吸入薬は、発作時に頓用する場合以外、過度に併用しないようにしましょう。
  • テオフィリン(テオドール)、ステロイド薬、利尿薬などとの併用により、血清カリウム値が低下するおそれがあります。定期的に検査をするなど、慎重に用います。
  • 高血圧や不整脈の治療に用いるβ遮断薬は、この薬の作用を弱めます(基本的に喘息のある人にはβ遮断薬を用いません)。

【使用にあたり】
  • 予防薬として毎日規則的に吸入する必要があります。説明書をよく読み、過不足なく決められた吸入回数を必ず守ってください。
  • ふつう、1日2回、12時間ほど間隔をあけて朝晩に吸入します。1日2回を超えてはいけません。1回の吸入回数は1吸入または2吸入です。しばらく使用しても よくならない場合は、医師に申し出てください。病状によっては高用量製剤を1回2〜4吸入まで増量可能です。
  • よく振ってから使用してください。噴霧と吸入のタイミングを合わせてゆっくり吸い込みましょう。 うまく吸入できない場合は、スペーサー(吸入用補助器)がおすすめです。スペーサーについては医師または薬剤師と相談してみてください。
  • 1缶の噴霧回数は56回です。初回、または3日以上使用しなかった場合は、4回空噴霧してから吸入してください。噴霧するとカウンターが動き、最初は緑色、次に黄色、赤色へと変わっていきます。赤色になったら、受診して新しい薬を処方してもらいましょう。カウンターが‘0’になったら、新しい薬に変えてください。
  • 吸入後、うがいをし口をすすぎましょう。嗄声や口内炎を予防するうえで大切です。うがいは、十分水を含み、上を向くガラガラうがいと、グチュグチュする含みうがいを10秒ほど2回以上おこなうと効果的。上向きうがいができなければ、含みうがいのあと、水を飲むだけでも違います。食前に吸入し直ちにうがい、食後に歯磨きをすればほぼ完璧です。外出先で うがいができなければ、テイッシュにつばを吐き出すだけでもよいでしょう。
  • 噴霧口のつまりを避けるため、少なくとも週1回以上アダプターの吸入口の外側と内側を乾いた布やティッシュペーパーでよく拭き、清潔に保管してください。保管温度は30℃以下です。
  • 起きている発作を止めるのには向きません。発作時に他の速効性の吸入薬を使うよう指示されている場合は、その吸入薬を直ちに吸入してください。決められた回数を吸入しても発作がおさまらない場合や、たびたび起こる場合はすみやかに受診してください。
  • 炎症がひき気道過敏性が改善されるまでに3〜6ヵ月かかります。よくなったからと自分だけの判断でやめてはいけません。急に中止をすると、反動で症状が悪化します。減量・中止をする場合は、医師の判断で徐々に減量するようにします。
  • 治療上の必要最少量を用いることになっています。漫然と長期大量使用を続けることは好ましくありません(全身性の副作用がでやすくなります)。症状が安定したなら、単剤の吸入ステロイド薬への切り替えが必要かもしれません。逆に効果不十分ならば増量を考慮します。そのときの症状に応じ、きめ細かな指導を受けるとよいでしょう。

【検査】

高用量製剤を長期大量使用している場合は、全身性の副作用を調べるため定期的に検査をおこないます。

【備考】

喘息治療のかなめは、吸入ステロイド療法です。長時間作動型β2刺激薬(ホルモテロール)の併用は必ずしも必要性が高いとはいえません。早期治療効果を実感しやすいというメリットがあるかもしれませんが、軽症例にむやみに用いるべきではありません。吸入ステロイド薬で効果不十分な場合に限るなど、限定的に用いるべきでしょう。
効能 気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
用法

【成人】

通常、成人には、フルティフォーム50エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2吸入、1日2回投与する。なお、症状に応じてフルティフォーム125エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして125μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2〜4吸入、1日2回投与する。

【小児】

通常、小児には、フルティフォーム50エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2吸入、1日2回投与する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは嗄声です。声がかすれたり、のどがイガイガしたりします。また、多くはありませんが、口内炎(口腔カンジダ症)が現れることがあります。もし、口の中に白いものができたら、医師に伝えてください。これらの口腔内トラブルは、吸入後に十分うがいをすることで、たいてい予防できると思います。

β刺激薬のホルモテロールの副作用としては、動悸や頻脈、頭痛、手の震えなどがあげられます。吸入量が多いと出やすい副作用です。そのような症状があらわれた場合は、早めに受診してください。また、他の喘息治療薬とともに過度に使用していると、血液中のカリウム分が減少し、重い不整脈を起こしやすくなります。決められた用量を守ることが大切です。

気道局所に作用するので、ステロイドの飲み薬にみられる全身性の副作用はまずありません。ただし、まったくないとも言えません。とくに長期大量使用時は、副腎皮質機能抑制、子供の成長遅延、骨粗鬆症、白内障、緑内障などに念のため注意が必要です。これらの検査を定期的に受けていれば安心でしょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 低カリウム血症..だるい、筋力低下(力が入らない)、便秘、動悸、脈の乱れ。
  • ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
  • 肺炎..発熱、咳、痰。

【その他】
  • のどの刺激感、不快感、嗄声(声のかすれ、のどのイガイガ感)
  • 口腔・呼吸器カンジダ症(のどや口の刺激痛、口のなかに白いものができる)
  • 動悸(ドキドキ感)、頻脈、不整脈、血圧上昇
  • 指や手のふるえ、頭痛、吐き気
  • 喘息の悪化

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。