概説 |
気道の炎症をおさえる吸入薬です。喘息の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 喘息は「気道の慢性炎症にもとづく病気」と考えられるようになりました。気管や気管支が炎症により過敏になり、少しの刺激でけいれん収縮し気道が狭くなります。そして、ゼーゼー・ヒューヒュー呼吸が苦しくなるのです。
この吸入薬の主成分は、ステロイドの一種です。ステロイドには強い抗炎症作用があります。気道の炎症がおさまると、過敏性が低下し発作が起こりにくくなります。ふだんからステロイド吸入薬により気道の炎症をしずめておくことが、発作を予防する意味で非常に重要なわけです。

- 【薬理】

- ステロイドには組織の反応性を低下させる作用があります。気道における抗炎症作用は、炎症起因物質のサイトカイン、マスト細胞、好酸球などを減少させることによります。そのほか、血管透過性抑制作用や粘液分泌抑制作用もあります。
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特徴 |
- ステロイド(副腎皮質ホルモン)の一種 シクレソニドを主成分とするエアゾール式吸入薬です。ステロイド吸入療法は、喘息の治療に第一選択されます。
- エアゾールの微粒子化により、薬剤の肺内到達率が52%と高いです。また、有効成分が肺内で長時間滞留する性質があります。これらの特性により、1日1回の吸入で十分な効果が得られます(ただし、1日800μg の場合は1日2回吸入)。
- 薬剤が肺で活性化される局所活性化型のプロドラッグです(主成分のシクレソニドは、肺のエステラーゼにより加水分解され、肺内で活性代謝物に変換されます)。さらに薬剤の口腔内付着率が低いことからも、嗄声や口内炎など口腔咽頭部トラブルの軽減が期待されます。
- タンパクへの結合親和性が高く、肝臓での代謝も速いことから、全身性の副作用がでにくいとされます。
- 小児に対する有効性と安全性が確認されています。用法・用量についても、成人とは別にきちんと設定されています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 正しい使い方と吸入方法の説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 細菌や真菌による重い感染症にかかっている人は、慎重に使用する必要があります。とくに結核においては、原則禁止です。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)や、エイズの薬のリトナビル(ノービア)との併用により、この薬の血中濃度が上昇する可能性があります。
 【使用にあたり】
- 予防薬として毎日規則的に吸入する必要があります。説明書をよく読み、指示通りに正しく吸入してください。
- ふつう、1日1回夜に吸入します。ただし、1日800μg吸入の場合は、1日2回朝と夜に分けて吸入します。
- 吸入後、うがいをし口をすすぎましょう。嗄声や口内炎を予防するうえで大切なことです。うがいは、十分水を含み、上を向いてのガラガラうがいと、グチュグチュする含みうがいを10秒ほど2回以上おこなうと効果的です。上向きうがいができなければ、グチュグチュゆすいだあと、水を飲むだけでも違います。食前に吸入しすぐにうがいをし、そのあとに食事をし歯磨きをすればほぼ完璧です。外出先で どうしてもうがいができない場合は、テイッシュにつばを吐き出すだけでもよいでしょう。
- 起きている発作を止める効果はほとんどありません。発作時には、気管支拡張作用をもつ速効性の吸入薬を使用してください。
- 発作がおさまらない場合や、たびたび起こる場合はすみやかに受診しましょう。
- 炎症がひき気道過敏性が改善されるまでに3〜6ヵ月かかります。よくなったからと自分だけの判断でやめてはいけません。急に中止をすると、反動で症状が悪化します。減量・中止をする場合は、医師の判断で徐々に減量するようにします。
- しばらく続けても効果不十分ならば段階的に増量します。逆に、炎症がひき症状が安定したなら、治療上の必要最少量となるよう減量を考慮することもあります。漫然と長期大量使用を続けることは好ましくありません(全身性の副作用がでやすくなります)。そのときどきの症状により、きめ細かな指導を受けるようにしてください。

- 【検査】

- 長期間に大量を使用している場合は、定期的に検査をおこなう必要があります。
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効能 |
気管支喘息 |
用法 |

- 【成人】

- 通常、成人にはシクレソニドとして100〜400μgを1日1回吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は800μgとする。また、1日に800μgを投与する場合は、朝、夜の1日2回に分けて投与する。

- 【小児】

- 通常、小児にはシクレソニドとして100〜200μgを1日1回吸入投与する。なお、良好に症状がコントロールされている場合は50μg1日1回まで減量できる。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは嗄声です。声がかすれたり、のどがイガイガしたりします。また、多くはありませんが、口内炎(口腔カンジダ症)が現れることがあります。もし、口の中に白いものができたら、医師に伝えてください。これらの口腔内トラブルは、吸入後に十分うがいをすることで、たいてい予防できると思います。
局所に作用しますので、ステロイドの飲み薬にみられる全身性の副作用はまずありません。ただし、まったくないとも言えません。とくに長期大量使用時は、副腎皮質機能抑制、子供の成長遅延、骨粗鬆症、白内障、緑内障などに念のため注意が必要です。これらの検査を定期的に受けていれば安心でしょう。
- のどの刺激感、不快感、嗄声(声のかすれ、のどのイガイガ感)
- 口腔・呼吸器カンジダ症(のどや口の刺激痛、口のなかに白いものができる)
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