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成分(一般名) ウメクリジニウム臭化物/ビランテロール トリフェニル酢酸塩
製品例 アノーロエリプタ7吸入用~30吸入用 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 気管支拡張剤・他/その他の配合剤/COPD治療配合剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 気管支を広げる吸入薬です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用います。
作用

【働き】

慢性閉塞性肺疾患いわゆるCOPDは、気管支や肺胞に病変を生じ、気道の流れが悪くなる病気です。これには慢性気管支炎と肺気腫がふくまれ、これらによる呼吸障害の総称ともいえます。臨床的には、咳や痰が多くなり、少し動くだけで息切れするなど体動時の呼吸困難が特徴的です。

この吸入薬には、2種類の気管支拡張薬が配合されています。一つは、長時間作用性の抗コリン薬のウメクリジニウム(エンクラッセ)。同系として作用時間が長いのが特徴で長時間にわたり安定した効果が得られます。もう一つの成分は、β2刺激薬のビランテロールです。こちらも作用時間が長い長時間作用型です。

作用が異なるこれら2成分の相加作用により気管支拡張作用が増強し、優れた呼吸機能改善効果を発揮します。処方対象は、単剤で治療効果が不十分な場合または症状がより重症な慢性閉塞性肺疾患に対してです。長期管理薬として定期吸入することで、呼吸が楽になり息切れ症状がやわらぎます。

【薬理】
  • 抗コリン薬のウメクリジニウムは、副交感神経を亢進させるアセチルコリンという神経伝達物質の受容体(M3)に作用し、その結合をじゃまします。気管支の収縮は副交感神経の亢進により強まりますので、この薬で副交感神経をおさえれば気道の収縮を抑制することができるのです。このような作用から、抗コリン薬(抗アセチルコリン薬)、または拮抗する受容体の名前にちなみムスカリン受容体拮抗薬と呼ばれています。
  • β2刺激薬は、気管平滑筋にある交感神経の「β2受容体」を刺激して気管支を広げます。このとき拡張するのは気管支の細い部分です。ビランテロールはβ2選択性が高く、心臓など循環器系への悪影響が少ないほうです。
  • 抗コリン薬とβ2刺激薬の併用については、β2刺激薬が気道のβ2受容体を刺激することにより、近辺の副交感神経の伝達調節を介したアセチルコリンの遊離を低下させ、これが抗コリン薬による気管支拡張作用を増強させるものと考えられます。併用により気道平滑筋を直接的・間接的に弛緩させ、相加的な併用効果が期待できるのです。また、抗コリン薬が太い気管支によく作用するのに対し、β2刺激薬は細い気管支に作用して拡張させます。この点からも両者の併用は合理的といえます。

【臨床試験】

抗コリン薬のウメクリジニウムとβ2刺激薬のビランテロールの配合薬としての有効性を確かめる国際共同臨床試験がおこなわれています。参加したのは日本人68人をふくむCOPDの患者さん1532人。クジ引きで4つのグループに分かれ、413人は配合薬であるこの薬を、別の418人は抗コリン薬のウメクリジニウムだけを、421人はβ2刺激薬のビランテロールを、残りの280人はプラセボ(にせ薬)を吸入し効き目を比較します。効果の判定は半年後の肺活量(FEV1:1秒間努力呼気量)(L)の変化量でおこないます。肺活量は、COPDの重症度を客観的にとらえる重要な指標です。

その結果、この薬(ウメクリジニウム+ビランテロール)を吸入していた人達の肺活量の変化量は平均0.16(1.28→1.46)、ウメクリジニウムで0.12(1.20→1.36)、ビランテロールの人達で0.08(1.25→1.36)、プラセボの人達で0.004(1.20→1.23)でした。 各単剤およびプラセボに比べ、この薬を使用していた人達の肺活量がもっとも増大し、配合薬としての有効性が確認できたわけです。また、別の日本人130人による1年間におよぶ長期試験でも、治療期間を通し肺活量の改善が維持されることが確かめられています。
特徴
  • 長時間作用性の抗コリン薬(LAMA)とβ2刺激薬(LABA)を配合した吸入薬です(デュアル ブロンコダイレーター)。作用機序が異なる2種類の気管支拡張作用により、慢性閉塞性肺疾患に対する治療効果を高めることができます。なお、抗コリン薬のウメクリジニウムは、エンクラッセ エリプタ吸入用として単剤でも販売されています。
  • ドライパウダー吸入式です。ワンタッチ操作のエリプタ吸入器を使って吸入します。2成分の併用療法が1日1回吸入で済むので、服薬管理も楽です。
注意
【診察で】
  • 緑内障や前立腺肥大症など、持病のある人は医師に伝えてください。
  • 使用中の薬を医師に教えてください。
  • 正しい使い方と吸入方法の説明を受けておきましょう。

【注意する人】

緑内障のある人や前立腺肥大症で尿の出の悪い人は、病状により使用できないことがあります。また、交感神経刺激作用により、高血圧や心臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが悪化するおそれがあります。これらの病気のある人は、病状に注意するなど慎重に用いる必要があります。

  • 適さないケース..閉塞隅角緑内障、前立腺肥大などで排尿障害がある人。
  • 注意が必要なケース..高血圧、心臓病(狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全)、糖尿病、前立腺肥大、甲状腺機能亢進症のある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • ある種の薬剤と併用すると、この薬の血中濃度が上昇し、副作用が強まる可能性があります。たとえば、抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ)などに注意が必要です。
  • β遮断薬はこの薬の作用を弱めます。β遮断薬は高血圧や不整脈に用いるほか、点眼薬として緑内障の治療にも使いますから注意してください。ほかにも相互作用を起こしやすい薬がいくつかあります。使用中の薬を必ず医師に報告しておきましょう。

【使用にあたり】
  • 症状の安定のために毎日定期吸入するものです。1日1回決められれた時間帯に吸入してください。
  • 専用の吸入器エリプタを使用してドライパウダー(粉薬)を吸入します。7回分が充填されており、カバーを開けるごとに1回分の薬剤がセットされます。詳しい使用手順や吸入方法は説明書にならってください。
  • 息をはき出してから、マウスピース(吸入口)をくわえ、強く深く「スーッ」と息を吸い込んでください。マウスピースから唇を離し、そのまま3〜4秒ほど息を止め、その後ゆっくりと静かに息をはき、元の呼吸に戻してください。
  • 吸入後、うがいをし口をすすぎましょう。のどや口に残っている不用な薬剤を洗い流すためです。
  • 吸入を忘れた場合は、気がついた時点で1回分を吸入してください。当日吸入できなければ、その日の分は抜かして、翌日から通常通りに吸入してください。1日1回までとし、2回分を一度に吸入してはいけません。

【検査】

とくに高血圧や心臓病のある人は、定期的に血圧測定や心電図検査をおこない、副作用がでていないかチェックします。また、必要であれば血液検査をおこない、カリウム値などに異常がないか調べます。

【食生活】

慢性閉塞性肺疾患の一番の原因はタバコ。タバコの煙が肺や気管支を傷つけ機能を悪くするのです。禁煙は治療の大前提です。

【備考】

慢性閉塞性肺疾患‘COPD’の治療の主役は気管支拡張薬。長時間作用性の抗コリン薬もしくはβ2刺激薬が第一選択され、効果不十分な場合には両者による吸入療法がおこなわれます。それでも増悪をくり返す場合は、吸入ステロイド薬を追加することもあります。いずれも対症療法薬で病気そのものは治せませんが、症状悪化による悪循環を断つことにより進行がおさえられ、予後が改善される可能性があります。
効能 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
用法 通常、成人にはアノーロエリプタ1吸入(ウメクリジニウムとして62.5μg及びビランテロールとして25μg)を1日1回吸入投与する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 口内の乾燥がときどきみられる副作用です。また、吸入時にむせたり、咳き込んだりすることがあるかもしれませんす。これらは たいてい心配ないと思いますが、ひどいようでしたら 早めに受診してください。吸入後のうがいも忘れないようにしましょう。

正しく使用するかぎり全身性の副作用はまずありません。ただし、体内に多少は吸収されますので、過剰吸入により頭痛や動悸、手のふるえ、排尿困難、さらには低カリウム血症や重い不整脈を引き起こすおそれがあります。決められた用量(1日1回吸入)を守ることが大事です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い不整脈..動悸、脈が1分間120以上または50以下、脈が弱い、胸苦しい、だるい、めまい、失神。

【その他】
  • むせる、咳
  • 口内乾燥、味覚異常
  • 動悸(ドキドキ感)、頻脈、不整脈、高血圧
  • 頭痛、指や手のふるえ、排尿困難

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。