概説 |
咳を止めるお薬です。咳のほか、下痢や痛みにも用います。 |
作用 | 咳中枢の興奮をしずめて咳を止めます。咳中枢とは脳幹の延髄にある咳のコントロール部で、のどや気管支の刺激を受けて咳を起こさせます。このお薬は、その部分を抑えこむことで鎮咳作用を発揮します。どちらかというと、痰の少ない空咳向きです。痰が多いときは、別の去痰薬と併用することがあります。
そのほか、腸の運動をおさえ下痢を止める作用があります。さらに、鎮痛・鎮静作用も持ち合わせており、WHO方式の3段階疼痛治療法で第2段階に位置づけられます。一般的な鎮痛薬とは作用機序が異なり、それらで果不十分な場合に、第2段階として処方されるわけです。 |
特徴 |
- 咳中枢に作用する「中枢性鎮咳薬」です。専門的には麻薬系弱オピオイドに分類されます。麻薬系といっても医療用なので心配いりません。一般的な咳止め薬が効かない頑固な咳にもよく効きます。市販の咳止め薬にも、この成分が配合されています。
- 鎮痛薬としては麻薬系弱オピオイドに分類されます。麻薬系といっても医療用なので心配いりません。国内では咳止めとして処方されることが多いですが、海外では中等度のがん痛にも用いられます。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 別に薬を飲んでいる場合は、その薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 呼吸が著しく弱っている人には用いません。12歳未満の子供も呼吸抑制を起こしやすいので禁止です。心臓病、肝臓病、てんかん、喘息や閉塞性肺疾患(COPD)のある人など 病状によっては使用できません。細菌性下痢症には原則用いません。
- 適さないケース..重い呼吸抑制のある人、喘息発作中、出血性大腸炎など細菌性下痢症、重い肝臓病、慢性肺疾患に続発する心不全、けいれん状態、急性アルコール中毒、12歳未満の小児、18歳未満で扁桃摘除術後またはアデノイド切除術後の鎮痛目的での使用、18歳未満で肥満または閉塞性睡眠時無呼吸症候群あるいは重篤な肺疾患のある人。
- 注意が必要なケース..心臓病、腎臓病や肝臓病のある人、喘息や閉塞性肺疾患などで呼吸が弱っている人、脳腫瘍など脳に器質的な病気がある人、てんかん、代謝性アシドーシス、粘液水腫など甲状腺機能低下症、アジソン病など副腎皮質機能低下症、胆石をふくめ胆のうに病気がある人、前立腺肥大症などで尿の出の悪い人、腸に閉塞や通過障害のある人、潰瘍性大腸炎やクローン病のある人、薬物依存の既往のある人、衰弱している人、高齢の人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 安定剤など脳の神経をしずめる薬と併用すると、いろいろな副作用がでやすくなります。眠気やふらつき、過度の鎮静、呼吸抑制、低血圧などに注意が必要です。
- 一部の安定剤や抗うつ薬(三環系)、胃腸薬(鎮痙薬)との併用により、便秘や排尿困難などの副作用がでやすくなります。
- 抗凝血薬のワルファリンの作用を増強することがあります。
- 飲酒は控えてください。めまいや眠気、呼吸抑制などの副作用がでやすくなります。
 【使用にあたり】
- 症状や年齢により、用法用量が異なります。指示通りにご使用ください。
- 余った薬を分け与えてはいけません。とくに子供には飲ませないでください。
 【妊娠・授乳】
- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。とくに、悪い影響が出やすい妊娠初期や出産直前の大量服用は避けたほうが無難です。咳がひどいなど病状が重いときに限り、短期間だけ使用するとよいでしょう。
- 服用中は授乳を避けなければなりません。母乳を通して赤ちゃんに薬が入り、中毒症状を起こすおそれがあるためです。

- 【食生活】

- 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ、危険をともなう機械の操作や作業は避けてください。

- 【備考】

- 咳は、気道の異物(痰やほこりなど)を排出させようとする自然な防御システムです。ですから、単に止めればよいというものではありません。とくに、痰をともなう咳を無理に止めることは、必ずしも好ましくありません。痰がたまり、かえって症状を悪化させるおそれがあるのです。
一方で、しつこい咳は安眠を妨げ、体力を消耗させます。ときには、激しい咳き込みで肋骨が折れてしまうことさえあります。このような場合、悪い影響のほうが大きいですから、咳止め薬を用いることになります。いずれにしても、咳の原因に目を向けることが大切です。
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効能 |
- 各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静
- 疼痛時における鎮痛
- 激しい下痢症状の改善
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用法 |
通常、成人は、1回1g、1日3g(ジヒドロコデインリン酸塩として1回10mg、1日30mg)を経口服用する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは、眠気、めまい、吐き気や嘔吐などです。人によっては、便秘がちになるかもしれません。ひどいようでしたら早めに受診し相談してください。
呼吸に影響することはまずありませんが、もともと呼吸機能に障害のある人は呼吸抑制に念のため注意が必要です。なお、体質にもよりますが、子供は呼吸抑制の感受性が高いため、12未満への使用は避けなければなりません。
安易に長期に飲み続けると、体が薬に頼りがちになってきます。このとき急に中止すると、吐き気や頭痛、不安感、震えなど反発的な症状がでることがあります。このような場合は、医師の指示のもと徐々に減量するようにします。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 呼吸抑制..息切れ、呼吸しにくい、息苦しい、呼吸が浅く速い、呼吸が弱く少ない(10回/分未満)、不規則な呼吸、異常ないびき、意識がうすれる。
- 依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。
- 錯乱..混乱・もうろう状態、取り乱す、意味不明な言動
- 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
 【その他】
- 眠気、めまい
- 吐き気、吐く、食欲不振、便秘、尿が出にくい
- 脈の乱れ、血圧変動
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