概説 |
血液中のコレステロールを減らすお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 高コレステロール血症は、血液中のコレステロールが多すぎる状態です。自覚症状がなくても、長い間に動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞の原因にもなりかねません。このお薬で血液中のコレステロールを低下させていれば、将来起こるかもしれない心筋梗塞の危険性を少なくすることができます。
 【薬理】
- 腸管内で胆汁酸と結合し、胆汁性コレステロールの再吸収を抑えます。また、胆汁の排泄が促進されるので、胆汁の原料となるコレステロールが消費され減少します。
- 血中脂質動態を改善することで、動脈硬化を抑制します。
 【臨床試験】
- 同系のコレスチラミンによる長期臨床試験が行われています。コレステロール値が平均310の男性を対象にした比較試験です。そのようなかなり重い高脂血症の人では、服薬により心筋梗塞の発症率が下がることが確認されました。ただ、総死亡率は変わりませんでした。
- 心筋梗塞の少ない日本人の長期予後における有用性についてはまだ十分検証されていません。
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特徴 |
- 胆汁酸排泄促進作用をもつ高コレステロール血症治療薬です。重い家族性高コレステロール血症などに、他のスタチン系薬と併用して用いることが多いです。コレステロール値を下げますが、中性脂肪(トリグリセリド)は下げません。
- 本来の適応症は高コレステロール血症ですが、胆汁がかかわる下痢型の過敏性腸症候群に応用されることがあります。胆汁を吸着し大腸への流出を減らすことにより下痢症状を改善します。この場合、比較的少量を用います。
- 錠剤と顆粒状製剤があります。粉末薬に比べ飲みやすくなりましたが、脂溶性ビタミンや併用薬の吸収を阻害する性質はいっしょです。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、必ず医師に伝えてください。

- 【注意する人】

- この薬には便秘を起こしやすい性質があります。胃腸に病気のある人や便秘がちの人は医師に相談しておきましょう。高齢の人や飲み込みの弱っている人は、薬がのどに引っかからないように注意してください。
- 適さないケース..胆道閉塞、腸閉塞のある人。
- 注意が必要なケース..便秘、痔、腸管狭窄、腸管憩室、消化管潰瘍、出血傾向、肝臓病、飲み込みの弱っている人、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 他の薬と結合して、その薬の吸収を阻害する性質があります。抗凝血薬のワルファリン(ワーファリン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)、甲状腺の薬のレボチロキシン(チラーヂン)、心臓の薬のジギタリス(ジゴシン、ジギトキシン)、高血圧の薬のカンデサルタン(ブロプレス)、ステロイド薬など重要な薬剤との同時服用は避けなければなりません。これらと併用する場合は、服用間隔をできるだけあけてください(4〜6時間以上)。
 【使用にあたり】
- ふつう、朝夕食前に服用します。長期に飲み続けることが多いです。
- のどに残らないよう、コップ1杯以上の水で確実に飲み込んでください。もし、のどの奥に残っている感じがするなら、さらに水を飲み足しましょう。錠剤はいっぺんに口に含まないで、1錠ずつ服用してください。
- お湯やお茶で飲むと、薬が膨らんで飲みにくくなります。冷たい水で飲むようにしましょう。口の中に含んでいると、膨張して飲みにくくなりますから、すぐに飲み込むんでください。
- 脂溶性ビタミン(V.A、D、E、K)や葉酸の吸収が悪くなるので、ビタミン剤で補給することがあります。

- 【食生活】

- 食事療法や運動療法、適切な体重の維持、禁煙なども大切です。これらをきちんとおこなえば、薬を飲まなくて済むことが多いものです。薬を飲みはじめても、不摂生をしては意味がありません。
 【備考】
- コレステロールは、臨床的意義により大きく2つのタイプに分類されます。一つは悪玉とされるLDLコレステロール、もう一つは善玉のHDLコレステロールです。LDLは肝臓からコレステロールを全身の組織に運ぶ役目をしているのですが、多すぎると血管内壁に入り込み動脈硬化をすすめます。一方、善玉とされるHDLは、全身の組織から余分なコレステロールを回収し肝臓に戻します。このHDLコレステロールが少なすぎるのも良くないので、脂質異常症(高脂血症)のひとつの判定基準になります。
- 中性脂肪(トリグリセリド)も脂質異常症の主要な判定基準です。中性脂肪はエネルギー源として体に蓄えられるのですが、必要以上に多いと動脈硬化をすすめる危険因子となってしまいます。
- 薬を飲む必要があるかは、単にコレステロールや中性脂肪の値だけでは判断できません。喫煙、肥満、年齢、高血圧、糖尿などがあり、心筋梗塞を起こす危険性の高い人は、より低い値でも服薬をすすめられるものです。逆に、コレステロール値が多少高いだけで、その他のリスク要因が少ないのであれば、必ずしも薬物治療を必要としません。とくに、もともと心筋梗塞の少ない日本人女性での有用性については議論のあるところです。
- コレステロールは体に必要なものです。免疫細胞やホルモンを作るのにも欠かせません。やみくもにコレステロール値を下げればよいというものではありません。
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効能 |

- 【適用】

- 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症

- 【応用】

- 胆汁性下痢型過敏性腸症候群
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用法 |
通常、成人はコレスチミドとして1回1.5g(錠は3錠、ミニは1.81g)を1日2回、朝夕食前に水とともに経口服用する。ただし、症状、服用状況を考慮して朝夕食後服用とすることもできる。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高用量は1日4gとする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用で多いのは便秘です。10人に1人くらいの割合です。毎日の排便を心がけましょう。そのほか、膨満感、食欲不振、吐き気、軟便などもみられます。ひどい腹痛や便秘が続くときは、受診するようにしましょう。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 腸管穿孔・腸閉塞..激しい腹痛、持続する腹痛、吐く、ひどい便秘、お腹がふくれる。
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
 【その他】
- 便秘、膨満感、食欲不振、吐き気、下痢、軟便、腹痛
- 関節痛、筋肉痛
- 肝臓の異常、口内炎、発疹
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