概説 |
子宮の運動をゆるめるお薬です。流産や早産を防いだり、生理痛の治療に用います。そのほか、血管を広げ血行をよくする働きもあります。 |
作用 | 
- 【働き-1】

- 子宮の筋肉に働きかけ、その収縮をおさえます。おなかの張りや腹痛、出血など流・早産の心配のあるときに用います。ひどい生理痛にも用います。

- 【働き-2】

- 末梢の血管を広げて血流をよくします。そうすることで、血行障害による手足の冷えやしびれ感を改善します。レイノー病、閉塞性動脈硬化症(ASO)、血栓性血管炎(TAO)、凍傷、糖尿病などに用います。ただし、対症療法薬ですので病気そのものを治すことはできません。

- 【薬理】

- 子宮や血管を収縮させるのは平滑筋という筋肉です。この筋肉にある交感神経のβ受容体を刺激することで、筋肉の収縮をおさえます。
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特徴 |
- 薬理的にはβ受容体刺激薬に分類されます。
- 切迫流・早産治療薬として用いることがよくあります。飲み薬は比較的軽い症状に適します。緊急性のあるときは、入院して注射薬で治療します。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、医師に伝えてください。

- 【注意する人】

- 不整脈など心臓の悪い人は慎重に用います。服用により症状を悪化させるおそれがあります。
- 注意が必要なケース..心臓病、低血圧、脳出血、分娩直後の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせに注意する薬があります。飲み合わせによっては、副作用がでやすくなります。服用中の薬は市販薬も含め、医師に報告しておきましょう。
- 喘息の薬(β刺激薬など)と併用すると、動悸や頭痛など副作用がでやすくなります。
- 高血圧などに用いるβ遮断薬は、この薬の作用を弱めるかもしれません。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方、服用量を守ってください。
- 生理痛で用いる場合、予定日の2〜3日前から服用するとよいでしょう(指示どおりに)。

- 【妊娠・授乳】

- 安全性が確立されていないという理由から、妊娠12週未満においては投与しないことになっています。ただ、とくに危険性が高いわけではないので、その時期にこだわらずに処方されるケースがみられます。流産や早産の心配があるときは、安静療法をおこなうことが大切です。
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効能 |

- 【効能A】

- 子宮収縮の抑制(切迫流・早産)。

- 【効能B】

- 月経困難症。
 【効能C】
- 次記に伴う随伴症状//頭部外傷後遺症。
- 次記に伴う末梢循環障害//ビュルガー病、閉塞性動脈硬化症、血栓性静脈炎、静脈血栓症、レイノー病およびレイノー症候群、凍瘡・凍傷、特発性脱疽、糖尿病による末梢血管障害。
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用法 |

- 【効能A】

- 子宮収縮の抑制には、イソクスプリン塩酸塩として通常1日量30〜60mg(3〜6錠)を3〜4回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

- 【効能B】

- 月経困難症には、イソクスプリン塩酸塩として通常1回10〜20mg(1〜2錠)を1日3〜4回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

- 【効能C】

- 循環器領域の適応には、イソクスプリン塩酸塩として通常成人1回10〜20mg(1〜2錠)を1日3〜4回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうですが、薬の量が多いと動悸(ドキドキ感)がでやすくなります。ひどいときは、早めに受診してください。
- 動悸、顔が赤くなる、ほてり、発汗
- 頭痛、頭重感、めまい、指のふるえ
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