概説 |
尿の量を増やし、血圧を下げるお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 体の余分な水分を塩分とともに尿に排出します。その結果、むくみがとれて血圧も下がります。同時に心臓の負担も軽くなります。
おもに、高血圧症の治療に使用されています。血圧を適切に保つことは、将来起こるかもしれない脳卒中や心臓病、腎臓病を防ぐことにつながります。

- 【薬理】

- 尿細管での塩分と水分の再吸収を抑え、尿の量を増やします。
|
特徴 |
- チアジド系に近い利尿薬で、作用的にもほぼ同じです。チアジド系利尿薬は、日本では処方される機会が少ないのですが、海外のいくつもの臨床試験で、寿命を延ばすことが証明されています。少量であれば副作用もほとんどなく、併用薬としても優れています。また、古くからある薬で、値段(薬価)が安いというメリットがあります。
- チアジド系に比べ、カリウム排泄作用は比較的弱く、利尿作用は緩和で持続的です。低カリウム血症の副作用低減が期待されます。
|
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、医師に伝えてください。

- 【注意する人】

- 尿がまったく出ないときや急性腎障害には用いません。重い腎臓病や肝臓病のある場合も向きません。また、糖尿病や痛風を悪化させるおそれがあります。高齢の人も副作用がでやすいので、少量より開始するなど慎重に用います。
- 適さないケース..無尿、急性腎障害。
- 注意が必要なケース..糖尿病、痛風、腎臓病、肝臓病、高カルシウム血症、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。飲み合わせによっては、副作用がでやすくなります。服用中の薬は、市販薬もふくめ医師に報告しておきましょう。
- 男性の夜間頻尿にデスモプレシン(ミニリンメルト)を使用している場合は併用できません。併用により低ナトリウム血症を起こすおそれがあるためです。
- 他の降圧薬と併用するときは、血圧の下がりすぎに注意します。とくにACE阻害薬という系統と併用するときは、ごく少量を用いるようにします。
- β遮断薬との併用は、血糖値が高くなりやすいです。
- 糖尿病の薬の作用を弱めるおそれがあります。
- 気分安定薬のリチウム(リーマス)と併用するときは、リチウム中毒による副作用に注意が必要です。
- 心臓の薬のジギタリス薬と併用するときは、ジギタリス中毒の副作用に十分注意します。
- カルシウム剤やビタミンD製剤など骨の薬と併用するときは、血液中のカルシウム値の増えすぎに注意します。
- ステロイド薬やグリチルリチン製剤、一部の漢方薬と飲み続けるときは、低カリウム血症に注意します。
- 鎮痛薬との併用により、この薬の降圧作用が弱まる可能性があります。
- 飲酒は控えてください。めまいや立ちくらみがでやすくなります。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方、服用量を守ってください。
- ふつう、朝1回、または朝とお昼の2回に服用します。尿量が増えるので、夜の服用は避けるのが一般的です。
- 少量(半錠〜1錠)を用いて、ゆっくり血圧を下げていきます。他の降圧薬と併用することも多いです。

- 【検査】

- 血液検査を定期的に受ける必要があります。カリウム、カルシウム、血糖、尿酸値などに異常がないか調べます。
 【食生活】
- 血圧が下がり、めまいを起こすことがあります。車の運転や高所での危険な作業には十分注意してください。
- くだものや野菜類をたくさんとるとよいでしょう。不足しがちなカリウム分が補えます。
- 本態性高血圧症では、生活習慣の見直しも大切。減塩などの食事療法、運動療法、肥満があれば体重を落とすだけでも血圧が下がるものです。軽い高血圧であれば、薬をやめられることもあります。できたら簡易血圧計で自宅で血圧測定をおこない、適切に血圧がコントロールされているかチェックすることをおすすめします。
|
効能 |
本態性高血圧症。 |
用法 |
トリパミドとして、通常成人、1回15mg(1錠)を1日1〜2回(朝食後又は朝・昼食後)経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
|
副作用 |
少量であれば、副作用はほとんどでません。飲み始めの体のだるさは、徐々に慣れてくるものです。
服用量が多いと、脱水を起こしたり血圧が下がりすぎて、強いめまいや立ちくらみを起こすことがあります。とくに高齢の人、また他の薬と併用するときに注意してください。
長期に多めの量を飲み続けると、血液中のナトリウムやカリウム分が減ってしまったり、逆に、カルシウム、血糖、尿酸値などが増えてくることがあります。定期的に血液の検査を受けることが大切です。
もし、日光にあたった部分に発疹ができたら、早めに医師に申し出てください。まれに光線過敏症を起こすことがあります。重い副作用はまずありません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 低ナトリウム血症..だるい、吐き気、嘔吐、意識もうろう、意味不明な言動、けいれん。
- 低カリウム血症..だるい、筋力低下(力が入らない)、便秘、動悸、脈の乱れ。
 【その他】
- だるい、めまい、ふらつき、立ちくらみ
- 血糖値の上昇、糖尿病の悪化
- 尿酸値の上昇、痛風の悪化(発作誘発)
- 発疹、光線過敏症
|