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成分(一般名) プロプラノロール塩酸塩
製品例 インデラル錠10mg~20mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 不整脈用剤/β遮断剤/高血圧・狭心症・不整脈 治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血圧を下げるお薬です。また、狭心症や不整脈、片頭痛の治療にも用います。
作用心拍をおさえ心臓を休ませる作用があります。作用メカニズムは、心臓にある交感神経のβ受容体を遮断することです。これにより心臓の拍動がおさえられ、血圧が下がります。高血圧症のほか、狭心症や不整脈(頻脈)の治療に広く用いられています。

循環器系のほかにも、片頭痛に対する効能があります。この薬を予防的に飲むことで、片頭痛が起こりにくくなるのです。実際に、多くの臨床試験がおこなわれており、片頭痛発作を44%減少させることが示されています。処方の対象となるのは、発作頻度が多く日常生活に支障となるような場合です。
特徴β遮断薬(ベータブロッカー)という系統です。同系の代表的薬剤で、開発が1960年代とたいへん古く世界的に使用実績が豊富です。日本では処方される機会がやや少ないのですが、海外のいくつもの臨床試験で、脳卒中や心筋梗塞を防いだり、寿命を延ばすことが証明されています。β遮断薬のなかでは以下のような特徴をもちます。
  • β1非選択:心臓だけでなく、気管支などにも影響しやすいです。
  • ISA-:内因性の交感神経刺激作用がありません。
  • 脂溶性:よく吸収され、肝臓で速やかに代謝されます。脳内に入りやすい性質があります。
  • 同系としては唯一、不整脈に対する小児の用法・用量の承認を取得しています(2012年)。
  • 片頭痛にも有用で、欧米ではその予防薬として推奨されています。もともと、日本では適応外でしたが、2013年に公知申請という特例扱いで「片頭痛発作の発症抑制」の新効能が追加されました。
  • 保険適応外になりますが、振戦(手足のふるえ)やアカシジア(じっとできない、そわそわ感)の治療にも応用されます。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は、医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬は、医師に伝えてください。

【注意する人】

病気によっては、かえって病状を悪化させるおそれがあります。心不全や喘息、レイノー症状のある人は基本的に禁忌です。糖尿病の人では、血糖降下薬の副作用(低血糖)がでやすくなるので注意してください。高齢の人も心不全などの副作用がでやすいので、少量より開始するなど慎重に用います。

  • 適さないケース..喘息のある人、気管支炎や肺気腫で気管支けいれんのおそれがある場合、心不全、重い心臓の刺激伝導障害や徐脈、異型狭心症、低血圧、重い末梢循環障害(壊疽)、未治療の褐色細胞腫またはパラガングリオーマ、妊娠中の人など。
  • 注意が必要なケース..心臓の刺激伝導障害や徐脈、末梢循環障害(レイノー症状)、糖尿病、腎臓や肝臓の悪い人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。飲み合わせによっては、副作用がでやすくなります。目薬をふくめ使用中の薬を医師に報告しておきましょう。

  • 片頭痛の発作治療薬のリザトリプタン(マクサルト)との併用は禁止です。この薬を服用中あるいは中止から24時間以内はリザトリプタンを飲んではいけません。併用によりリザトリプタンの作用が増強するおそれがあるためです。
  • 緑内障などに用いる同系のβ遮断薬を含有する点眼薬にも注意が必要です。微量の点眼成分が吸収され、この薬の作用や副作用を強める可能性があるのです。併用のさいは服用量に配慮する必要があります。
  • 徐脈を起こしやすくなる飲み合わせがあります。たとえば、高血圧の薬のジルチアゼム(ヘルベッサー)、ベラパミル(ワソラン)、あるいは心臓の薬のジギタリス薬や抗不整脈薬、多発性硬化症治療薬のフィンゴリモド(イムセラ)などです。これらとは、徐脈の発現に注意するなど慎重に併用しなければなりません。
  • この薬には、糖尿病治療薬による低血糖症を強めたり、その症状を分かりにくくする性質があります。併用のさいは低血糖症の発現に十分注意する必要があります。
  • 鎮痛薬(NSAIDs)といっしょに飲むと、降圧作用が弱まる可能性があります。
  • ほかにも、抗血栓薬のワルファリン(ワーファリン)、結核の薬のリファンピシン(リファジン)、胃の薬のシメチジン(タガメット)など、相互作用の可能性のある薬剤がいくつかあります。

【使用にあたり】
  • 病状や治療目的により飲みかたが違います。決められた用法・用量を必ず守ってください。
  • 自分だけの判断で、量を減らしたり、飲むのをやめてはいけません。急に中止すると、狭心発作など反発的な症状を起こすおそれがあります。中止するときは、医師の判断で徐々に減量するようにします。
  • 飲み忘れにも注意してください。万一飲み忘れた場合、2回分を同時に飲んではいけません。
  • 片頭痛の場合、予防的に定期服用する必要があります。発作止めにはなりませんので、頭痛発作時にはトリプタン系薬剤など別の発作治療薬を頓用してください。ただし、トリプタン系のうちリザトリプタン(マクサルト)は併用禁止ですので避けてください。

【検査】

病状に応じて、血圧測定や心電図検査、血液検査などをおこないます。

【食生活】
  • 血圧が下がり、めまいを起こすことがあります。車の運転や高所での危険な作業には十分注意してください。
  • 本態性高血圧症では、生活習慣の見直しも大切。減塩などの食事療法、運動療法、肥満があれば体重を落とすだけでも血圧が下がるものです。軽い高血圧であれば、薬をやめられることもあります。できたら簡易血圧計で自宅で血圧測定をおこない、適切に血圧がコントロールされているかチェックすることをおすすめします。
効能

【効能A】

本態性高血圧症(軽症〜中等症)

【効能B】

狭心症

【効能C】

褐色細胞腫手術時

【効能D】

期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防

  • 注意:小児等に使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること。

【効能E】

片頭痛発作の発症抑制

  • 注意:本剤は、片頭痛発作の急性期治療のみでは日常生活に支障をきたしている患者にのみ投与すること。

【効能F】

右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制

  • 注意:ファロー四徴症等を原疾患とする右心室流出路狭窄による低酸素発作を起こす患者に投与すること。

【応用】

振戦(手足のふるえ)、アカシジア(じっとできない、手足のむずむず感、そわそわ感、いらいら感)
用法

【効能A】

通常、成人はプロプラノロール塩酸塩として1日30〜60mgより服用をはじめ、効果不十分な場合は120mgまで漸増し、1日3回に分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【効能B・C】

通常、成人はプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより服用をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【効能D】
<成人>

通常、成人はプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより服用をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
<小児>

通常、小児はプロプラノロール塩酸塩として1日0.5〜2mg/kgを、低用量から開始し、1日3〜4回に分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができるが、1日服用量として90mgを超えないこと。

【効能E】

通常、成人はプロプラノロール塩酸塩として1日20〜30mgより服用をはじめ、効果が不十分な場合は60mgまで漸増し、1日2回あるいは3回に分割経口服用する。

【効能F】

通常、乳幼児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5〜2mg/kgを、低用量から開始し、1日3〜4回に分割経口服用する。なお、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができる。

【注意】

褐色細胞腫の患者では、本剤投与により急激に血圧が上昇することがあるので本剤を単独で投与しないこと。褐色細胞腫の患者に投与する場合には、α遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 飲み始めに、体がだるくなったり、めまいを感じることがあります。軽ければたいてい心配いりませんが、ひどいときは早めに受診しましょう。

注意する症状として、徐脈があります。脈が1分間に50以下になったり、息苦しさや胸苦しさが強いときは、医師に連絡してください。とくに高齢の人は、心不全を含め注意が必要です。

まれですが、喘息発作を誘発する可能性があります。ゼーゼーと呼吸が苦しくなるようでしたら、すぐに受診してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 心不全、心ブロック、高度な徐脈..息苦しい、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、急な体重増加、脈が飛ぶ、脈が1分間50以下、めまい、気が遠くなる、失神。
  • 喘息発作の誘発..咳込む、ぜいぜいする、息をするときヒューヒュー音がする、息切れ、呼吸しにくい。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。

【その他】
  • だるい、めまい、ふらつき
  • 徐脈、低血圧
  • 手足の冷え、しびれ感
  • 目の乾燥(目がゴロゴロ、しょぼつく)
  • 気分がしずむ、眠気、不眠、悪い夢、幻覚

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。