概説 |
眼圧を下げる目薬です。緑内障、高眼圧症の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 目の中では、房水と呼ばれる水分が循環しています。その役目は、目に栄養分を供給し、また眼圧を一定に保つことです。ところが、房水が充満しすぎると、眼圧が上がり視神経を圧迫してきます(高眼圧症)。そのままでいると視神経が弱り、視野が狭くなったり視力が落ちたりします。このような状態が高眼圧をともなう典型的な緑内障です。
緑内障はその成因から大きく2つのタイプに分かれます。「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」です。閉塞隅角緑内障は、房水の排水路である隅角が虹彩でふさがれてしまうタイプです。その多くは慢性型ですが、ときに眼圧が急上昇し激しい眼痛や頭痛、充血や視覚異常などをともなう緑内障発作を起こします。一方、開放隅角緑内障は、隅角とは関係なく、房水の排水口が目詰まりするタイプです。慢性に推移し、自覚症状が乏しく、視野異常にも気づきにくいので、自覚したときには相当に進行していることが多いです。
なお、最近の調査で、緑内障の約6割が「正常眼圧緑内障」であることが分かりました。眼圧は正常範囲なのに緑内障になってしまうのです。視神経が耐えられる眼圧には個人差があり人それぞれで大きく異なります。視神経がもともと弱いなど、必ずしも高い眼圧だけが緑内障の要因ともいえないのです。治療は、開放隅角緑内障に準じ、眼圧をさらに低めにコントロールするようにします。
この目薬は、房水の産生をおさえることで 眼圧を下げます。おもに開放隅角緑内障または正常眼圧緑内障に対し、他の点眼薬といっしょに使います。緑内障の治療目標は、眼圧を低くコントロールして 視神経を守り、視力や視野を長期にわたり維持することです。原因療法薬ではないので一般的に治療期間は長くなりますが、継続的に眼圧をコントロールするために根気よく点眼を続けなければなりません。

- 【薬理】

- 目の毛様体に存在する炭酸脱水酵素Uを特異的に阻害し、炭酸水素イオンの形成を遅延させ、ナトリウムの液輸送を低下させて房水産生を抑制します。
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特徴 |
- 炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)に分類される緑内障治療薬です。同じ仲間の飲み薬が昔から使われていますが、いろいろな副作用がでやすく飲み続けることが難しい場合があります。そこで、全身的な副作用の心配がなく長期維持療法に適する外用点眼剤としてこの薬が開発されました。
- 同類薬のドルゾラミド(トルソプト)に比べ炭酸脱水酵素に対する結合能が高く、通常1日2回の点眼で済みます(ドルゾラミドは1日3回)。治療効果はそれほど変わりません。
- 眼圧下降効果は標準薬のβ遮断薬やプロスタグランジン関連薬と比べやや劣ります。このため、標準薬が副作用で使えないときに第二選択されたり、眼圧下降効果を高めるために他の点眼薬と併用することが多いです。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 点眼薬の使用でアレルギーを起こしたことのある人は医師に伝えておきましょう。

- 【注意する人】

- 重い腎臓病のある人は使用できないことがあります。
 【使用にあたり】
- 点眼方法や点眼回数は、説明書に従ってください。点眼回数は通常1日2回ですが、効果不十分な場合は3回になります。
- 懸濁性点眼液ですので、使用前によく振って液を均一にしておきましょう。以下に一般的な点眼方法を示しますが、医師の指示を優先し決められた方法で点眼してください。
- できるだけ仰向けの状態で点眼するようにします。1滴点眼したあと、ゆっくりと目を閉じ、まばたきをしないで1〜5分間そのまま閉じていてください。このとき、目頭を指で押さえておくと鼻や口に薬液が回らず苦い思いをしなくて済みますし、全身性の副作用の予防になります。
- 特別な指示がなければ1滴で十分です。うまく命中しなかったときだけ、もう1滴さすようにすればよいでしょう。
- 点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意しましょう(薬液汚染防止のため)
- 点眼液が目の回りに付いたり目からあふれ出たときは、すぐ拭き取るようにしてください(かぶれることがあります)。
- 他の点眼薬と併用しているときは、少なくとも10分間以上の間隔をあけて点眼してください。
- ソフトコンタクトレンズを使用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼後15分以上経過してから再装用するようにしてください。

- 【食生活】

- 点眼後、一時的に物がかすんで見えることがあります。車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作には十分注意してください。

- 【備考】

- 閉塞隅角緑内障では、房水を排出させるための手術が第一選択となり、薬物療法は補助的におこなわれます。一方、開放隅角緑内障では、点眼薬による薬物治療が中心になります。その第一歩として処方されるのがプロスタグランジン(PG)関連薬またはβ遮断薬です。炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)はその次の処方候補といえるでしょう。単薬で効果不十分な場合は、これらによる併用療法が試みられます。
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効能 |
次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合
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用法 |
通常、1回1滴、1日2回点眼する。なお、十分な効果が得られない場合には1回1滴、1日3回点眼することができる。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
おもな副作用は、点眼後の目のかすみ、刺激症状、味覚異常 (苦味)などです。まれに、角膜に障害を起こすこともありますから、強い症状が続く場合は早めに受診してください。飲み薬にみられる全身性の副作用はまずありません。
- 点眼後の目のかすみ、
- 一時的な刺激症状(しみる、痛み、涙目)、かゆみ
- 充血、まぶたの腫れ、角膜炎
- 苦味、味覚異常
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