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成分(一般名) アカンプロサート カルシウム
製品例 レグテクト錠333mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の中枢神経系用薬/その他/アルコール依存症 断酒補助剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 お酒をやめるのを助けるお薬です。アルコール依存症の治療に用います。
作用

【働き】

アルコール依存症は、飲酒のコントロールが困難になり、ふつうの社会生活ができなくなる状態です。強い飲酒欲求にさいなまれ、朝から晩まで1日中飲み続けるようになります。飲まないと、いわゆる禁断症状として手のふるえや発汗、動悸、イライラ、不安、不眠などを生じ、さらには幻覚やけいれん発作を起こすこともあります。

このお薬は、断酒補助薬です。脳に作用し、アルコール依存で高まっている神経活動を抑制することで「飲みたい」という飲酒欲求をおさえます。アルコール依存症の治療は、カウンセリングなどの精神療法や、断酒会への参加をはじめとする心理社会的治療が中心になりますが、それに加え この薬を併用することにより断酒の成功率が上がるのです。

【薬理】

アルコール依存では、脳内の興奮性神経であるグルタミン酸作動性神経の活動が亢進し、興奮性神経伝達と抑制性神経伝達の間に不均衡が生じると考えられています。この薬は、グルタミン酸の受容体のひとつ‘NMDA受容体’に作用し、興奮性のグルタミン酸作動性神経活動を抑制します。その結果として、アルコールへの依存が軽減し、飲酒欲求が抑制されるものと推察されます。

【臨床試験】

この薬の効果をプラセボ(にせ薬)と比較する臨床試験がおこなわれています。参加したのはアルコール依存症と診断され、アルコールの離脱症状に対する治療を終了した断酒意志がある患者さん327人。このうち163人はこの薬を、別の164人はプラセボを服用し、6ヵ月間にわたり心理社会的治療と併用します。この間、患者日記や血中アルコール濃度により飲酒の有無を確認し、2つのグループの完全断酒率を比較するのです。

その結果、この薬を飲んでいた人達の完全断酒率は47%(77/163人)でした。一方、プラセボの人達は36%(59/164人)にとどまりました。大きな差はでませんでしたが、この薬のほうが約10%ほど断酒率が高く、この薬の有効性が証明されたわけです。さらに服薬終了後の一定期間においても、この薬を飲んでいた人達のほうが、断酒を継続できる割合が高い傾向が示されました。
特徴
  • 脳の神経に働いて飲酒欲求そのものを抑える新しいタイプの断酒補助薬です。昔から使われている抗酒薬のシアナミド(シアナマイド)やジスルフィラム(ノックビン)とは効きかたが異なり、肝障害の心配もありません。心理社会的治療と併用することにより断酒成功率が高まることから、心理社会的治療の補助的な治療薬と位置付けられます。
  • 1980年代にフランスで承認されて以来、欧米をはじめ海外で広く使用されています。日本では、日本アルコール精神医学会や日本アルコール関連問題学会などから、アルコール依存症に対する抗酒療法として必要性の高い薬剤として開発要請がおこなわれ、2013年に製造販売が承認される運びとなりました。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておいてください。
  • 服用後の注意事項や副作用について、ご家族も含め 事前によく説明を受けておきましょう。

【注意する人】

腎臓が悪いと薬の排泄が遅れ血中濃度が上昇しやすいです。このため、減量を考慮するなど慎重に用いるようにします。離脱症状(禁断症状)がみられる場合は、離脱症状に対する治療を終了してから使用することになります。また、自分のいのちを絶ちたいという思いのある人は注意深く用いる必要があります。因果関係ははっきりしませんが、この薬の影響で、かえってそのような衝動が強まるおそれがあるためです。

  • 適さないケース..重い腎臓病のある人、離脱症状(禁断症状)がみられる場合、断酒の意志のない人。
  • 注意が必要なケース..腎臓病、重い肝臓病、高齢の人、いのちを絶ちたいという思いのある人など。

【使用にあたり】
  • 断酒維持の補助薬として、通常、1日3回毎食後に2錠(666mg)を飲みます。離脱症状がある場合はその治療を済ませてからです。
  • 必ず食後にしてください。空腹時(食間)ですと、血中濃度が上昇し副作用がでやすくなります。
  • 腸溶性の特殊な錠剤ですので、かんだり、割ったり、砕いたりしないでそのまま飲んでください。
  • 自分のいのちを絶ちたいという思いのある人は、医師と緊密に連絡を取り合うようにしてください。ご家族など付き添いの方も、行動の変化や不穏な行為に注意するなど、服用後の様子を注意深く見守りましょう。
  • 服用期間は原則6ヵ月間です。有益性があると判断されれば、1年間くらいまで延長されることがあります。その途中でお酒を口にしてしまった場合は、医師に報告しよく相談してください。

【食生活】

アルコール依存症の治療は、心理社会的治療が中心です。カウンセリングなどの精神療法や、断酒会など自助グループへの参加が断酒継続に非常に有効なのです。そのような心理社会的治療を受けながら、この薬を服用してください。断酒を決意し、強い意志を持ち続けることが大事です。
効能 アルコール依存症患者における断酒維持の補助
  • 注意1:アルコール依存症の診断は、国際疾病分類等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ使用すること。
  • 注意2:心理社会的治療と併用すること。
  • 注意3:断酒の意志がある患者にのみ使用すること。
  • 注意4:離脱症状がみられる患者では、離脱症状に対する治療を終了してから使用すること。
用法 通常、成人はアカンプロサートカルシウムとして666mgを1日3回食後に経口服用する。
  • 注意1:本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること。(空腹時に投与すると、食後投与と比較して血中濃度が上昇するおそれがある。)
  • 注意2:本剤の投与期間は原則として24週間とすること。治療上の有益性が認められる場合にのみ投与期間を延長できるが、定期的に本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないこと。(国内臨床試験では、24週間の投与による有効性及び安全性が確認されている。)

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは下痢です。たいていは軽度で服用を続けられると思いますが、ひどいようでしたら早目に受診してください。そのほかは少ないです。頭痛や眠気がときどきみられるくらいで、重い副作用はまずありません。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 血管浮腫..顔や唇、舌、喉がひどく腫れる、飲み込みにくい、息がしにくい、手足が腫れる。

【その他】
  • 下痢、おなかが張る、吐き気、嘔吐
  • 頭痛、眠気、眠りがち、不安感
  • 発疹、かゆみ、じんま疹

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。