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成分(一般名) ロチゴチン
製品例 ニュープロパッチ2.25mg~4.5mg~9mg~13.5mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗パーキンソン剤/ドパミン作動薬/ドパミン作動性パーキンソン病治療剤 (パッチ2.25mg,4.5mg,9mg,13.5mg)

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 パーキンソン病のお薬です。ふるえやこわばりを改善し、体の動作をよくします。また、レストレスレッグス症候群にも用います。
作用

【働き-1】

パーキンソン病では、脳内のドパミン系の神経の働きが悪くなり、手足のふるえやこわばり、姿勢がとれない、体の動作が不自由になるといった症状がでてきます。徐々に悪化し、進行すると日常生活にも大きな支障となります。

このお薬は、ドパミン系の神経に働きかけ、そのようなパーキンソン病の症状を改善します。効果発現はやや緩慢ですが、十分な維持量により安定した効果が期待できます。発症初期には単独で、進行期には別のレボドパ製剤と併用することが多いです。

【働き-2】

レストレスレッグス症候群は、一般でいう「むずむず脚症候群」のことです。ふくらはぎのむずむず感、ほてり、かゆみ、痛みなど足に不快な感覚を覚え、動かしたいという強い欲求を生じます。夕刻以降の安静時に発現することが多く、不眠の原因にもなりかねません。発現機序はよく分かっていませんが、足が受ける刺激を抑制するドパミン系の神経が弱っているのではと推測されています。

そのようなレストレスレッグス症候群に、以前からパーキンソン病治療薬が有効なことが知られていました。その後、各国で臨床試験がすすめられ、8割くらいの人に有効なことが分かりました。適応となるのは、苦痛をともなう場合や、睡眠に支障をきたすようなやや重い症状に対してです。

【臨床試験-1】

レボドパ製剤を使用していない早期のパーキンソン病の患者さん180人による臨床試験が行われています。90人はこの薬を、別の90人はプラセボ(にせ薬)を使用し、その有効性と安全性を比較・検証する試験です。効果の判定は、運動能力と日常生活の動作を各項目ごとに点数化し、その合計点の低下幅で比較します。点数が低ければ軽症、高いほど重症を意味しますので、低下幅が大きいほど効果が高いことになります。使用期間は原則3ヶ月間です。

その結果、この薬を使用した人達は平均で約8点低下(27点→19点)しました。一方、プラセボの人達は約4点低下(28点→24点)しました。この薬を使用していた人達のほうが明らかに低下幅が大きく、病状を改善する効果が高いことが確かめられたわけです。また、別のレボドパ製剤を併用している進行期の患者さんを対象とした臨床試験でも、同様の結果が得られており、早期・進行期を問わず、この薬の有効性が証明されています。

【臨床試験-2】

中等度以上のレストレスレッグス症候群の患者さん282人をクジ引きで3つのグループに分け、93人はこの薬を1日4.5mg、別の94人は6.75mg、残りの95人はプラセボ(にせ薬)を使用し、その効果を比較する試験が行われています。本当にプラセボを上回る効果があるのかを確かめるのが目的です。

効果の判定は、足の不快感や動き回りたい欲求のレベル、発現頻度、睡眠の具合、昼間の眠気の程度などを10項目ごとに点数化し、その合計点(0〜40点)の変化量でおこないます。点数が低ければ軽症(10点以下)、中間が中等症(11〜20点)、高いほど重症(21点以上)を意味します。試験に参加した人の治療前の平均点数は23点でした。使用期間は3ヶ月間とします。

その結果、この薬を4.5mg使用した人達は平均14点低下(23点→9点)、6.75mgの人達は15点低下(23点→8点)、プラセボの人達は11点低下(23点→12点)しました。大きな差はでませんでしたが、この薬のほうが下げ幅が明らかに大きく、プラセボよりも病状が軽くなることが確かめられたわけです。また、重い患者さんでは、1日4.5mgよりも6.75mgの有用性が示されています。
特徴
  • ドパミン作動性のパーキンソン病治療薬です。パーキンソン病に対し、レボドパほど劇的ではありませんが、安定した効果が得られ、運動合併症状がおさえられる点がメリットです。このため、とくに高齢でない限り、早期の比較的軽い症状には、まずこの系統が処方されるものです。また、レボドパ製剤との併用により、病状の安定化がはかれ、レボドパの減量も可能です。
  • レストレスレッグス症候群に対する効能もあります。すでに欧米では、その第一選択薬として位置づけられ広く用いられています。とくに午後8時前に症状が発現する患者さんに対しては、長時間作用型のこの薬が推奨されているようです。
  • ドパミン作動薬のうち非麦角系に分類されます。非麦角系は、麦角系でよく見られる吐き気などの消化器症状が比較的少なく、心臓弁膜症を起こすこともまずありません。一方で、眠気や傾眠の副作用が目立ち、重大な副作用として突発的睡眠が報告されています。この点は十分な注意が必要です。
  • 世界で唯一のドパミン作動薬の貼り薬です。皮膚から有効成分がゆっくり吸収され長時間にわたり十分な血中濃度を維持します。1日1回貼付で24時間安定した効果が得られることから、パーキンソン病においては早朝の薬効切れの心配がなく、またレストレスレッグス症候群では夜間にくわえ昼間の症状もカバーできます。一方で、貼付部位に皮膚症状があらわれやすく、また貼り替えに気を使うなどのデメリットもなくはありません。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によってはその病状を悪化させるおそれがあります。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に申し出てください。妊娠中は使用できません。
  • 別の薬を使用している場合は、医師に伝えておきましょう。
  • ご家族をふくめ、注意事項や副作用について十分説明を受けてください。突発的睡眠や衝動制御障害についてもよく聞いておきましょう。

【注意する人】

幻覚、妄想などをともなう精神疾患のある人は、精神症状の悪化に注意が必要です。重い心臓病や低血圧症のある人は慎重に用いるようにします。

  • 適さないケース..妊娠中。
  • 注意が必要なケース..統合失調症など精神症状がみられる病気、重い心臓病、低血圧症、重い肝臓病、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

他の抗パーキンソン薬と飲み合わせる場合、作用増強にともなう精神症状の発現に注意が必要です。一方、安定剤(フェノチアジン系、ブチロフェノン系など)との併用により、両方の薬理作用が弱まることがあります。飲酒は控えたほうがよいでしょう。

  • 飲み合わせに注意..他の抗パーキンソン薬(レボドパ、抗コリン薬など)、安定薬(フェノチアジン系、ブチロフェノン系など)、アルコール類。

【使用にあたり】
  • 含量が異なる4種類の貼り薬があります。ふつう、低用量製剤から開始し、医師が効果や副作用をチェックしながら段階的に増量していきます。このため、よい効果がでるまでに数週間かかることがあります。
  • 使用回数は1日1回、毎日決められた時間に貼り替えてください。皮膚刺激を避けるため、毎回貼付部位を変える必要があります。具体的な貼り方や注意点は説明書にありますので、よく読んでその手順に習ってください。
  • 貼り替えのさい、前回分の剥がし忘れにくれぐれも注意しましょう。前日どこに貼付したのかを記録するチェックシートを活用するとよいでしょう。
  • 維持量をしばらく続けても症状が改善しない場合や、かえって悪化する場合は、早めに受診し医師とよく相談してください。
  • 自分の判断でやめてはいけません。とくパーキンソン病では、急にやめると 反動で具合が悪くなることがあります。中止する場合は、指示通りに徐々に減量しなければなりません。
  • 誤用がないように、子供の目に入らず手の届かないところで、高温・多湿を避けて保管してください。

【食生活】
  • 熱により薬の放出量が増え、体内への吸収量が増加するおそれがあります。このような現象を避けるため、貼り付けた部分が電気パッドやカイロ、湯たんぽなどの熱源に接しないようにしましょう。また、その部分の集中的な日光浴も避けたください。サウナも控えたほうがよいでしょう。
  • まれな事例ですが、突発的な睡眠による自動車事故が報告されています。車の運転や危険をともなう機械の操作、高所での作業は避けてください。
  • 急に立ち上がると、強い立ちくらみを起こすおそれがあります。急な動きはしないで、ゆっくり動作するようにしましょう。とくに飲み始めは要注意です。
  • 衝動的な行動が気になるときは、医師とよく相談してください。たとえば、ギャンブルにのめりこむ、不必要な買い物を繰り返す、暴飲暴食、性欲が病的に亢進するといった症状です。特殊なケースですが、薬の影響で衝動をおさえにくくなっている可能性があります。
  • 万一、AED(除細動器)による治療を行うさいは、この薬を剥がしてください。貼ったまま実施すると火傷を引き起こすおそれがあります。
効能
【2.25mg、4.5mg】
  • パーキンソン病
  • 中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)

【9mg、13.5mg】
  • パーキンソン病
用法

【パーキンソン病】

通常、成人にはロチゴチンとして1日1回4.5mg/日からはじめ、以後経過を観察しながら1週間毎に1日量として4.5mgずつ増量し維持量(標準1日量9mg〜36mg)を定める。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、1日量は36mgを超えないこと。本剤は肩、上腕部、腹部、側腹部、臀部、大腿部のいずれかの正常な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

  • 注意1:本剤の貼付による皮膚刺激を避けるため、貼付箇所は毎回変更すること。
  • 注意2:貼付後、20〜30秒間手のひらでしっかり押し付けて、本剤が皮膚面に完全に接着するようにすること。
  • 注意3:本剤の投与は、「用法・用量」に従い少量から開始し、幻覚、妄想等の精神症状、消化器症状、血圧等の観察を十分に行い、慎重に維持量(標準1日量9mg〜36mg)まで増量すること。

【レストレスレッグス症候群】

通常、成人にはロチゴチンとして1日1回2.25mg/日からはじめ、以後経過を観察しながら1週間以上の間隔をあけて1日量として2.25mgずつ増量し維持量(標準1日量4.5mg〜6.75mg)を定める。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、1日量は6.75mgを超えないこと。本剤は肩、上腕部、腹部、側腹部、臀部、大腿部のいずれかの正常な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

  • 注意1:本剤の貼付による皮膚刺激を避けるため、貼付箇所は毎回変更すること。
  • 注意2:貼付後、20〜30秒間手のひらでしっかり押し付けて、本剤が皮膚面に完全に接着するようにすること。
  • 注意3:本剤の投与を中止する場合は、患者の状態を十分に観察しながら、徐々に減量すること。漸減の目安は、原則として1日おきに1日量として2.25mgずつ減量すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 貼った部分が赤くなったり、かゆくなることが多いです。たいてい塗り薬で対処できますので、ひどいようでしたら早めに受診してください。なお、発赤や発疹があらわれた場合、日光により皮膚が変色するおそれがあるので、回復するまで発現部位への直射日光は避けてください。

うとうとなど一般的な眠気のほか、前兆なく突然に眠り込んでしまう突発的睡眠も知られています。車の運転を含め危険な作業は絶対におこなわないでください。そのほか、精神症状としてイライラ、不安、興奮、幻覚、妄想などを生じることがあります。とくに高齢の人は、いろいろな精神症状がでやすいので要注意です。さらに最近、衝動制御障害が報告されています。ギャンブルを繰り返すなど度をこした行動が気になるときは医師と相談してください。

吐き気や嘔吐、食欲不振、胃の不快感、便秘など胃腸症状もよくみられる副作用です。立ちくらみは、飲み始めに起きやすいです。また、パーキンソン病の治療で薬の量が多めになると、口をもぐもぐさせるなど口周辺のくり返し運動や、手足が勝手に動くなどの不随運動があらわれやすくなります。

レストレスレッグス症候群で長く飲み続けていると、症状発現が2時間以上早くなったり、かえって症状が悪化することがあるようです。そのような場合は、減量が必要かもしれませんので、医師とよく相談してください。

めったにありませんが、薬の減量や中止時には、悪性症候群にも注意が必要です。症状としては、発熱、発汗、意識低下、ふるえ、筋硬直などが現れます。直ちに対処する必要がありますので、ご家族など周囲の方にも注意をはらってもらうとよいでしょう。なお、少量ですむレストレスレッグス症候群においては、重い副作用の心配はそれほどないと思います。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 突発的睡眠..前兆なく突然に眠ってしまう。
  • 幻覚、妄想、せん妄、錯乱..本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える、誤った思い込み、非現実な体験、もうろう状態、混乱・興奮、取り乱す。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。

【その他】
  • 眠気、不安、イライラ感、興奮、頭痛、悪夢、不眠
  • 衝動制御障害(病的賭博、強迫性購買、暴飲暴食、性欲亢進)
  • 吐き気、吐く、もたれ、食欲不振、便秘、口の乾き
  • 口や舌のくり返し運動、手足や体が勝手に動く
  • 立ちくらみ、ふらつき、めまい、血圧低下、動悸
  • 使用部位の発赤、かゆみ、発疹
  • 急激な減量・中止による離脱症状(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛)

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。