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成分(一般名) レボドパ・カルビドパ
製品例 メネシット配合錠100~250、ネオドパストン配合錠L100~250、ドパコール配合錠L50~100~200、デュオドーパ配合経腸用液 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗パーキンソン剤/配合剤/パーキンソニズム治療剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 パーキンソン病のお薬です。こわばりを改善し、体の動きをよくします。
作用

【働き】

パーキンソン病では、脳内の運動にかかわる神経伝達物質‘ドパミン’が不足しています。このため、体の動きが悪くなり、手足のふるえ、こわばり、動作緩慢、さらにには歩行困難といった運動障害があらわれます。

このお薬には、2つの成分が含まれています。一つは主要成分のレボドパです。レボドパはドパミンの前駆物質で、脳内でドパミンに変化し運動神経を活性化させることにより体の動きをよくします。

あと一つは、レボドパの効力を高めるカルビドパです。カルビドパは、脳に入る前のレボドパの分解をおさえ、レボドパの脳内移行量を増やします。そのぶんレボドパの作用時間が長くなり、より安定した効果が得られるのです。

【薬理】

レボドパはドパミンの前駆物質です。ドパミンは脳内に移行しないため、化学的に手を加え血液脳関門を通過する薬剤としてレボドパが開発されました。脳内に移行したレボドパは、酵素により代謝されドパミンとしてふるまいます。内因性ドパミンを補う補充療法になります。

レボドパは、脳に入る前に体のあちこちで代謝を受け その多くが分解されてしまいます。カルビドパの役目は、レボドパを代謝するドパ脱炭酸酵素を阻害し、レボドパの脳内移行量を増やすことです。ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)と呼ばれています。
特徴
  • レボドパ・DCI配合剤(経口剤:配合比10:1、経腸剤:配合比4:1)です。主成分のレボドパに加え、その効力を増強させるDCIのカルビドパが配合されます。レボドパだけの薬に比べ持続時間が延長し安定した効果が得られます。また、少量で済むので吐き気など末梢性副作用も軽減できるのです。このような利点から、レボドパ単剤に変わり広く使用されるようになりました。パーキンソン病のほか、脳血管障害など別の原因による同様な症状(パーキンソン症候群)にも適用します。
  • パーキンソン病治療薬として最も効果が高いのがレボドパ製剤です。効果の発現が非常に早く劇的なほどです。また、精神症状の副作用が比較的少なく、高齢の人にも使いやすいです。一方で、長く続けていると効き目にムラがでて、不随意運動など運動合併症を起こしやすいのが難点です。このため、発症年齢が高ければ最初から使いますが、若い人の初期症状にはドパミン作動薬など他の治療薬を優先することがあります。
  • 一般的な飲み薬にくわえ、胃瘻から腸に直接注入する経腸剤(デュオドーパ配合経腸用液)が開発されました。通常は飲み薬を用いますが、病気が進行し飲み薬では運動症状のコントロールができない場合に経腸剤による治療が検討されます。専用の携帯型ポンプで持続して腸内に注入することにより、血中レボドパ濃度を治療域内で安定して維持することが可能です。これにより、運動症状の日内変動が改善され、日常生活の向上につながるわけです。進行期パーキンソン病(H&Y分類4~5)を対象とした臨床試験でも、薬効が切れるオフ時間が1日あたり4〜5時間短縮することが示されています。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
  • 別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。
  • ご家族をふくめ、注意事項や副作用について十分説明を受けてください。突発的睡眠や衝動制御障害についてもよく聞いておきましょう。

【注意する人】

緑内障のある人は使用できないことがあります。眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがあるためです。

  • 適さないケース..閉塞隅角緑内障。
  • 注意が必要なケース..その他の緑内障、肝臓病、腎臓病、胃潰瘍、糖尿病、喘息など呼吸器系の病気、精神症状の病気など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

血圧の薬と併用すると降圧作用が強くなることがあります。また、ハロペリドール(セレネース)などある種の安定剤は、この薬の効力を弱めてしまうおそれがあります。逆に、抗認知症薬のメマンチン(メマリー)は、この薬の作用を増強する可能性があります。別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に報告しておいてください。

  • 飲み合わせに注意..高血圧の薬、安定剤(フェノチアジン系、ブチロフェノン系など)、メマンチン(メマリー)、鉄剤、イソニアジド、テトラベナジン(コレアジン)、レセルピン製剤(ベハイドRA)など。

【使用にあたり(経口剤)】
  • ふつう、少量から開始し、医師が効果や副作用をチェックしながら増量していきます。服用回数や時間は、医師の指示どおりにしてください。不規則な服用は症状の悪化をもたらしますから、できるだけ毎日同じ時間に飲んでください。飲み忘れにも注意しましょう。
  • 一般的には食後になります。食後に飲むことで、吸収もほどよく吐き気などの胃腸症状も軽減できるのです。ただし、減衰効果がみられるときなど、効力を上げるために、あえて食前や空腹時にすることがあります。
  • レボドパ製剤は、パーキンソン病の初期症状によく効きますが、病気そのものを治すことはできません。ドパミンを補う補充療法になりますので、長期間(生涯)続ける必要があります。
  • 自分の判断で飲むのをやめてはいけません。突然やめると、急激に症状が悪化したり、悪性症候群など思わぬ副作用があらわれるおそれがあります。

【使用にあたり(経腸剤)】
  • 経腸剤は、飲み薬(経口剤)による治療を最大限おこなっても運動症状のコントロールが困難な場合に用います。注入ポンプでレボドパを腸内に直接投与する治療法です。ポンプやカセットの取り扱い、操作方法、使用手順を十分習得したうえで使用してください。
  • 試しに、薬液を鼻からチューブで注入し、この薬が合うかどうか確かめることがあります。問題なければ、薬液をお腹から腸に注入するための通り道‘胃瘻’を内視鏡を使って造ります。
  • 原則、しばらく入院します。十分な観察のもと適切な使用量を決定するためです。
  • 専用の携帯型注入ポンプを使い、胃瘻から規定量の薬液を注入します。朝の一定量使用と、その後の持続使用に分けて注入する必要があります。また、必要に応じて持続使用中に追加注入することも可能です。
  • 使用時間や使用量は医師が決めます。初回使用量は飲んでいた薬(レボドパ・カルビドパ)の服用量から換算され、その後は効果や副作用をみながら適切に調整します。効き具合や体調の変化が気になるときは医師と相談してください。
  • 原則、起きている日中に使用します。1日の最大使用時間は16時間までです。追加して使用する場合は、前回の追加使用から2時間以上あけてください。追加使用が1日5 回を超える場合は、医師に報告してください。
  • 注入終了後の夜間または就寝後に症状の管理が必要な場合は、飲み薬(レボドパ・カルビドパ)を用いるようにします。
  • 使用する20分前に冷蔵庫と外箱からカセットを取り出してください。また、その日の投与を終了したカセットは、中身が残っていても捨ててください。詳しい使い方や注意事項は説明書にありますから、よく読んでおきましょう。

【食生活】
  • 手足が勝手に動くなど、不自然な動きをしたり、落ち着きなくいつも動いているといった症状があらわれたら、医師と相談してください。
  • 眠気やめまいを起こしやすいです。まれですが、前兆のない突発的な睡眠発作も報告されています。車の運転をふくめ危険を伴う機械の操作や高所作業は避けてください。
  • 急に立ち上がると、強い立ちくらみを起こすおそれがあります。急な動きはしないで、ゆっくり動作するようにしましょう。とくに飲み始めに注意してください。
  • 衝動が抑制できない衝動制御障害が報告されています。ギャンブルを繰り返す病的賭博、無駄な買物をしてしまう強迫性購買、暴飲暴食、性欲亢進など、自制心に欠ける行動が気になるときは医師と相談してください。

【備考】
  • 症状を完全に押さえ込むというより、長い目でみて7〜8割で良しとする考え方が大勢です。よく効くからとレボドパ製剤を早期から大量に使うと、将来的にかえって病気のコントロールが難しくなるおそれがあるのです。このため、症状の軽いうちは使わないか、ドパミン作動薬など他の治療薬と併用してできるだけ少量にとどめるようにします。ただし、仕事で症状を確実におさえたい場合など、初めからレボドパを用いることがあります。また、発症年齢が高ければ早期からレボドパが処方されるものです。
  • レボドパの長期服用時の問題点は効き目にムラがでることです。効きすぎて勝手に動いてしまう「不随意運動(dyskinesia、dyskinesie)」、逆に作用時間が短くなり 次の服薬前に薬効が切れ動けなくなる「ウェアリング・オフ(wearing-off)現象」、服薬時間とは無関係に 急激な軽快と増悪を繰り返すのが「オン・オフ(on-off)現象」です。このような運動合併症や日内変動に対しては、用法・用量の調節と多剤併用療法で対処します。ウェアリング・オフには、ドパミン作動薬、エンタカポン(コムタン)、セレギリン(エフピー)、ゾニサミド(トレリーフ)またはイストラデフィリン(ノウリアスト)などとの併用が有効です。
効能

【経口剤】

パーキンソン病、パーキンソン症候群

【経腸剤】

レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善

【応用】

医師の判断で、別の病気に応用されるかもしれません(むずむず脚症候群など)。
用法
【経口剤】
  • レボドパ未服用患者..通常成人に対し、レボドパ量として1回100〜125mg、1日100〜300mg経口服用よりはじめ、毎日又は隔日にレボドパ量として100〜125mg宛増量し、最適服用量を定め維持量(標準維持量はレボドパ量として1回200〜250mg、1日3回)とする。なお、症状により適宜増減するが、レボドパ量として1日1500mgを超えないこととする。
  • レボドパ既服用患者..通常成人に対し、レボドパ単味製剤の服用後、少なくとも8時間の間隔をおいてから、レボドパ1日維持量の約1/5量に相当するレボドパ量を目安として初回量をきめ、1日3回に分けて経口服用する。以後、症状により適宜増減して最適服用量を定め維持量(標準維持量はレボドパ量として1回200〜250mg、1日3回)とするが、レボドパ量として1日1500mgを超えないこととする。

【経腸剤】

本剤投与前の経口レボドパ量に応じて初回投与量を決定し、朝の投与及び持続投与に分けて胃瘻を通じて空腸に直接投与する。その後は患者の症状により、以下の用量範囲で投与量を調整する。なお、必要に応じて持続投与中に追加投与を行うことができる。

通常、成人には、朝の投与として5〜10mL(レボドパ/カルビドパ水和物として100/25〜200/50mg)を10〜30分かけて投与した後、2〜6mL/時間(レボドパ/カルビドパ水和物として40/10〜120/30mg/時間)で持続投与する。なお、1日の最大投与時間は16時間とする。1回あたりの追加投与は0.5〜2.0mL(レボドパ/カルビドパ水和物として10/2.5〜40/10mg)とする。

本剤の投与量は症状により適宜増減するが、朝の投与は15mL(レボドパ/カルビドパ水和物として300/75mg)、持続投与は10mL/時間 (レボドパ/カルビドパ水和物として200/50mg/時間)を超えないこととする。また、1日総投与量は100mL(レボドパ/カルビドパ水和物として2000/500mg)を超えないこととする。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用で比較的多いのは吐き気や嘔吐、食欲不振、便秘などの消化器症状です。吐き気止めまたは便秘薬で対処できますので、つらいときは医師と相談してください。吐き気は続けているうちに軽くなることもあります。そのほか、めまいや立ちくらみ、動悸などもみられます。経腸用液では、胃瘻造設後に腫れや痛みをともなうことがあります。

効きすぎによる運動合併症状もでやすいです。ジスキネジア(ジスキネジー)といって手足や首、顔面などが意志とは関係なく勝手に動いて困ります。このような不随意運動は、薬の効き目が強まる時間帯に発現しやすいです。逆に、薬の効き目が落ちると、首が下がったままになったり、手足がつっぱったりして動きが悪くなります。運動合併症は、用法・用量の調整もしくは治療薬を見直すことで改善できますので、そのような症状があれば医師に話してください。

精神症状として、気分の変調や幻視・幻覚、妄想、不眠あるいは眠気などがみられます。幻視では、たとえば不快な虫が見えたりします。また、まれなケースですが、前兆のない突発的睡眠を起こす可能性があります。さらに最近、衝動制御障害が報告されています。ギャンブルを繰り返すなど度をこした行動が気になるときは医師と相談してください。

めったにありませんが、重い副作用として“悪性症候群”が知られています。とくに、薬剤の中止時や急激な減量時に要注意です。自分だけの判断で急に薬を止めてしまうのも非常に危険です。万一、高熱、ひどい汗、頻脈、体のこわばり、ふるえ、筋肉痛、精神変調、意識の低下などが現れたら、直ちに医師に連絡してください。


【重い副作用(一般)】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • 幻覚、妄想、錯乱..本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える、誤った思い込み、非現実な体験、興奮・混乱、取り乱す。
  • 抑うつ..憂うつ、気分が落ち込む、やる気がでない、考えがまとまらない、悲観的、不安感、不眠。
  • 消化管潰瘍..胃痛、腹痛、下血(黒いタール状の血液便)、吐血(コーヒー色のものを吐く)。
  • 突発的睡眠..前兆なく突然に眠ってしまう。
  • 溶血性貧血、血小板減少..息切れ、動悸、黄疸、鼻血、歯肉出血、皮下出血。
  • 緑内障..目が痛い、充血、見えにくい、かすむ、光の回りに虹の輪、頭痛、吐き気。

【その他(一般)】
  • 不随意運動..手足や体が勝手に動く、同じ動作を繰り返す、首がつっぱる、口周辺がひきつる、口をすぼめたりモグモグさせる、舌の異常運動。
  • 吐き気、食欲不振、便秘、口の乾き
  • 不安、焦燥感、興奮、不眠、眠気、妄想
  • 衝動制御障害(病的賭博、強迫性購買、暴飲暴食、性欲亢進)、ドパミン調節障害症候群(レボドパを過剰に求める)
  • めまい、立ちくらみ、血圧低下、動悸
  • 長期使用で効き目が落ちる、症状が不安定

【胃瘻造設関連】
  • 切開部位痛、過剰肉芽、術後痛、紅斑
  • 腹痛、腹部不快感、腹部膨満、腸管穿孔、腹膜炎

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。