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成分(一般名) ラサギリン メシル酸塩
製品例 アジレクト錠0.5mg~1mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗パーキンソン剤/選択的MAO-B阻害剤/パーキンソン病治療剤(選択的MAO-B阻害剤)

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 パーキンソン病のお薬です。
作用

【働き】

パーキンソン病は、脳内のドパミンが不足し、手足がふるえたり体の動作が鈍くなる病気です。パーキンソン病の最も基本的な薬はドパミン補充薬の“レボドパ”です。このレボドパの問題点として、長期服用により効き目が落ちる ということがあげられます。効いている時間が短くなり、次の服薬前に症状があらわれてしまうのです。専門的にウェアリング・オフ現象(wearing-off)、日本語で減衰効果などと呼ばれています。

このお薬はドパミンの分解をおさえ、ドパミンの量を増やすことによりパーキンソン病の諸症状を改善します。単独療法として発症早期に用いた場合、レボドパによる治療の開始を遅らせ、将来的にレボドパ長期使用によって生じるウェアリング・オフ現象やすくみ足などの合併頻度の抑制が期待できます。また、病気が進みレボドパの効き目が悪くなった場合に追加すれば、ウェアリング・オフ現象が軽減され良い状態をより長く保てます。

【薬理】

B型モノアミン酸化酵素(MAO-B)によるドパミン分解作用を抑制し、神経シナプス間隙のドパミン濃度を高めます。モノアミン類のうちドパミンの分解にかかわるB型酵素を選択的に阻害するのが特徴ですが、高用量ではその選択性が低下する可能性があります。

【臨床試験-1】

パーキンソン病に対する効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験が行われています。参加したのは、まだレボドパを使用していない患者さん243人。この薬を飲む人とプラセボを飲む人に分かれ、服薬6カ月後の効き目を比較するのです。

効果の判定は、日常生活の動作や運動能力を27項目ごとに医師が点数化(0〜4点)し、その合計点(0〜108点)の変化量でおこないます。点数が低ければ軽症、高いほど重症です。ちなみに、患者さんの服薬前の合計点の平均は34点くらいでした。

試験の結果、この薬を飲んでいた人達は平均4.5点低下(34.4点→29.0点)、プラセボの人達は1.9点上昇(33.8点→35.6点)しました。この薬のほうがプラセボより6.4点ほど下げ幅が大きく、パーキンソン病に対する有効性が確認できたわけです。

【臨床試験-2】

次は、レボドパ含有製剤と併用した場合です。参加したのは、レボドパの効き目が悪くなり、ウェアリング・オフ現象がみられる患者さん403人です。そして、この薬を1日0.5mg追加し併用する人、1mgを併用する人、プラセボを併用する人の3グループに分かれ、ウェアリング・オフ時間の変化量を比較するのです。ちなみに、患者さんの服薬前の平均オフ時間は約6時間くらいでした。

その結果、この薬を0.5mg追加したグループのオフ時間は平均で約1時間6分短縮(6.3時間→5.2時間)、1mg追加したグループは1時間20分短縮(6.1時間→4.8時間)、プラセボのグループは30分短縮(6.1時間→5.6時間)しました。オフ時間のプラセボとの差は、臨床的に意義があるとされる1時間には及びませんでしたが、1mgではプラセボと比較して50分ほど短くなり、そのぶん動ける時間が長くなり有益なわけです。
特徴
  • パーキンソン病治療薬のなかでは、ドパミン代謝酵素阻害薬または選択的B型モノアミン酸化酵素阻害薬に分類されます。通称‘選択的MAO-B阻害薬’。作用は緩やかで、安全性も比較的高いことから、単独療法またはレボドパ併用療法として広く用いられています。
  • 軽度の運動障害があり認知障害がないとき、とくに若い人の発症早期に第一選択されます。治療導入薬とすることにより、神経保護作用が期待でき、またレボドパ開始時期を遅延できるのです。
  • 進行期には、基本薬のレボドパ含有製剤と併用することが多いです。レボドパと併用すれば、長期レボドパ治療中に生じる効き目の低下や日内変動を改善できるのです。また、レボドパ製剤で効果不十分な固縮や無動に有効なことがあります。
  • 同類薬のセレギリン(エフピー)と比較し、MAO-B選択性がより高く、副作用の軽減が期待できそうです。薬物間相互作用を起こしやすいという難点はいっしょです。抗うつ薬など飲み合わせの悪い薬がたくさんあります。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えてください。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
  • 飲み合わせの悪い薬があります。2週間前から今現在まで飲んでいる薬を、医師に報告してください。
  • ご家族をふくめ、注意事項や副作用について十分説明を受けてください。突発的睡眠や衝動制御障害についてもよく聞いておきましょう。

【注意する人】

肝臓病があると血中濃度が上昇しやすいです。病状によっては使用できません。高齢の人も副作用がでやすいので、用量に配慮するなど慎重に用います。

  • 適さないケース..重い肝臓病、三環系抗うつ薬など飲み合わせの悪い薬を飲んでいる人。
  • 注意が必要なケース..肝臓病、低体重の人、高齢の人。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

同じMAO-B阻害薬のセレギリン(エフピー)とは併用できません。どちらかへの切り替えは、少なくとも14日間の間隔を置く必要があります。飲み合わせで特に注意が必要なのが抗うつ薬です。その多くは併用禁止です。三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSAなどが該当し、服用する場合は数日〜14日間以上間隔を開けなければなりません。ほかにも、オピオイド鎮痛薬のトラマドールやタペンタドールなど飲み合わせの悪い薬がいろいろあります。今だけでなく、最近まで飲んでいた薬を必ず医師に伝えてください。

  • 禁止されるのは、同系のセレギリン(エフピー)とサフィナミド(エクフィナ)、三環系抗うつ薬(トリプタノール、アモキサン、トフラニール、アナフラニール、プロチアデン、スルモンチール、ノリトレン、アンプリット等)、四環系抗うつ薬(ルジオミール、テトラミド、テシプール等)、SSRI(ルボックス、デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ)、SNRI(トレドミン、サインバルタ、イフェクサー)、NaSSA(リフレックス、レメロン)、ボルチオキセチン(リトンテリックス)、アトモキセチン(ストラテラ)、オピオイド鎮痛薬のトラマドール(トラマール)、タペンタドール(タペンタ)、ペチジン(オピスタン)、中枢神経刺激薬(AD・HD治療薬)のリスデキサンフェタミン(ビバンセ)やメチルフェニデート(リタリン、コンサータ)、血管収縮性点鼻液のトラマゾリンやテトラヒドロゾリン(コールタイジン)、ナファゾリン(プリビナ液)などです。併用するとセロトニン症候群や高血圧クリーゼをはじめとする副作用の危険性が高まります。
  • 禁止ではありませんが、抗うつ薬のトラゾドン(レスリン)、咳止め薬のデキストロメトルファン(メジコン)、抗菌薬のシプロフロキサシン(シプロキサン)、健康食品のセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)など同様の理由で注意が必要です。
  • 逆に、抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)は、この薬の作用を弱めるかもしれません。
  • 咳や鼻炎に処方されることがあるエフェドリン、メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン(ディレグラ)の交感神経刺激作用を強める可能性があります。併用する場合は、血圧上昇や頻脈の副作用に注意が必要です。
  • チーズやビールに含まれるチラミンの代謝を抑制する性質があります。チラミンの増大は血圧上昇をまねく危険性があります。

【使用にあたり】
  • 飲む量は、症状や体質で違います。通常は1日1回、1回に1mg(錠1mgを1錠)です。飲む時間、食前か食後かは指示どおりにしてください。
  • 肝臓病のある人、高齢の人、低体重、ある種の薬剤を併用している場合など、低用量で開始することがあります。
  • 飲み忘れたら、気づいたときに飲んでください。ただし、次の服用時間が近ければ、1回分抜かし、次の時間に1回分飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • レボドパと併用することも多いです。レボドパ含有製剤には、ドパストン、ドパゾール、マドパー、イーシー・ドパール、ネオドパゾール、ネオドパストン、メネシットなどがあります。併用の場合、レボドパの副作用増強に注意してください。
  • 自分だけの判断で飲むのをやめてはいけません。急にやめると、その反動で具合が悪くなることがあります。

【妊娠・授乳】
  • 危険性が高いわけではありませんが、妊娠中における安全性は確立されていません。このため、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り使用されることになります。
  • 乳汁中へ薬が移行する可能性があります。服薬中は授乳を避けてください。

【食生活】
  • 急に立ち上がると、強い立ちくらみを起こすおそれがあります。急な動きはしないで、ゆっくり動作するようにしましょう。とくに飲み始めに注意してください。
  • 眠気やめまいを起こしたり、注意力や集中力が低下することがあります。まれですが、前兆のない突発的な睡眠発作も報告されています。車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作や高所作業は避けてください。
  • 衝動的な行動が気になるときは、医師とよく相談してください。たとえば、ギャンブルにのめりこむ、不必要な買い物を繰り返す、暴飲暴食、性欲亢進といった症状です。薬の影響で衝動をおさえにくくなっている可能性があります。
  • 薬草の1種セイヨウオトギリソウは、この薬の副作用をでやすくします。セント・ジョーンズ・ワートなどセイヨウオトギリソウを含む健康食品やハーブティーはとらないでください。
  • チラミンを多く含む飲食物、たとえばチーズ、レバー、にしん、酵母、そら豆、バナナ、ビールや赤ワインなどの大量摂取は控えたほうがよいでしょう。この薬の影響でチラミンの代謝が悪くなるからです。
効能 パーキンソン病
用法 通常、成人はラサギリンとして1mgを1日1回経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 吐き気、便秘、めまい、立ちくらみ、ふらつき、頭痛などを起こすことがあります。めまいや立ちくらみは、転倒事故につながります。十分注意してください。併用薬のレボドパによるものを含め、ジスキネジアと呼ばれる不随意運動があらわれることも多いです。手足や体が意志とは関係なく勝手に動いて困ります。つらいときは早めに受診し医師と相談してください。

幻覚や妄想をはじめとする精神症状は、パーキンソン病治療薬にみられる特徴的な副作用です。たとえば現実にはいない不快な虫や小動物が見えたりします。とくに高齢の人では、いろいろな精神症状がでやすいです。ご家族や介護の方も十分に注意してください。

うとうとなど一般的な傾眠のほか、前兆なく突然に眠り込んでしまう突発的睡眠を起こすことも知られています。車の運転を含め危険な作業は絶対におこなわないでください。さらに最近、衝動制御障害が報告されています。ギャンブルを繰り返すなど度をこした行動が気になるときは医師と相談してください。

めったにありませんが、重い副作用として悪性症候群やセロトニン症候群を起こす可能性があります。悪性症候群は、とくにレボドパの中止時や急激な減量時に要注意。自分だけの判断で急に薬を止めてしまうのは危険です。万一、高熱、ひどい汗、体のこわばり、意識の乱れなどが現れたら、直ちに医師に連絡してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 起立性低血圧..立ちくらみ、めまい、ふらつき、転倒。
  • 突発的睡眠..前兆なく突然に眠ってしまう。
  • 幻覚、妄想、せん妄、錯乱..本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える、誤った思い込み、非現実な体験、もうろう状態、混乱・興奮、取り乱す。
  • 衝動制御障害..病的賭博、強迫性購買、暴飲暴食、性欲亢進。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • セロトニン症候群..落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇。

【その他】
  • めまい、ふらつき、転倒
  • 眠気、傾眠、頭痛、異常な夢、不眠
  • 不随意運動..手足や体が勝手に動く、同じ動作を繰り返す、首がつっぱる、口周辺がひきつる、口をすぼめたりモグモグさせる、舌の異常運動。
  • 吐き気、吐く、便秘、腹痛、口の乾き

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。