概説 |
パーキンソン病のお薬です。ふるえやこわばりを改善し、体の動作をよくします。また、インフルエンザの治療にも用います。 |
作用 | 
- 【抗パーキンソン作用】

- パーキンソン病では、脳内の神経伝達物質「ドパミン」が不足しています。そのため、ドパミン系の神経の働きが悪くなり、体がスムーズに動かなくなります。手のふるえ、体のこわばり、動作が鈍くなるといった症状が特徴的です。このお薬は、ドパミンの放出を促進することで、そのようなパーキンソン病の症状を改善します。

- 【精神活動改善作用】

- 脳の神経に働きかけ、精神活動を活発にする作用があるようです。

- 【抗インフルエンザウイルス作用】

- A型インフルエンザウイルスの増殖をおさえます。感染初期に使用することで、発熱の期間が1〜2日短くなり、治りが早くなる効果が期待できます。B型インフルエンザウイルスには無効です。
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特徴 |
- パーキンソン病治療薬としては強い作用はありませんが、副作用は少ないほうです。別の薬と併用して用いることも多いです。
- 98年11月に、A型インフルエンザに対する適応が拡大されました。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
- 妊娠中の人は、医師にお伝えください。
- 別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人や高齢の人は、この薬の排泄が遅れがちです。服用間隔をあけるなど、用法用量に留意する必要があります。また、精神症状を悪化させることがあるので、統合失調症や躁うつ病のある人は、できるだけ控えるようにします。子供への使用実績は少なく安全性は確立されていません。小さい子供に使用する場合は、服用量に注意するなど慎重に用います。妊娠中の人は飲んではいけません。
- 適さないケース..重い腎臓病、妊娠中
- 注意が必要なケース..腎臓病、肝臓病、心臓病、低血圧、精神疾患、緑内障、高齢の人、子供など
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 他の抗パーキンソン薬や食欲抑制薬のサノレックス、中枢興奮薬のリタリン、コンサータなどと併用すると、不眠や幻覚などの副作用がでやすくなります。これらとの併用は慎重におこないます。
- 飲酒は控えてください。めまいや立ちくらみ、眠気、興奮などの副作用がでやすくなります。
 【使用にあたり】
- 症状や体質によって飲む量、飲み方が異なります。指示どおりに正しくお飲みください。高齢の人や腎臓の働きの悪い人は、より少量となることがあります。
- パーキンソン病では、ふつう、少量から開始し、医師が効果や副作用をチェックしながら増量していきます。また、急に飲むのをやめると、反動で具合が悪くなることがあります。自分だけの判断でやめてはいけません。
- インフルエンザの場合、感染初期に用いると効果的です。できるだけ発病後48時間以内に服用を開始します。施設のお年寄りなど、流行時に予防的に使用することがあるかもしれません(ワクチン接種を優先)。指示された期間、きちんと飲み続けてください。

- 【妊娠授乳】

- おなかの赤ちゃんに悪い影響をするおそれがあります。妊娠中は飲まないでください。
 【食生活】
- めまいや立ちくらみ、かすみ目を起こすことがあります。車の運転や高所作業など危険をともなう作業は避けてください。
- インフルエンザが流行してきたら、お年寄りや体の弱い人は、できるだけ人混みは避けたほうがよいでしょう。外出時のマスク、帰宅時のうがいや手洗いも忘れずに。
- インフルエンザ罹患時の異常行動が報告されています。頻度はまれで、はっきりした原因は不明ですが、抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無にかかわらず発現する可能性があります。とくに転落事故につながるような重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年の男性に多く、また発熱から2日間以内の発現例が多いとのことです。保護者の方は、発熱から少なくとも2日間は、就寝中を含め、例えば、以下のような具体策を講じてください。万が一の住居外への飛び出しや転落事故を防ぐためです。
※玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する(内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む)
※窓に格子のある部屋があれば、その部屋で寝かせる
※ベランダに面していない部屋で寝かせる
※一戸建てなら、できる限り1階で寝かせる
 【備考】
- インフルエンザの予防は、事前のワクチン接種が基本です。とくにお年寄りや、病気で体の弱っている人は重症化しやすいので、冬のシーズンに入る前にかかりつけの医師と相談されるとよいでしょう。
- ふだん健康な若い人は、インフルエンザにかかっても重症化することなく自然治癒するものです。必ずしも薬を必要としません。休養と睡眠、そして十分な水分と栄養をとることが大切です。
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効能 |

- 【効能A】

- パーキンソン症候群

- 【効能B】

- 脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善

- 【効能C】

- A型インフルエンザウイルス感染症
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用法 |

- 【効能A】

- 通常、成人はアマンタジン塩酸塩として初期量1日100mgを1〜2回に分割経口服用し、1週間後に維持量として1日200mgを2回に分割経口服用する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減できるが、1日300mg3回分割経口服用までとする。

- 【効能B】

- 通常、成人はアマンタジン塩酸塩として1日100〜150mgを2〜3回に分割経口服用する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減する。

- 【効能C】

- 通常、成人はアマンタジン塩酸塩として1日100mgを1〜2回に分割経口服用する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減する。ただし、高齢者及び腎障害のある患者では服用量の上限を1日100mgとすること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
パーキンソン病の薬のなかでは副作用が少ないほうです。ただ服用量が多いと、不安や興奮、混乱や幻覚など精神症状があらわれやすくなります。もともと精神・神経系に病気のある人、腎臓の悪い人、また高齢の人はとくに注意してください。
めったにありませんが、パーキンソン病治療中の重い副作用として「悪性症候群」が知られています。ことに、この薬の中止時や急激な減量時に要注意です。自分だけの判断で急に薬を止めてしまうのも非常に危険です。万一、高熱、ひどい汗、体のこわばり、意識の乱れなどが現れたら、直ちに医師に連絡してください。
因果関係ははっきりしませんが、インフルエンザの患者さんにおいて、異常行動などの精神・神経症状が報告されています。変なことを言う、突然笑う、泣き出す、怯える、さらには 襲われるような感覚から外に飛び出し走り出す、興奮して窓から飛び降りようとする・・といった症状です。発熱から2日間以内に多いとされ、その間は特に注意が必要です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
- 幻覚、錯乱..本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える、非現実な体験、混乱状態、取り乱す。
- 意識障害、けいれん..意識の乱れ、気を失う、筋肉のぴくつき、けいれん。
- 異常行動..変なことを言う、突然笑う、泣き出す、興奮する、部屋の中を歩き回る、外へ出て走り出す、窓から飛び降りようとする。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 角膜炎..目のゴロゴロ感、目の痛み、視力低下
- 心不全..息苦しい、息切れ、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、急な体重増加。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
 【その他】
- 便秘、下痢、食欲不振、吐き気、口の乾き。
- 不眠、眠気、不安感、興奮、悪い夢、気分の落ち込み。
- 立ちくらみ、めまい
- 足のむくみ、かすみ目、尿が出にくい
- 皮膚に紫色の網目ができる。
- 長期使用で効き目が落ちる。
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