概説 |
てんかん発作を予防するお薬です。レノックス・ガストー症候群の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- レノックス・ガストー症候群は、子供に発症する重いてんかん症候群のひとつです。強直発作(体が硬直しつっぱる)、脱力発作(力が抜け倒れる)、欠神発作(短時間気を失う)をはじめとする多種多様な発作が頻発し、転倒事故などで大けがをすることも少なくありません。標準薬のバルプロ酸(デパケン)を中心に複数の抗てんかん薬による併用療法も試みられますが、発作を完全になくすことはなかなか困難です。
このお薬は、そのようなレノックス・ガストー症候に有効な抗てんかん薬です。他の抗てんかん薬と効きかたが違うので、別の抗てんかん薬と併用することで、てんかん発作の抑制効果が高まります。実際の臨床試験においても、この薬を追加し併用することで、強直・脱力発作の頻度が約24%低下、総発作頻度が33%低下することが確かめられています。

- 【薬理】

- 詳細な作用機序はわかっていませんが、てんかん発作を誘発する過剰電荷を帯びている脳内ナトリウムチャネルの活動を調整する作用が示されています。すなわち、ナトリウムチャネルの不活性状態を延長し、またナトリウム依存性活動電位の高頻度発火をおさえるなどして興奮性伝達を抑制、神経膜を安定化させることで抗けいれん作用を発揮するものと推察されています。

- 【臨床試験】

- この薬の効果をプラセボ(にせ薬)と比較する臨床試験がおこなわれています。参加したのは抗てんかん薬を1〜3剤使用しているレノックス・ガストー症候群の患者さん58人。うち28人はこの薬を、別の30人はプラセボを追加し併用します。そして付き添いの家族や学校教師に発作の記録を日記につけてもらいます。試験期間は3ヵ月間。効果の判定は、日記をもとに算出しした両グループの発作頻度の変化率を比較することでおこないます。
その結果、この薬で併用療法をおこなっていた人達の強直・脱力発作の発作頻度の変化率は中央値で約24%低下しました。一方、プラセボの人達では3%ほど低下しただけでした。また、すべての発作頻度の比較では、この薬で約33%低下したのに対し、プラセボでは1%の低下にとどまりました。この薬を併用した人達のほうが明らかに発作頻度が低下したことから、この薬の有効性が証明されたわけです。安全性についても大きな問題はありませんでした。
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特徴 |
- 新規構造のトリアゾール誘導体の新しい抗てんかん薬です。レノックス・ガストー症候群において、他の抗てんかん薬で十分な効果が得られない場合の併用療法として新たな選択肢として期待されます。レノックス・ガストー症候群の病名で適応をもつ薬剤は、この薬とラモトリギン(ラミクタール)だけです。
- レノックス・ガストー症候群の発症頻度はたいへんまれなこともあり、治療薬の開発はなかなか進みませんでした。そこで、未承認薬使用問題検討会議において、海外で承認済みのこの薬が取り上げられ、国内での開発が後押しされました。同疾患を対象とした希少疾病用医薬品の指定も受けています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人、また妊娠中の人は医師に伝えてください。
- 今までに、抗てんかん薬をはじめ他の薬剤で過敏症状やアレルギーを起こしたことのある人は医師に報告してください。
- 市販薬も含め使用中の薬を医師に教えてください。
- 注意事項や副作用について十分説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 別の抗てんかん薬でアレルギーを起こしたことのある人は、発疹の発現に注意するなど慎重に用いるようにします。また、肝臓病のある人は薬の代謝が遅れがちなので、必要に応じて用量を調節します。
- 適さないケース..この薬またはトリアゾール誘導体により発疹などの過敏症状を起こしたことのある人。
- 注意が必要なケース..他の抗てんかん薬に対しアレルギー歴のある人、肝臓病、不整脈(QT短縮症候群)のある人、4歳未満、体重15kg未満の子供など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 抗てんかん薬のバルプロ酸(デパケン)といっしょに飲むと、この薬の代謝が遅れ血中濃度が上昇するおそれがあります。併用にさいしては過量にならないように服用量を慎重に設定します。そのほかの抗てんかん薬との併用においても、お互いの血中濃度が変動する可能性がありますので注意が必要です。
 【使用にあたり】
- 用法用量は、年齢や体重あるいは症状によって違います。決められた飲みかたを必ず守ってください。併用薬としては、第一選択薬として用いられるバルプロ酸ナトリウム(デパケン)といっしょに飲むことが多いです。
- ふつう、少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら2週間くらいかけて徐々に増量します。適量が決まったら、そのときの血中濃度を保つために、毎日きちんと飲み続けなければなりません。
- 飲み忘れにも気をつけましょう。万一飲み忘れた場合、次の服用までに6時間以上あったならすぐに1回分を飲んでください。6時間ない場合には飲まないで1回分を飛ばし、次に飲む時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
- てんかんの治療においては、服用が長期になるものです。自分だけの判断で急にやめてしまうと、重いけいれん発作を起こすおそれがあります。中止する場合は、医師の慎重な判断により、1週間以上かけて徐々に減量するようにします。

- 【妊娠授乳】

- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。妊娠出産を予定している女性は、事前に医師と相談しておくとよいでしょう。医師と十分な打ち合わせをし、計画的に妊娠・出産することで、安全性が高まります。

- 【食生活】

- 眠気がしたり、注意力や集中力、反射運動能力が低下することがあります。車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作は避けてください。
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効能 |
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox‐Gastaut症候群における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法 |
用法 |
 【4歳以上の小児】- <体重15.0〜30.0kgの場合>

- 通常、ルフィナミドとして、最初の2日間は1日200mgを1日2回に分けて食後に経口服用し、その後は2日ごとに1日用量として200mg以下ずつ漸増する。維持用量は1日1000mgとし、1日2回に分けて食後に経口服用する。なお、症状により、1日1000mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は2日以上の間隔をあけて1日用量として200mg以下ずつ行うこと。
- <体重30.1kg以上の場合>

- 成人の用法・用量に従う。

- 【成人】

- 通常、ルフィナミドとして、最初の2日間は1日400mgを1日2回に分けて食後に経口服用し、その後は2日ごとに1日用量として400mg以下ずつ漸増する。維持用量は体重30.1〜50.0kgの患者には1日1800mg、体重50.1〜70.0kgの患者には1日2400mg、体重70.1kg以上の患者には1日3200mgとし、1日2回に分けて食後に経口服用する。なお、症状により維持用量を超えない範囲で適宜増減するが、増量は2日以上の間隔をあけて1日用量として400mg以下ずつ行うこと。
- 注意1:本剤は他の抗てんかん薬と併用して使用すること(国内臨床試験において、本剤単独投与での使用経験はない)。
- 注意2:バルプロ酸ナトリウムとの併用により本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤の投与の際には、慎重に症状を観察しながら増量すること。体重30.0kg未満の患者では体重30.0kg以上の患者よりも大きな影響が認められているため特に注意すること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
てんかんの薬を、自分だけの判断で急に中止すると、その反動で重い発作を起こしてしまうおそれがあります。用法用量を守り規則正しく飲むことが大切です。
副作用で比較的多いのは、眠気、食欲減退、嘔吐、便秘などです。重い副作用は少ないほうですが、いつもと違う発作を起こすなど 体調に異変がみられたら医師と連絡をとるようにしてください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 過敏症症候群..発疹、発熱、だるい、吐き気、リンパ節の腫れ、皮膚や白目が黄色くなる。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)..発疹・発赤、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
 【その他】
- 眠気、眠りがち、めまい、頭痛、興奮
- 食欲減退、吐き気、嘔吐、便秘
- 発疹、体重減少
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