概説 |
てんかん発作を予防するお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- てんかんは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気です。その発作型から、大きく2つのタイプに分かれます。脳の一部から興奮が始まる「部分発作」と、脳全体で始まる「全般発作」の2つです。ときに、部分発作から全般発作に移行することもあります(二次性全般化発作)。そして、異常波の発生部位や広がりにより、さまざまな病状を呈します。全般発作のうち、その多くを占める強直間代発作(大発作)は、突然意識を失い全身が硬直し、激しいけいれんを起こす発作です。
このお薬は部分発作と全般発作に有効です。効果が高い薬剤として、子供の部分発作をふくめ国内外で広く用いられています。単剤療法にくわえ別の抗てんかん薬との併用療法が可能です。部分発作の臨床試験の結果、単剤療法で半年間発作が起こらない人の割合はおおよそ70%くらいでした。また、他の抗てんかん薬が効果不十分な場合に追加することにより、発作頻度が20%ほど低下することが確かめられています。さらに強直間代発作(大発作)に対する併用療法において、発作回数が8割くらい減少することが示されています。

- 【薬理】

- 神経伝達物質放出の調節にかかわる脳のシナプス小胞タンパク2A(SV2A)と特異的に結合することで、抗てんかん作用を発揮。さらに、カルシウムチャネルを阻害するなどして、脳神経の興奮をおさえます。一般的な抗てんかん薬と作用点が異なり、GABAA/B・ベンゾジアゼピン受容体やグルタミン酸受容体あるいはイオンチャネルと結合しません。
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特徴 |
- ピロリドン誘導体の新しい作用メカニズムを持つ抗てんかん薬です。国内外で部分発作に対する主要薬の1つとして位置づけられています。初回から通常の有効用量で開始できるので、すばやい治療効果が期待できます。部分発作に対しては、単剤療法、併用療法ともに可能です。全般発作では併用療法がおこなわれます。
- 従来の抗てんかん薬とは効きかたが違うので、他剤との併用療法に適します。飲み合わせによる有害な相互作用がなく、追加処方しやすいのもメリットです。
- 小児に対する有効性と安全性が確認されています。用法・用量についても成人とは別に承認を取得。これに合わせドライシロップも発売されました。子供や高齢の人でも飲みやすく用量調節に適した製剤です。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は医師に伝えてください。
- 注意事項や副作用について十分説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人や高齢の人は薬の排泄が遅れがち。そのため、服用量や服用間隔に配慮が必要です。
- 注意が必要なケース..腎臓病、重い肝臓病、フェニルケトン尿症、高齢の人など。
 【使用にあたり】
- 飲む量や回数を必ず守ってください。ふつう、1日2回、1回に500mg服用しますが、腎臓の悪い人は少な目になることがあります。
- てんかんの治療においては、服用が長期になるものです。医師の指示どおりに飲み続けるようにしてください。自分だけの判断で急にやめてしまうと、重いけいれん発作を起こすおそれがあります。飲み忘れにも気をつけましょう。
- いつもと違う精神症状が気になるときは医師と連絡を取ってください。たとえば、いらいら感、怒りっぽい、興奮しやすい、混乱、攻撃的といった症状です。ご家族など付き添いの方も、行動の変化や不穏な行為に注意するなど、服用後の様子を注意深く見守りましょう。因果関係ははっきりしませんが、命を絶とうとする行為も報告されているようです。
- 体に異常が現れた場合は、すぐ医師に連絡してください。また、症状がよくならないときや、かえって悪化するときは主治医とよく相談してください。

- 【妊娠授乳】

- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。妊娠出産を予定している女性は、事前に医師と相談しておくとよいでしょう。医師と十分な打ち合わせをし、計画的に妊娠・出産することで、安全性が高まります。

- 【食生活】

- 眠気を催したり、注意力・集中力・反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険な作業は避けてください。

- 【備考】

- てんかんの原因そのものを治せる薬はありません。多くの場合、予防的に長く飲み続ける必要があります。けれど、必ずしも減量・中止ができないというわけではありません。発作が長期間なければ、医師の管理のもと時間をかけてゆっくりと減量していくことも可能です。
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効能 |
- てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
- 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法
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用法 |
 【錠剤】- <成人>

- 通常、成人はレベチラセタムとして1日1000mgを1日2回に分けて経口服用する。なお、症状により1日3000mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として1000mg以下ずつ行うこと。
- <小児>

- 通常、4歳以上の小児はレベチラセタムとして1日20mg/kgを1日2回に分けて経口服用する。なお、症状により1日60mg/kgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として20mg/kg以下ずつ行うこと。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること。
 【ドライシロップ】- <成人>

- 通常、成人はレベチラセタムとして1日1000mg(ドライシロップとして2g)を1日2回に分けて用時溶解して経口服用する。なお、症状により1日3000mg(ドライシロップとして6g)を超えない範囲で適宜増減するが、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として1000mg(ドライシロップとして2g)以下ずつ行うこと。
- <小児>

- 通常、4歳以上の小児はレベチラセタムとして1日20mg/kg(ドライシロップとして40mg/kg)を1日2回に分けて用時溶解して経口服用する。なお、症状により1日60mg/kg(ドライシロップとして120mg/kg)を超えない範囲で適宜増減するが、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として20mg/kg(ドライシロップとして40mg/kg)以下ずつ行うこと。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
てんかんの薬を、自分だけの判断で急に中止すると、その反動で重い発作を起こしてしまうおそれがあります。用法用量を守り規則正しく飲むことが重要です。
副作用で比較的多いのは、眠気、頭痛、めまい、下痢、便秘、鼻咽頭炎などです。重い副作用はまずありませんが、なにか異常を感じたら早めに受診するようにしてください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 過敏症症候群..発疹、発熱、だるい、吐き気、リンパ節の腫れ、皮膚や白目が黄色くなる。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 膵炎..吐き気、吐く、上腹部〜背中の激しい痛み。
- 攻撃性、不穏行為..いらいら、怒りっぽい、興奮しやすい、混乱、取り乱す、攻撃的、悪い衝動、自傷、命を絶とうとする行為。
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
- 急性腎障害..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
- 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
 【その他】
- 眠気、頭痛、めまい、不眠、けん怠感
- 下痢、便秘、吐き気、食欲不振、腹痛
- 肝機能異常、鼻咽頭炎
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