概説 |
てんかん発作を予防するお薬です。 |
作用 | てんかんは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気です。その発作型から、大きく2つのタイプに分かれます。脳の一部から興奮が始まる「部分発作」と、脳全体で始まる「全般発作」の2つです。そして、異常波の発生部位や広がりにより、さまざまな病状を呈します。
このお薬の適応は、てんかんの部分発作に対する併用療法です。他の抗てんかん薬と異なる作用機序をもつため、別の抗てんかん薬と併用することで、てんかん発作の抑制効果が高まります。実際の臨床試験においても、この薬を追加することで、発作頻度が30%以上減少することが確かめられています。 |
特徴 |
- 幅広い作用機序をもつ新しいタイプの抗てんかん薬です。脳神経の興奮を鎮めるという一般的作用に加え、てんかん発作のきっかけとなるAMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体の機能抑制作用を示します。
- アメリカで開発され、現在100ヵ国以上で承認されています。別の抗てんかん薬との多剤併用治療に適した薬剤です。なお、海外では片頭痛予防薬としても使われているようです。
- 小児に対する有効性と安全性が確認されています。用法・用量についても成人とは別に設定され、2歳以上の小児てんかん治療に処方可能です。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は医師に伝えてください。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。
- 注意事項や副作用について十分説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人は薬の排泄が遅れがちでなので、服用量や服用間隔に配慮が必要です。小児や高齢の人は副作用の発現に注意するなど慎重に用いるようにします。汗が出にくくなることがあるので、夏季や高温環境下にある人は体温上昇に留意する必要があります。
- 注意が必要なケース..閉塞隅角緑内障、腎臓病、肝臓病、アシドーシス素因、うつ病、腎・尿路結石を生じやすい人、小児、高齢の人、夏季、高温環境下にある人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- いろいろな薬と相互作用を起こしやすい性質があります。使用中の薬を必ず医師に報告しておきましょう。
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は控えてください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。
 【使用にあたり】
- 飲む量や回数を必ず守ってください。ふつう、少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら時間をかけて徐々に増量していきます。適量が決まったら、その血中濃度を常に一定に保たなければなりません。用法用量を守ることが大切です。
- てんかんの治療においては、服用が長期になるものです。医師の指示どおりに飲み続けるようにしてください。自分だけの判断で急にやめてしまうと、重いけいれん発作を起こすおそれがあります。飲み忘れにも気をつけましょう。
- 体に異常が現れた場合は、すぐ医師に連絡してください。また、症状がよくならないときや、かえって悪化するときは主治医とよく相談してください。

- 【検査】

- 定期的に各種の検査を受け、効き具合や副作用をチェックしてもらいましょう。特に長期服用時は代謝性アシドーシスの検査が大事です。体重計測を行なうこともあります。

- 【妊娠授乳】

- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。妊娠出産を予定している女性は、事前に医師と相談しておくとよいでしょう。医師と十分な打ち合わせをし、計画的に妊娠・出産することで、安全性が高まります。
 【食生活】
- 腎・尿路結石を生じやすい人は、水分を十分とるようにします(医師から指導されると思います)。
- 汗が出にくくなることがあります。この場合、熱中症に注意が必要です。高温の場所での作業や激しい運動は控え、夏場はできるだけ涼しく過ごせる工夫をしてください。また、あらかじめ水分の補給を心がけましょう。
- 人によっては、食欲が落ちたり、逆に亢進することがあります。いずれの場合も医師とよく相談してください。
- 眠気を催したり、注意力・集中力・反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険な作業は避けてください。

- 【備考】

- てんかんの原因そのものを治せる薬はありません。多くの場合、予防的に長く飲み続ける必要があります。けれど、必ずしも減量・中止ができないというわけではありません。発作が長期間なければ、医師の管理のもと時間をかけてゆっくりと減量していくことも可能です。
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効能 |
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法 |
用法 |

- 【成人】

- 通常、成人はトピラマートとして1回量50mgを1日1回又は1日2回の経口服用で開始する。以後、1週間以上の間隔をあけて漸増し、維持量として1日量200〜400mgを2回に分割経口服用する。なお、症状により適宜増減するが、1日最高服用量は600mgまでとする。

- 【小児】

- 通常、2歳以上の小児はトピラマートとして1日量1mg/kgの経口服用で開始し、2週間以上の間隔をあけて1日量2mg/kgに増量する。以後、2週間以上の間隔をあけて1日量として2mg/kg以下ずつ漸増し、維持量として1日量6mg/kgを経口服用する。症状により適宜増減するが、1日最高服用量は9mg/kg又は600mgのいずれか少ない服用量までとする。なお、いずれも1日2回に分割して経口服用すること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
てんかんの薬を、自分だけの判断で急に中止すると、その反動で重い発作を起こしてしまうおそれがあります。用法用量を守り規則正しく飲むことが重要です。
副作用で比較的多いのは、眠気、体重減少、摂食異常、めまい、しびれ感などです。また、多くはありませんが、重い副作用として、緑内障、腎・尿路結石、代謝性アシドーシスを起こすことがあります。夏季は発汗減少にともなう体温上昇にも気を付けてください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 急性近視、緑内障..視力の急激な低下、目が痛い、見えにくい、かすんで見える(光の回りに虹の輪)、頭痛、吐き気。
- 腎結石、尿路結石..排尿時の痛み、下腹部・横腹・腰・背中の激しい痛み、尿の濁り、血尿。
- アシドーシス..息苦しい、息が荒い、深く大きい呼吸、脱力、筋肉痛、動悸、吐き気、腹痛、意識がうすれる。
- 乏汗症、高熱..汗が少ない、体温上昇。
 【その他】
- 眠気、傾眠、めまい、頭痛、思考力低下、会話障害
- 食欲不振、食欲亢進、大食症、体重減少
- 発汗減少、けん怠感、しびれ感、筋肉痛
- 目の異常(二重に見える、まぶしい、目の痛み)
- 肝機能異常、電解質異常、血中重炭酸塩減少
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