概説 |
てんかん発作を予防するお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- てんかんは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気です。その発作型から、大きく2つのタイプに分かれます。脳の一部から興奮が始まる「部分発作」と、脳全体で始まる「全般発作」の2つです。そして、異常波の発生部位や広がりにより、さまざまな病状を呈します。
このお薬の適応は、てんかんの部分発作に対する併用療法です。他の抗てんかん薬とは作用機序が異なるため、別の抗てんかん薬と併用することで、てんかん発作の抑制効果が高まります。実際の臨床試験においても、この薬を追加することで、発作頻度が半分くらいに減少することが確かめられています。

- 【薬理】

- 過剰に興奮した興奮性神経系において、電位依存性カルシウムチャネルの機能に対し補助的な役割をになうα2δ(アルファ2デルタ)サブユニットと強く結合します。すると、神経シナプスにおけるカルシウム流入が低下し、興奮性神経伝達物質の放出が抑制されます。
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特徴 |
- GABA(γ-アミノ酪酸)誘導体の新しいタイプの抗てんかん薬です。作用機序からは、カルシウムチャネルα2δ(アルファ2デルタ)リガンドと呼ばれる部類で、既存の抗てんかん薬とは効き方が違います。また利点として、他の抗てんかん薬と相互作用を起こしにくいです。このような特性から、別の抗てんかん薬との多剤併用治療に適した薬剤といえます。なお、同一成分のプロドラッグであるレグナイトがレストレスレッグス症候群治療薬として、また同系の薬剤としてプレガバリン(リリカ)が疼痛治療薬として承認されています。
- 小児に対する有効性と安全性が確認されています。用法・用量についても成人とは別に承認を取得。これに合わせシロップも発売されました。子供や高齢の人でも飲みやすく用量調節に適した剤形です。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は医師に伝えてください。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人は薬の排泄が遅れがちです。そのため、服用量や服用間隔に配慮が必要です。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- アルミニウムやマグネシウム分を含む制酸剤(胃腸薬)と同時に飲むと、この薬の効き目が落ちてしまいます。2時間以上間隔をあけましょう。
- モルヒネなどオピオイド系鎮痛薬と併用する場合は、眠気や鎮静、呼吸抑制などの副作用に注意が必要です。
 【使用にあたり】
- 飲む量や回数を必ず守ってください。ふつう、少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら増量していきます。適量が決まったら、その血中濃度を常に一定に保たなければなりません。用法用量を守ることが大切です。
- 食事の時間に関係なく服用できます。ただし、1日3回服用の場合、各服用間隔を12時間以内にしてください。
- てんかんの治療においては、服用が長期になるものです。医師の指示どおりに飲み続けるようにしてください。自分だけの判断で急にやめてしまうと、重いけいれん発作を起こすおそれがあります。飲み忘れにも気をつけましょう。
- 症状がよくならないときや、かえって悪化するときは医師とよく相談してください。

- 【検査】

- 定期的に各種の検査を受け、効き具合や副作用をチェックしてもらいましょう。体重計測や視力検査をおこなうこともあります。

- 【妊娠授乳】

- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。妊娠出産を予定している女性は、事前に医師と相談しておくとよいでしょう。医師と十分な打ち合わせをし、計画的に妊娠・出産することで、安全性が高まります。
 【食生活】
- 人によっては、体重が増えてくることがあります。肥満の徴候があらわれた場合は、食べ過ぎに注意し、適度な運動を心がけましょう。
- 眠気を催したり、注意力・集中力・反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険な作業は避けてください。

- 【その他】

- てんかんの原因そのものを治せる薬はありません。多くの場合、予防的に長く飲み続ける必要があります。けれど、必ずしも減量・中止ができないというわけではありません。発作が長期間なければ、医師の管理のもと時間をかけてゆっくりと減量していくことも可能です。
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効能 |

- 【適用】

- 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法

- 【応用】

- 医師の判断で、別の病気に応用されるかもしれません(鎮痛補助など)。
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用法 |
- 通常、成人及び13歳以上の小児はガバペンチンとして初日1日量600mg、2日目1日量1200mgをそれぞれ3回に分割経口服用する。3日目以降は、維持量として1日量1200mg〜1800mgを3回に分割経口服用する。なお、症状により適宜増減するが、1日最高服用量は2400mgまでとする。
- 通常、3〜12歳の幼児及び小児はガバペンチンとして初日1日量10mg/kg、2日目1日量20mg/kgをそれぞれ3回に分割経口服用する。3日目以降は維持量として、3〜4歳の幼児には1日量40mg/kg、5〜12歳の幼児及び小児は1日量25〜35mg/kgを3回に分割経口服用する。症状により適宜増減するが、1日最高服用量は50mg/kgまでとする。なお、いずれの時期における服用量についても、成人及び13歳以上の小児での服用量を超えないこととする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
てんかんの薬を、自分だけの判断で急に中止すると、その反動で重い発作を起こしてしまうおそれがあります。用法用量を守り規則正しく飲むことが重要です。
副作用で多いのは、眠気、めまい、ふらつき、頭痛、複視、食欲亢進、けん怠感などです。また、人によっては体重増加を来すことがあります。重い副作用はまずありませんが、なにか異常を感じたら早めに受診するようにしてください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)..発疹・発赤、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 遅発性の重い過敏症状..発疹、発熱、だるい、吐き気、リンパ節の腫れ、皮膚や白目が黄色くなる。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
- アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
 【その他】
- 眠気、めまい、ふらつき、頭痛、だるい
- 複視(物が二重に見える)、霧視(ぼやけて見える)
- 食欲亢進、よだれが多い、体重増加
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