概説 |
てんかんのけいれん発作を予防するお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 脳の神経をしずめて、てんかん発作が起こりにくい状態にします。いろいろなタイプのてんかんに有効です。他の薬が十分効かないときに併用して用います。

- 【薬理】

- 脳のベンゾジアゼピン受容体に選択的に結合し、大脳辺縁系のGABAニューロンの働きを増強することで、抗けいれん作用を示すと考えられています。

- 【臨床試験】

- 難治性のてんかんを対象とした臨床試験で、50%以上の発作減少が認められたケースが40〜60%でした。
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特徴 |
- ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬です。抗けいれん作用に優れ、部分発作にも全般発作にも有効です。症状によっては、1日1回の服用で十分な効果を発揮します。他のベンゾジアゼピン系抗てんかん薬に比べ、運動能低下作用は比較的弱いとされます。
- 長期服用時の欠点として耐性があげられます。長く続けていると効き目が悪くなるのです。服用開始後6カ月で、40%の割合で耐性を生じたという報告があります。このようなことから、通常、第一選択薬とはせず、他の抗てんかん薬が効果不十分な場合に追加、併用します。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に報告してください。
- 別の薬を使用している場合は、医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中、もしくはその可能性のある人は医師に申し出てください。

- 【注意する人】

- 急性の閉塞隅角緑内障を起こしている人や重症筋無力のある人は使用できません。肝臓や腎臓の悪い人は薬の排泄が遅れがちなので、副作用の発現に注意が必要です。高齢の人も副作用がでやすいので、少量より開始するなど慎重に用います。
- 適さないケース..急性閉塞隅角緑内障、重症筋無力症。
- 注意が必要なケース..呼吸器系に病気のある人、心臓病、肝臓病、腎臓病、脳に病気のある人、衰弱している人、子供、高齢の人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 安定薬や睡眠薬など脳の神経をしずめる薬と併用すると、眠気などの副作用がでやすくなります。アルコール類も控えましょう。
- 飲み合わせによっては、この薬の作用が増強されるおそれがあります。たとえば、マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、トリアゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア)、胃薬のオメプラゾール(オメプラール、オメプラゾン)などに注意が必要です。
 【使用にあたり】
- 飲む量や回数を必ず守ってください。ふつう、少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら徐々に増量していきます。適量が決まったら、その血中濃度を常に一定に保たなければなりません。用法用量を守ることが大切です。
- てんかんの治療においては、服用が長期になるものです。医師の指示どおりに飲み続けるようにしてください。自分だけの判断で急にやめてしまうと、重いけいれん発作を起こすおそれがあります。飲み忘れにも気をつけましょう。
- 症状がよくならないときや、かえって悪化するときは医師とよく相談してください。

- 【検査】

- 定期的に各種の検査を受けて、効き具合や副作用のチェックをしてもらいましょう。

- 【妊娠授乳】

- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。妊娠出産を予定している女性は、事前に医師と相談しておくとよいでしょう。医師と十分な打ち合わせをし、計画的に妊娠・出産することで、安全性が高まります。
 【食生活】
- 規則正しい生活を守りましょう。
- 眠気を催したり、注意力・集中力・反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険な作業は避けてください。

- 【その他】

- てんかんの原因そのものを治せる薬はありません。多くの場合、予防的に長く飲み続ける必要があります。けれど、必ずしも減量・中止ができないというわけではありません。発作が長期間なければ、医師の管理のもと時間をかけてゆっくりと減量していくことも可能です。
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効能 |
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかんの下記発作型における抗てんかん薬との併用。
- 部分発作..単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作。
- 全般発作..強直間代発作、強直発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作。
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用法 |
- 通常、成人はクロバザムとして1日10mgの経口服用より開始し、症状に応じて徐々に増量する。維持量は1日10〜30mgを1〜3回に分割服用する。なお、症状により適宜増減する(最高1日量は40mgまでとする)。
- 小児に対しては、通常クロバザムとして1日0.2mg/kgの経口服用より開始し、症状に応じて徐々に増量する。維持量は1日0.2〜0.8mg/kgを1〜3回に分割服用する。なお、症状により適宜増減する(最高1日量は1.0mg/kgまでとする)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
自分の判断で急に飲むのをやめると、反発的に気分や体調が悪くなったり、場合によっては重いてんかん発作を起こします。用法用量を守り規則正しく飲むことが重要です。
副作用で多いのは、眠気、ふらつき、脱力感などです。これらは飲みはじめに多く、続けているうちに軽くなることもありますので、それほど心配いりません。ただ、ふらつきや脱力による転倒には十分注意してください。
多くはありませんが、とくに子供や高齢の人で、痰が増えゼーゼーすることがあります。気管支炎や肺炎につながるおそれがありますので、そのような症状がでたら医師に話してください。重い副作用はめったにありませんが、なにか異常を感じたら早めに受診するようにしましょう。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。
- 呼吸抑制..息切れ、呼吸しにくい、息苦しい、呼吸が浅く速い、呼吸が弱く少ない(10回/分未満)、不規則な呼吸、異常ないびき、意識がうすれる。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
 【その他】
- 眠気、ふらつき・めまい、ぼんやり、気分がすぐれない、やる気がでない、だるい
- 痰が増えてゼーゼーする
- 唾液が多くなる、食欲不振、吐き気
- 物がかすんだり二重に見える
- 発疹、かゆみ
- 長期連用で効き目が悪くなる
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