概説 |
てんかん発作を予防するお薬です。そのほか、精神・神経系の病気にも応用されます。 |
作用 |
- 脳の神経をしずめて、てんかん発作が起こりにくい状態にします。とくに、顔や手足がぴくつくミオクロニー発作に効果が高いです。他の抗てんかん薬が十分効かないときに切り替えたり、併用することもあります。
- 神経をしずめる作用があることから、医師の判断により、いろいろな精神・神経系の不調に使用されています。たとえば、体の不随意運動(無意識な体の動き・ふるえ)、レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群)、不安神経症やパニック障害をふくめ各種の不安障害、躁病やうつ病、さらに鎮痛補助薬として神経痛などの治療に応用することがあります。
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特徴 |
- ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬です。正式な保険適応症は各種のてんかん治療になりますが、それ以外のいろいろな精神・神経系の病気に広く用いられています。
- 同類薬のなかでは、作用が強く、作用時間は長いほうです(作用/時間:強/長時間型 24時間以上)。比較的安全性が高く、副作用も少ないほうです。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中の人は、医師にお伝えください。

- 【注意する人】

- 急性の閉塞隅角緑内障を起こしている人や重症筋無力のある人は使用できません。それらの症状を悪化させるおそれがあるためです。
- 適さないケース..急性閉塞隅角緑内障、重症筋無力症。
- 注意が必要なケース..呼吸器系に病気のある人、心臓病、肝臓病、腎臓病、脳に病気のある人、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 安定剤など脳に働きかける薬と併用すると、作用が強くなりすぎることがあります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。アルコール類も控えるようにしてください。
 【使用にあたり】
- 飲む量や回数を必ず守ってください。ふつう、少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら徐々に増量していきます。適量が決まったら、血中濃度を常に一定に保たなければなりません。用法用量を守ることが大切です。
- てんかんの治療においては、服用が長期になるものです。医師の指示どおりに飲み続けるようにしてください。自分だけの判断で急にやめてしまうと、重いけいれん発作を起こすおそれがあります。飲み忘れにも気をつけましょう。

- 【妊娠・授乳】

- 妊娠中は慎重に用いる必要があります。妊娠出産を予定している女性は、事前に医師と相談しておくとよいでしょう。医師と十分な打ち合わせをし、計画的に妊娠・出産することで、安全性が高まります。
 【食生活】
- 規則正しい生活を守りましょう。
- 眠気やめまいを起こしたり、注意力が低下することがあります。車の運転をふくめ、危険をともなう機械の操作や作業は避けてください。

- 【その他】

- てんかんの原因そのものを治せる薬はありません。多くの場合、予防的に長く飲み続ける必要があります。けれど、必ずしも減量・中止ができないというわけではありません。発作が長期間なければ、医師の管理のもと時間をかけてゆっくりと減量していくことも可能です。
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効能 |
 【適用】
- 小型(運動)発作〔ミオクロニー発作、失立(無動)発作、点頭てんかん(幼児けい縮発作、BNSけいれん等)〕
- 精神運動発作
- 自律神経発作
 【応用】
- 不随意運動(無意識な体の動き・ふるえ)、レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群)、神経痛、鎮痛補助、躁病、うつ病、不安障害(不安神経症、パニック障害など)など精神・神経系疾患
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用法 |
- 通常成人、小児は、初回量クロナゼパムとして、1日0.5〜1mgを1〜3回に分けて経口服用する。以後、症状に応じて至適効果が得られるまで徐々に増量する。通常、維持量はクロナゼパムとして1日2〜6mgを1〜3回に分けて経口服用する。
- 乳、幼児は、初回量クロナゼパムとして、1日体重1kgあたり0.025mgを1〜3回に分けて経口服用する。以後、症状に応じて至適効果が得られるまで徐々に増量する。通常、維持量はクロナゼパムとして1日体重1kgあたり0.1mgを1〜3回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
てんかんの治療中に、自分だけの判断で急に薬を中止すると、その反動で重い発作を起こしてしまうおそれがあります。用法用量を守り規則正しく飲むことが重要です。
副作用で多いのは、眠気、ふらつき、脱力感などです。これらは飲みはじめに多く、続けているうちに軽くなることもありますので、それほど心配いりません。重い副作用はめったにありませんが、何か異常を感じたら早めに受診されてください。定期的に各種の検査を受けて、効き具合や副作用のチェックをしてもらいましょう。
安全性が高いといっても、むやみに量を増やしますと、薬に頼りがちになり やめにくくなってしまいます。決められた範囲内で服用するようにしましょう。また、定期服用中に急にやめると反発的な症状がでることがあります。イライラ、不安感、ふるえ、かえって眠れない・・といった症状です。自分だけの判断で止めないで、医師の指示のもと徐々に減量すれば大丈夫です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。
- 呼吸抑制、睡眠中の多呼吸発作..息苦しい、窒息感、翌朝の頭痛、頭が重い。
- 刺激興奮..興奮、もうろう状態、取り乱す、かえって眠れない。(もともと精神障害がある場合などに、まれに出現)
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
- 眠気、ボーッとする、イライラ、無気力、頭痛。
- ふらつき、めまい、けん怠感、脱力感。
- 喘鳴、唾液増加、物が二重に見える、尿失禁
- 発疹
- 長期連用で効き目が悪くなる。
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